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銃弾は母の味

「・・・〔天地闊法(てんちかっぽう)〕」



 赫夜の下へ駆けつけ、しかし死を覚悟した一虎の側で、その声の主は静かに彼の前に出た。瞬間、前方に右手を掲げてサイドテールを揺らした人物を、アインの放った銃弾が襲う。

 そして、



「え・・・!?」



 一虎は、光景に息を呑む。その人物へ向けて、確かに銃弾は放たれた。

 しかし、



「・・・〔守掌(まもりて)〕・〔赤子妖(あかごあやし)〕」



 その人物の指先、その隙間には、まだ螺旋運動する銃弾が蒸気を上げて収まっていた。

 つまり、



『指で、銃弾を止めた?』



 そう、人影は、その技の名が示すように、まるで赤子を撫であやすように右掌をくるりと捻り、弾丸を受け止めたのだ。だが、一虎は気づく。アインの持っている回転式拳銃(リヴォルバー)は、6発装填だ。片手の隙間で4発はそれを捉えたにしても、まだ2発が足りていない。しかしアインの射撃が精確無比・必殺必中であるのは明らか。

 ならば、残りの銃弾はどこへ?

 一虎がそう思った時。



 プッ。



「・・・銃弾、母さんの料理と、同じ味」



 そう言って、人影、天出雲深夜は蒼眼を不機嫌に彩って、〔歯と歯の間に挟み止めていた2発の銃弾〕をアスファルトに吐いて捨てた。



「・・・へ?」



 素っ頓狂な声を出し、なんとか状況を裏解して、一虎の目と口が驚愕に大きく見開かれ、



「えええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!?」



 という叫びに変わった時、



「増えるな死ね減れ自殺志願者C!」



 メガネを光らせたアインの射撃が再開された。


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