8の間:オベロンの作略
────────────────────────
「それについては少し考えがある」
この状況の中、オベロンは冷静に考え結論まで見出した。それは
「私の力ならなんとかできるかもしれない」
オベロンは変形の使徒。この力を利用してなんとか出ようというのだ。
「私の変形で城壁の一部を爆発の札にする。城壁まではあの合体魔法を使おう」
合体魔法とは、ティタニアの氷魔法で自身全体を覆いオベロンの変形魔法でその氷に過去のその場所を映し出して一時的に不可視にさせる魔法だ。その過去は今に近ければ近い程違和感のない完全なただの空間になるのだ。
「...そっか、あれならいけるかも。因みに爆発の札の変えるまでどのくらいかかる?」
「そうだね...2mくらいは壊したいから、それを考えると...5秒くらいかな?多分」
「相変わらず速いね...じゃあもうさっそく行く?」
「そうしようか。子供は子供なりの足掻きをやつらに見せてやろう」
────────────────────────
「とりあえずここまでこれたね」
「あと、少し...だね。よし行こうか」
「わかった」
「よし、ここから城壁までは誰もいない。全力で走るよ」
「わかった。走るの好き。だってオベロンにそれなら勝てるもん」
「そうだね...私も少しは鍛えないとかな」
「そうよ!これが終わったらすぐに特訓始めるよ!」
「了解した。それならばなおさら死ぬわけにはいかないな」
「じゃあ___ゴー」
静かに始まりを告げ、あと数十メートルを全力ダッシュする
「にしても、随分と馬鹿な連中だな。魔力視所持者を門番代わりに使うなんて。中にいたら確実に有利なのに」
魔力視とは視界の中の魔力量を色で表す、いわばサーモグラフィー。魔力視所持者が中にいない事は薄々オベロンは気づいていた
「___っはぁはぁ。疲れた。ティタニアは...相変わらず速いね」
「もちろん!んじゃ早速初めて!」
「休ませる時間も無いか...少々手厳しいがそんな事今は言ってられない」
「そうそう、逃げ切れないと意味無いもん」
「わかった。では___」
「やばいやばい!オベロンあそこに魔力視いるよ!はよしないと見つかるっ!」
魔力視所持者は相当有利な力なためか、魔法を使おうとすると魔力視が解除されてしまうので攻撃の心配はない。
「___できた、後は起爆させるだけ!『魔力銃 炎の弾』!」
炎系の魔法が使えないオベロンは、簡易魔力銃でそこを補っている。魔力銃は自身の魔力を使い銃を生成する。それをオベロンの能力で使いやすいように変形させている
「いけ!」
魔力銃が札にあたり一気に爆発を起こす。それはもちろん敵へのサインであり、危険な賭けになるがこれさえ乗り越えればなんとでもなる。
「___凄い爆発ね!今の内に出よ!母様が心配だし...。」
「もちろんだ。...とりあえずカリスト騎士団の訓練場に行こう。多分そこなら大丈夫だ」
「わかった。そこまで遠くもないし...オベロンは大丈夫か知らないけどね」
「まだまだいけるよ。運動神経こそないが無駄に体力はあるからね」
「わかった。じゃあ___」
突然、目の前に何者かが現れる。そして
「また随分と派手なことをしましたねェ!」
「誰だ」
「そうでしたねェ。私としたことが名前を名乗っていなかったですねェ」
「私は、死の王 アンタレス・パラディン ですねェ 」
その男は顔はなかなか優良物件だが目が死んでおり、瞳孔が開ききっていた。
「死の王...まさか!あの殺人集団の『死季』の...団長!?」
「...殺人集団?殺人集団ですかァ...。私の理想の団員達に失礼ですねェ。あなたは死を欲しないのですかねェ?死は美であり運命であり逆らうことなど許されないのですよォ。あなたは死がどれほど美しいのか全く分かっていないのですねェ」
「死が...美しいだと?」
「はい。死は美であり最高の至福なのですよォ...」
「死は死でしかない」
「!?なんとォ!なんとなんとなんとォ!?あなたは死を死でしかないとそう言うのですかァ!?死は美であり至福であるのですよォ!それをォそれをォ否定するなど許されないのですよォ...。あなたは死すべきです。あなたは私達の神、『死神』を侮辱したのですよォ... あなたは死をもって、美をもってェ!死神に献上するのですよォ!...しかしあなたには死を選ぶ権利を与えられたのですよォ。あなた死神に感謝するのですよォ」
狂人はそう述べオベロンにこう問うのである
「...あなたはどのような死を望みますかァ?安楽死ですかァ?餓死ですかァ?凍死ですかァ?圧死ですかァ?斬首ですかァ?過労死ですかァ?尊厳死ですかァ?溺死ですかァ?爆死ですかァ?窒息死ですかァ?憤死ですかァ?焼死ですかァ?孤独死ですかァ?狂死ですかァ?さあさあさあさあこの中で自分自身の最高の死を選ぶのですよォ!!」
「狂人め!私は死など望みはしない!選びもしない!」
「...そうですか。それは残念ですねェ...。まだ生を望むのですかァ?私が不可視の結界を解けばあなた達は即他の使徒達に殺られるというのにィ...あァあなた達の不可視の結界なんて所詮は玩具。私の不可視の結界には到底かなわないのですよォ。」
「他の使徒...あいつらは死季なのか?」
「いいえェ。あれ程美しくない死は我が団員は望みませんよォ。」
「ではあいつらを率いているのは誰なんだ?」
「私ですねェ」
「は?」
「私は死の王であり、絶命の使徒。あれらは私のただの人形なのですよォ」
「人形だと?」
「はい。そうなのですよォ。あれらは、200年前の国家転覆事件の死亡者なのですよォ。」
「なに?...それは死者は生き返らせる...禁忌の魔法を使ったのか?」
「質問の多い方ですねェ...。しかししかししかししかしィ!それであなたも死を望むのならば私は私の知識を全力で伝えるまでです!」
「狂人め...」
結局アンタレスは最後のオベロン問には応えなかった。ずっと黙っていたティタニアは憎悪の目でアンタレスをずっと見ていた。
────────────────────────
更新せずに書き溜めていたので短期間に何個か出します!
ティタニア達の過去編は1章が終わってから書こうと思ってます




