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116.マイムマイム
次の週末は賑やかになった。
村に旅の楽団がやってきたのだ。
俺は彼らに頼んで、キャンプファイアで演奏して貰うことにした。
曲は落花生の収穫を祝う曲として、この地では有名な曲だった。
「マイム、マイム、マイム、マイム、マイム、落花生!」
そう歌いながら、皆で火の周りを手をつないで囲み、回ったり、小さくなったり広がったりするだけの簡単なダンスをした。
ダンスの後は、焼いた黒パンにピーナッツバターをつけたものを皆で食べる。ピーナッツバターは落花生をすりつぶして練り込んだものだ。ピーナッツには50%以上油分が含まれるので、練り込めばペースト状に変化するのだ。
キャンプファイアのいいところは、見ているだけでも、参加している気分させるところだ。
今回も難病の子供を持つ家族が来ていたが、とても楽しそうだった。
「そろそろ行くか。」
俺とユーコは、キャンプファイアの途中で必ず、周囲の安全確認をしていた。
今日も森のほうの見回りをしていると、その事件は起こった。