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環状線

作者:初瀬
最新エピソード掲載日:2026/05/28
東北沢。
下北沢と代々木上原のあいだの街。
子どもにも大人にもなりきれない八瀬環は、その街で東京5年目を迎えていた。

地方から“特別な自分”になりたくて上京したのに、東京には自分より可愛くて賢い人間がいくらでもいた。
それでも、誰にも干渉されないこの街が好きだった。

21歳の夏。
地元の友人の結婚式帰り、下北沢で片方のパンプスを落とした夜。
環は、関西弁を話す17歳の少年・楓と出会う。

「おねえさん、帰りたくないんやろ?」

深夜喫茶、クリームソーダ、甘い煙草の匂い。
連絡先すら交換しなかった二人は、“また会えたら運命”と言って別れた。

——その一ヶ月後。

元恋人にもらったライブハウスの月パスを使って訪れた地下で、環は再び楓を見つける。
インディーズバンド「環状線」のボーカルとして。

泣きながら自分を抱きしめる17歳。
空っぽなのに満たされてしまう夜。
東京は今日も、未完成な人間だけに優しい。

これは、
「何者かになりたかった」女の子と、
「何者にもなれないまま歌う」少年の、
東京の恋の話。
東北沢と17歳
2026/05/28 19:48
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