136.スタンピード
数日後、ザイード王子から連絡があった。
どうやら、森でコボルトのスタンピードが発生したということだった。
「明日には町に向かって来るだろう。いつもであれば俺達が対処していたが、今回は人間に任せる。せいぜい、殺られないようにしてくれ」
コボルトの数は千に達するということだった。
対して、俺達はゴブ達を入れても10人しかいない。
「早速、レジスタンス軍と協力するいい機会だ。」
一応、対策はあったので、人出だけが欲しかった。
・・・・・・
いよいよ、次の日の未明、レジスタンス軍50名を城壁の上に待機させ、その時を待った。
ユーコとゴブ達は場内に待機させ、万が一、コボルトが城壁を乗り越えてきたときに備えさせた。
「来たぞ! まじで千はいるぞ!」
日が明けるとともに、片手に剣をもったコボルトの集団が城壁へと向かって来た。
「まだまだだ!出来るだけ惹きつけろ!」
俺は城壁に登って指揮をした。
そして、先頭の集団が城壁に到達しようとしたときに、俺は作戦を実行した。
「よし、コンニャクを投げろ!」
俺が昨日の夜に城壁に準備しておいたコンニャクをコボルトの群れにめがけて一斉に投げかけた。
すると、1つのコンニャクに2、3頭のコボルトの剣がくっついた。
「キー!」
「キキー!」
コボルトはお互いに剣を奪われると思って、仲間打ちを始めた。
「よし、作戦通りだ。どんどん、投げかけたろ!」
実は、昨日準備したコンニャクは『強力磁石コンニャク』だったのだ。
剣を持つ魔獣のスタンピードのために、あらかじめ考えておいた作戦だった。
・・・・・・
戦闘と呼べるものではなかったが、スタンピードの群れの襲撃は、一時間後には終了した。
コボルトの5割程度は仲間打ちで死亡し、残りは武器を置いてどこかに去っていった。
中には城壁を乗り越えたものも何頭かいたが、ユーコに瞬殺されて、ゴブ達の出番はなかった。