偽りの平和・現実の喧騒
〜カルラ視点〜
「カオちゃん...」
「うん...来てるねぇ...モアハちゃんがキャッチしてるから間違いないよ、カルラちゃんが見えてないって事は完全に水中から侵入してるねぇ。」
『カルラちゃん、カオちゃんに報告だよ。敵の白兵戦部隊は1個中隊規模、つまり200人くらいだね。それがステルスシップで惑星降下されちゃったみたい、後続が無いのはママが全部叩き落としてるからってのとAMRS戦の激化でこっちにまで注意を回せてないからっぽいね。わかってると思うけど...絶対に捕まっちゃダメだよ、それと...捕まったからって犠牲になるのもね。』
首に巻いたチョーカー型インカムでカオちゃんと話して、今の声は多分ヴィヴィアンちゃん?からの報告で確信した。
少しの間ではあるけれど平和を受け入れた私達5人(私・カオちゃん・モアハちゃん・ハンザちゃん・クトリちゃん)は、完全な非戦闘員では無くってリハビリも兼ねた戦闘訓練を受けた言うなれば『特殊作戦群特務課』とも言うべき部隊の人間になってたんだよねぇ...それが嫌だった訳じゃないし、寧ろ私達は積極的にそうなるべくリハビリをしていたと言うかね?
「とは言え...実戦は怖いねぇ...」
「まだカルラちゃんの出番じゃないだけいいでしょ?私とモアハちゃんは第1陣何だからさ〜。」
「まぁね〜...ん、不自然な水泡発見。位置送るよ。」
「はいはーい...見っけた、20ノット(約37km)で進んでる。」
ふーむ...シャルマーニのこの提供してくれた惑星は海洋惑星なだけあって海が多い、砂浜がそんなにある訳じゃなくて接舷しても切り立ったがけがほとんどで尚且つ水深が浅いからあまり潜水艦じゃ進めないんだけどね、それでも潜水艦方式を使うって事は何か隠し球がある?
「深度はどれくらいを航行してるの?」
カオちゃんに確認するのは航行している深度、つまりどれだけ深いところを進んでいるかってこと。
岸からまだ4~5kmは離れてるから200mくらいかな?
「結構浅いね、50m位だよ。そんなに深くは潜れないんじゃないかな?」
「本当に浅いね、じゃあ今攻撃仕掛けたらそのまま圧壊しそうかな?」
それで済むならそれに越したことはない、実際の戦闘なんて初めてだし(演習弾を使った模擬戦はモレッドちゃん達とやったよ...死ぬかと思ったけど。)
「ちょっと厳しいかも、流石は降下式潜水艇だね。多分二重殻構造だ、外殻を潰せても内殻まで行かないよ。脚は潰せるだろうけどね?」
うーん...それならそれもあり?足を潰して海上を高速艇で攻めてくるならそっちの方がやりやすいし、何より見えないっていう相手のアドバンテージを潰せるのは大きい。向こうはこっちが海中を直接確認してるなんて思ってないだろうからコレはかなり大きいんじゃないかな?
「こちらカルラ、モルゴースちゃんいい?」
『はいはーい、こちらモルゴース。どうしたの〜?』
「敵の攻撃潜水艇をカオちゃんとモアハちゃんが捕捉、距離はまだあるけど先にその脚を潰して浮上させて海上を目立つ高速艇で移動させようかなって思うんだけど...どうかな?」
困った時は他人を頼っていい!!多少学んだとしても私達はまだまだド素人、訓練もろくに積んでない素人一般兵と同じだからね!!下手な事して被害を出すよりも有識者に素直に頼ろうってのはカケルさんに助けて貰った時に最初に教わったもん!!
モルゴースちゃんに聞いた理由?私達の仮住まいの土地一帯、その防衛システムに介入して一手にになってくれてるからだね!!じゃあなんでレーダーとかで探知しないのかって?私達が直接確認するより圧倒的に安全だし、対処もすぐ出来るから手間でしかないのに?
そんなことはわかってるんじゃい!!でもこれは私達がやらせてって頼んだの!!ステルスシップが降下してるかもって情報を得た私達はすぐに行動を開始したんだよ?戦闘が始まった所からの降下予測地点を探してその方面にカオちゃんとモアハちゃんが進んだし、私も空から偵察してたんだから。
『う〜ん...多分的潜水艇の外殻に被害を与えるならカオちゃんとモアハちゃんの持って行った小型魚雷じゃ足りないね。』
「う〜...ダメかぁ。」
モルゴースちゃんの返答は私達では無理との事、この通信は私達5人にオープンで流れてるからガッカリした声がそれぞれから聞こえてくるのがわかる。
『でも!!着弾支援ユニット持ってってるよね?』
「あぁ...この吸着式の奴?」
『そうそれ!!多分敵もソナーで魚影と言うかは探知してるし、そういった面でも有利なのはモアハちゃんだね。敵潜水艇にこっそりくっ付けて貰える?そしたらこっちの防衛システムでホーミング魚雷なんて撃ち放題、性能的に撃沈まではできなくともカルラちゃんが最初に提案してくれたようなことは十分できるよ!!』
モルゴースちゃんの言葉に私達は歓喜!!私達にも出番はあるのだ!!やってできない事ばかりだったけど、それでもちゃんと!!できる事はあったのだと喜ぶ。
『でも、大変なのは高速艇が出て来てからだよ?河川を伝って一気にこっちの宿泊施設までたどり着かれたら私達の負け、防衛システムはどうしても構造上海上を走る高速艇相手には火力が出ない。つまり5人の働きしだいになっちゃう、私達は非戦闘員の護衛も有るから自由に動ける人員は多くても私と...マーリン位かな?』
「ここで出来るって言いきれたらかっこいいんだろうけどねぇ、さすがにそこまで自惚れてはないよ。」
モルゴースちゃんの忠告は、暗に私達が撃ち漏らしたら余計な被害が出るかもしれないと言っているのと同じ。
まぁなんなら全部囮のどこかに引き込んで処理する方が安全なんだろう、実際見かけ上の避難場所には大量の爆薬が仕掛けてあるらしいしね。
私達ではどう頑張っても全滅なんてさせられないだろうし?寧ろここで「全滅させてやるさ!!」なんて言おうものなら怒鳴り散らしてくるモルガンさんも居るしね。
「でも...やれるならやって見なきゃ、私達はまだ何もしたことが無いんだからね!!」
高らかに私が声を上げると、4人もそれに合わせるように声をあげる。
それを聞いたモルゴースちゃんはクスッと声を上げたような気がした。
『よしっ!!じゃあお願いしよう!!最後の最後まで、やれるだけやってもらおうかな!!勿論!!死なない事が最重要だからね!!』
「「「「「はーい!!」」」」」
それじゃ!!私達の初陣を飾ろうか!!




