97.脱獄王が牢に侵入する話
宿で夕飯を食べて久しぶりに脱獄王と2人だけで酒を酌み交わしていると、ヨッシー公に仕えているランケの召使いが、急にやって来た。
「リョータ様、夜分に失礼ですが、こちらに来ていらっしゃると主が聞いて、私を寄越しました。」
「何かあったのか?」
今回はアベリアの占いを聞かずに来てしまったので、俺は嫌な予感がした。
「実は、ヨッシー公が外出してから戻らないのです。」
ある貴族の家を訪問してから、戻らないらしい。
「その貴族の家にも尋ねましたが、夕方には帰ったということです。その後、近くの道路にヨッシー公の馬車だけが見つかりました。」
「分かった。こっちでも調べる。」
その貴族の家の場所を聞いて、召使いを帰した。
「やっぱり、貴族の家が怪しいだろ。」
どの貴族の家にも地下に牢獄があったので、捕まっているとすればそこだが、ヨッシー公が捕まっているかどうかもわからないのに、貴族の家には踏み込めない。
「脱獄王、貴族の地下牢獄を調べて来てくれないか?」
「分かった。俺に任せろ。」
脱獄王が一緒にいたのは不幸中の幸いだった。
また俺は遺跡の村のポイント交換所で最近交換しておいた透明マントを脱獄王に渡した。
「いざというきにはこれを使え」
俺がそう言うと、
「リョータはそんなものを持っていたのか、いやらしい。」
ユーコが絡んで来た。
「バカだな。これは結構なポイントがかかるし、一度使ったら、1日しか使えないんたぞ。」
俺がそう言い返すと、ユーコはさらに、
「じゃあ、何度でも使えるなら、毎日使っていたんだな。ダメなやつだ。」
「使うわけないだろう。今は一刻を争うんだ。使い方は良くわからないが、きっと頭から羽織ればいいはずた。脱獄王行ってくれ。」
ユーコの手前、使い方を知らない振りをして脱獄王をさっさと行かせた。
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