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126.一夜城
お前なら出来るとか、お前しか出来ないという甘い囁きは、基本お断りしているが、今回の件は勝算があったので引き受けた。
もちろん、墨俣一夜城方式である。
既にゴザエモン達浪人4人は、ヨッシー公に正式に召し抱えられているが、後を継いで林業をやっている山のものが20はいる。
ゴザエモン達が残してくれた筏も余分にある。
「出来るだけの筏を作り、川下へどんどん流せ。」
そう山のものたちに言って、俺は直ぐに川下へと向かった。
川下にはゴブリン達が待ち構えており、筏を陸に上げては柵を作っていった。
そして、とっておきは土のう袋だ。
「柵の周りに土のうをどんどん積み上げろ!」
こうして、一夜城の外壁は出来た。
あとは、セシルの『マキシマム・ファイア』があれば、一発でけりがつきそうだが、冒険者による戦さ場での人殺しは許されていない。
ゴブリン達は屯田兵なので、戦に参加出来るが、俺は一頭でも失いたくはなかったので、他の手を打っておいた。