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騎士と姫  作者: まめ
3/3

騎士と姫3

ようやく、スズランが王宮に慣れた頃に言い出した。


「ごめんなさい。私も母様と一緒だったみたい」


「如何言うことだ?」


梶花が聞く。


「私好きな人が出来たみたいなの」


「誰だって?」


「梶花も知っている人だよ。この国の王子の第二皇太子だよ」


「何⁈」


「驚いた? だよね。梶花は他の者には気を付けていたから会うことはなかった。でも、残念だったね。梶花が大丈夫だと思った中にいたよ」


「如何やら、そのようだな」


「流石に相手が皇太子では、私も手が出せんな」


それに、スズランが、笑う。


「でしょ。残念でした」


それに、梶花も笑う。


「私は王から第2の指令も受けていましてね。それを言い忘れました」


「何?」


「良えね、貴女が良い道具とならなければ殺してしまえと」


「そんな」


それを聞き、スズランは、固まる。


「私は初めに言ったはずです。貴女の輝きでのみ、私は輝けるとそれを失うわけですから、貴女にもそのぐらいの覚悟は持っていただかなければ」


それを聞き、スズランは寂しそうに言う。


「分かったわ。彼とは、別れるわ。それなら良いでしょ? でも、その指令って私の人間性って言うか、人生を無視してるわよね。酷いわ」


「そんな事ありません。王は貴女が王宮に使われるような事は願っていなかった。けど、貴女を王宮に戻したかった。それが、叶わないなら、貴女をそれから開放して上げて欲しい。それが、王の望みです。これから、お気をつけ下さい。私は貴女の影として生きるんです。ですから、影を存続させるために、貴女には輝いていてもらいたい」


「何か、矛盾してない? 王も貴方も」


「何が?」


分からないと言うように、首を傾げる。


「だって、あなた達私を助けると良いながら、私の思いを無視してるわ。そんなもの助けるとは言わない。彼方達もあの店の主人と一緒よ」


「そうかもな」


梶花はそれに否定しなかった。


「そうよ」


怒ったように、スズランが言えば、梶花はそれに笑う。


だが、次の瞬間には凄く真面目な顔をして言う。


「私には王との約束がある。それを私は絶対に守る」


「じゃあ、彼方には私を探し出す以外に指令があったのね」


「それはどうでしょう?」


梶花は笑うだけで、それが正解なのか、不正解なのか教えてくれなかった。


スズランには、分からない。


「彼方と王ってどう言う繋がりが有るのかしら?」


「さぁね。でも、王は私に光をくれた大切な人だよ」


「だから、その人のために彼方は動くのね。私の思いなど無視して」


そう言ったスズランに、梶花は否定などしない。


「ああ」


「そんなにその王様に恩を梶花は感じているんだね」


「恩なんてものじゃない。私に彼は生きる意味をくれた光をな」


「彼方にとってそんな大切な人の思いだったのね」


スズランに、そういわれ梶花は笑って物騒なことを言った。


「頼みますよ。次は有りませんから」


ゴクリとツバを飲み込むと、スズランは言う。


それに、梶花は頭を下げる。


「そうしていただけると助かります。では、今後、今回みたいな事がないようお願いします」


「はい」


スズランには、それしか言えなかった。


それを見て梶花は、不味っだと思い、頭を下げる。


「申し訳有りません。言い過ぎました」


それに、スズランは、首を振る。


「ううん、私の方こそごめんなさい。彼方が守ろうとしているものを壊そうとして。彼方は昔の約束を純粋に守りたいだけなのに」


「いいえ、壊して下さい。約束か~。でも、そうですね。私は約束に縛られています。貴女はそんなもの蹴っ飛ばして下さい」


「えっ?」


「確かに、王は光を見せて下さいました。ですが、いつまでもそれで満足してはいられない。でも、そうですね、貴女には光の中で、生活する事を私に教えて下さい。お願いします」


「教えるわ」


凄くヤル気になりスズランは、言う。


「でも、如何して梶花は、闇の中で育ったの?」


「そうですね。それを話すのは、時間が凄くかかりますよ」


「聞かせてくれる?」


「そうですね。でも、面白く有りませんよ」


「別にイイわ」


「そうですか? では、私が傭兵をやっていた時代に遡ります。たまたま、戦地に見学に来ていた王に拾われたんです」


「短いわ」


そう言われ梶花は笑う。


「ちょっと端折りました。すいません」


「イイわ。そこまでが、私に話せる」


「いいえ、貴方だけじゃ有りません。大切な思い出なので、誰にも話せません」


梶花が言うと、スズランは羨ましがる。


「私も貴方とそんな関係作れるかしら?」


「もう、出来ているでしょう?」


梶花が優しい笑みでいうと、スズランは、本当に嬉しそうに笑う。


その笑みを見て梶花はこの子は守らねばと強く思った瞬間だった。


それを、側近の飯田が見ていう。


「どうしましたか?」


「いいや」


と、梶花は首を振る。


「まぁ、いいでしょう。私なんかには、教えたくないのですね」


「そういう訳じゃない。いじけるなよ」


「別に言い訳しなくてもいいですよ」


「いじけるなよ。お前幾つよ」


「29ですが」


と、不機嫌そうにいう。


「もうすぐ30になる男がいじけても可愛くなどないぞ」


「可愛いと思ってもらわなくて、結構」


怒って飯田が言う。


梶花はそれを見て笑う。


「それよりも、いい加減貴方の素性を教えてもらいたいですね。何故、貴方が影として、いきることなになったのか? 私がそんな信頼にたるような相手じゃないとお思いなら話さなくても結構」


