134.魔人の王子
いつものように道路のそうじをしていると、門番に呼ばれた。
「ちょっと、こっちへ来てくれ。」
ユーコと言われた通りに着いていくと、何やら位の高そうな魔人がいた。
「(王子、こやつらがそうです。)」
門番が魔人語でそう魔人に話しかけた。
俺には不思議と魔人語がわかった。
「王子なのか?」
「!?」
「!?」
「!?」
俺が魔人語を使うと、そこにいた魔人が一斉に俺を見た。
・・・
この町を実質的に統治しているのは現在の魔王の第三王子ザイードだった。
「かつて我らの祖父である魔王カーンを倒した頃の人間はすばらしかった。」
その後、人間は堕落と私情による報復が盛んになって、弱体してしまった。
第一王子ファミットは人間を激しく恨んでいたため、殺してしまおうとした。
しかし、ザイードは魔王を殺した人間の力の謎が知りたくて、監視して生かすよう提言した。
そして、ここを統治することになったらしい。
「どうして人間はこうなってしまったのか?」
ザイードは保護を願い出たはいいが、人間たちが堕落してしまい、何もしないことに途方に暮れていたという。
そんなところに、俺(何やら毎日掃除をする変な奴)が現れたという話を聞いて、王子がやってきたようだ。
「この町は俺がなんとかする。任せてくれ。」
俺がそう宣言すると、ザイードは何やら頭ぐらいの大きさのある卵を取り出して、俺に渡した。
「これは俺からのプレゼントだ。せいぜい頑張ってくれ。俺達(魔人)を倒しに来るなら、それはそれで歓迎する。」
ザイードはそれだけ言うと、城門から去って行った。