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105.足手まとい
一週間後、村の冒険者の魔術師であるセシルにお願いし、塩湖まで同行してもらった。
「なかなか、険しい道ですわね。」
「この後、ひと仕事して貰うから、ゆっくりでいいぞ。」
「このぐらいは大丈夫です。ダンジョンの20階に比べれば、何でもありません。」
「えっ、20階に行ってるの?」
俺は驚いた。
(もう、20階まで行っているのか?勇者クラスじゃないと行けないはずだが・・・)
結局、また俺が一番の足手まといだった。
しかし、足手まといが悪い訳ではないので、特に俺は慌てはしなかった。
山登りなどは、足手まといがいたほうが、いつもより安全に進むため、かえって事故は起きないらしい。
もちろん、リーダー次第と言えなくはないが、世の中は一面では語れないと言うことは確かだった。
そう言う意味では、人間は他人については、「こういうやつ」、「ああいうやつ」と一面だけを切り取り勝ちである。
しかし、実際には、自分のことを考えても、優しいときも怖いときもあるし、のんびりしているときも短気なときもある。
したがって、他人の一面を見て、決めつけることはやめるべきであろう。