「話しても信じられないさ。私自身信じられないからな。王に聞いたときは自分の耳を疑ったぐらいだしね」


そう言って梶花は笑う。


「いったい何?」


「私は先の国の王の落とし種だそうだ、何でも、国が落ちると分かったとき、私の父は自らの子を残そうとしたらしい。それで無理やり、女をレイプされたけどな」


「えっ、じゃあ、貴方は」


「そうだ、私の親は先の王に殺された。だが、私を救ったのは、その王だ」


「それなのになぜ貴方はその人の身内を捜しだし救おうなどと思ったのですか? 貴方にとっては、仇の人間でしょう?」


「仇か? 確かにそうだな。ただ、仇の人間ならな、でも、違ったよ、彼が私を探しだし、たさい、彼は私にすまないと詫びた。それで、許そうと思ったよ」


「そんなことが王との間に」


「ああ。だから感謝してるよ」


笑いながら梶花は言ったが、飯田は首を振る。


「嘘です。どんなにお父さんが悪い人でも、殺される理由にはならない」


「そうかな?」


部下が泣きながら、そう言うと、梶花は面白そうに笑う。それに、部下は怒る。


「何ですか?」


「悪い悪い。王とお前が似てるなと思ってよ」


「えっ?」


「あの人も言ったよ。自分を憎めと。もし王位を取り戻したいなら、自分がやったように王位を簒奪にこい、と。その時は、俺も本気で相手をしよう、と。だから、私は彼に感謝の言葉を述べたよ」


「なぜ?」


「彼のお陰で父は人として、最悪に落ちずにすんだ。踏み留まれたんだ。畜生の道に落ちずにすんだ」


「畜生の道か?」


「まぁ、レイプした時点で落ちてるけどな」


「そうですね」


「ああ、差なんか作ってはいけない。だから、王のためにその後影として働いた。 ああ、差なんか作ってはいけない。だから、王のためにその後影として働いた。最後のその王の最後の望みが彼女の幸せだ」


「それなら遠くから見ていれば」


「噂とは何時か漏れるものだよ。いくら情報をこちらが隠してもね。彼女を護るためにも、こちらで保護した方が確実だ」


「そうですね」


そう言って飯田は納得する。


「ですが、何も別れさせると言うのはやり過ぎじゃないですか? 王宮に連れてこなくてもよかったのでは? そうしたら、彼女には、普通の娘としての幸せがあったでしょう?」


「たぶんあっただろうな。でも、噂とは漏れるものだよ。こちらがどんなに隠そうとしてもね。だから、彼女を護るためにも、保護するしかなかったんだ。それが確実だ」


「そうですね」


飯田も納得する。


飯田がこう言ったのには、梶花は理由が分かった。


たぶん、すずらんのことが好きなのだ。


何て厄介な相手を、と梶花は思わずにいられなかった。


梶花が笑うと、気分を害したように、飯田は言う。


「何ですか?」


「いや、お前の趣味は言いなって、思ってよ」


それを言われ、飯田は顔を赤くしてむきになったように言う。


「どういう意味ですか?」


「それは、私が言わなくてもお前の方が分かっているんじゃないか?」


面白そうに梶花は言った。


飯田は顔を赤くして言う。


「どうした?」


梶花は笑いながら言う。


それに、飯田は怒ったように言う。


「何ですか?」


「いや、何も」


可笑しそうに笑いながら梶花は言う。


「まぁ、あんま気にするな」


「そうですか? 何か、気になりますけど。何を考えているんですか?」


「いや、何も」


「そうは、思えないっす」


「そうか?」


「ええ」


「流石だな。でも、まだ教えないよ」


笑って梶花が言うと、飯田は不満そうに返事をする。


「何か分かりませんけど、分かるときを楽しみにしています」


「ああ、そうしとけ。悪いようにはしないよ」


梶花は含み笑いする。


「何か怖いですね。貴方は何を思っているのですか?」


「さてな。怖いか? 正解だな。それはそう遠くないうちに分かりますよ」


そう梶花が言うと、飯田は怯えて見せる。


「何が怖いだ。人の命を命令とあれば、奪ってしまえる奴が何を言う」


「確かに、私は上の命令で動きますよ。でも、命令なく貴方のように人の命を奪いません」


「確かにな。私は上の命令がなくとも、動くがそれを何かのせいにはしない。自分のせいだ。自分のせいにしたくなく動くのは、ただの卑怯者のすることだ」


「卑怯者ですいませんね」


「いや、お前の素直さは、貴重だよ」


いじけて言う飯田に梶花は笑いながら言う。


「確かに私は命令なく動くが、それが良いのかね? 私には分からんよ。もしかしたら、人としては、命令で動く方がよっぽど良いのかもしれないな」


「でも、命令で動くと言うことは、命令なければ動けないと言うことじゃありませんか?」


「そうとも言えるな」


梶花は面白そうに笑う。


「でも、命令で動くと言うことは、余計なことをしないと言うことだ」


「そうですね」


「自分の判断で動くと言うことは、逆に使う側にとって、注意を常にしないと、行けないってことだ」


「そう言うことになりますか?」


「なるな」


「忠誠を誓っている訳じゃないんですか?」


「忠誠って、そんなに簡単に誓える訳じゃないだろう。そんな人と会える確率も少ないだろうしね」

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