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主人のモノ



――えっ!!!


「わっ!!ちょっ!!///」


思い切り手を引かれ力の強さにクロードの胸に飛び込んでしまうリコ



「いきなり引っ張らないでよ!!///」


離れようとクロードの厚い胸を押して離れようとすると


クイ



顎を掴まれてリコは無理矢理、上を向けさせられる

バサりとクロードの背中の翼が2人を包み込む

逃げられないようにクロードの腕がいつの間にかリコの腰に回っていた


「なっ///にしてんのこの馬鹿執事!!///離してよ!!///」


グイグイとクロード胸を押して抵抗するがピクリとも動かず、さらに腰に回る力が強くなり密着したので逆にリコがピクッと反応し顔を赤くして固まった


「ち、近いってば!!///」



「今の俺の姿を気に入っているのだろ?」



金色に光るクロードの瞳がまっすぐリコを見て意地悪く笑らう



「俺はお前のモノだ、好きにしていい」




更に顔を近づけて妖艶な笑みを浮かべてリコを見るクロード

あまりにも美しいその表情に思わず心臓が高鳴る


――………って、ドキドキしてる場合じゃない!///急になにを言い出してんのコイツは!!///顔も近づけないでよ!///



「いつからアタシのモノになったのよ!///」


「リコがここに来てからすぐ、契約しただろ」



優しく笑うクロード


――従者の契り(じゅうしゃのちぎり)を交わしてるからそんな事言ってるのか!///アタシが死ぬとクロードも死んじゃうから



「アンタの命はアンタのモノでしょ!!アタシのじゃゃない!!」



顎を掴むクロードの腕を両手で剥がそうとするリコ



少し驚いたような顔をして何かを思い出すかのようにクロードが固まった




………


『お前は王の為に産まれた存在だ。お前の命は王のモノ。主人の為に生きろ。』

クロードはよく父親に言われていた言葉を思い出していた


………




「今の主人あるじはまったく違う事を言う」


クロードは目の前で顔を真っ赤にしてジタバタしてるリコを見て呆れているが優しい表情で呟き

スッと親指で優しくリコの顎を撫でる



「離せ〜!!///」


クロードはリコの腰に回していた腕をはなし

両手でリコの顔を包み




「俺を好きにできるのは王とお前だけなのに本当にいいのか?」



意地悪く笑いリコをジッと見る




「さっきから好きにしていいとか好きにできるとか…具体的どう言う事すんのよ!!///その前に意味がわからないわ!!」


クロードが固まりムッとして



「低脳」



パッと手を離し目の色が戻り翼をしまった

クロードはドアに向かって歩き始めた


「はぁ!?」



「お前は男の経験がなさ過ぎる。近衛兵が寝泊まりしてる居館にでも夜忍び込んで勉強して来い」



バタン!



勢いよくドアを閉めて居なくなった


「な、な、なんなのアイツ!!!」


リコがイラッとして大きい声で言う



――確かに、恋愛経験少ないし、男慣れなんてしてないけど、クロードに関係無いじゃんよ!!!



その後、リコは絶対に早く元の世界に戻ってやると逆にやる気に満ちて勉強が捗った



――早く文字を覚えて色々調べられるようになってとっととこの世界からおさらばしてやる!!







それから5日間間繰り返しの日が続いた

毎朝クロードに叩き起こされて勉強して…


けど、ひとつ変わった事は午後のティータイムにクロードがお茶を淹れてくれるようになった事

いつもは侍女達が入れてくれていたが、その時だけはクロードだけが来て二人でお茶を飲む時間ができた

リコは勉強に疲れていて、クロードは仕事に追われていて…対して会話をするわけでもなく

二人で静かにお茶を飲む


リコはその時間がけっこう気に入っていた

その時の気分に合わせて淹れてくれるクロードのお茶が大好きだった



そして、リコはだいぶ文字が読み書きできるようになってきた

自分でも中々進歩したと喜んでいたら…



「では、姫様。文字の勉強は今日で最後です。明日から舞の練習になりますので」


「えっ…舞…?」


リコは目を見開いて固まる


「はい、第五皇女遊宴があります。その時に姫様は儀礼の舞を踊る事になっておりますので。」


「ちょっ、ちょちょちょっと待って!!なんですかその第五皇女遊宴っていうのは!!」


「そのままです。第五番目の皇女が迎えられたのです、新しい皇女の誕生を祝う宴会です。」


淡々と答える先生


「嫌です!!やりたくないです!!」


半泣きで首をブンブン左右に振るリコ


――そんなめんどくさそうなオプションついてるの知らなかったし!!ただお姫様として大切に扱われるだけじゃないの!?そんな甘くない!?

こちらとしては姫になりたくなったわけじゃないから全然嬉しくないそんな遊宴!!しかも舞うって!!


「貴方の為の遊宴ですよ?大勢の貴族や王族が参加します。貴方を一目見ようと…貴方と話したいが為に必死になって貴族が来ると言うのに…その日を心待ちにして…遊宴を嫌がる理由がどこに、ありますか?」


「先生。全部言ってます。踊るのが嫌って思ってただけなのに、益々嫌になる理由を畳み掛けるように言って下さってます。」


リコが真顔で言う


「王様にやらなくていいですと伝えて下さい!!それか今から王様のとこに行ってきます!!」


「お待ち下さい姫様!!」


ダッと立って部屋を飛び出した


――勢いあまって王様のいる部屋に来てしまった……



扉の前に警備の兵が立っていた


「あのぉ…王様って今いらっしゃいますか…?」


「第五皇女様、今お呼び致します」


深々と頭を下げられた


「意外と会えるもんなのね…忙しそうだから来たことなかったけど…」


ボソリと呟くリコ



中に入ると


「どうした、リコから訪ねて来るなんて」


「王様!あの、第五皇女遊宴って…」


「やはりそのことか、楽しみにしているぞ」


ニッコリ笑う可愛らしい王様


「えっ…」


「今回はリコの為に張り切っているから盛大にやるつもりだ、日程も決まっている!喜べ」


リコは頭が真っ白になる


――王様のあの眩しい笑顔は完全に良かれと思ってやってくれてるのが伝わる…アタシが喜ぶとおもって…

1ミリも嬉しくないのに…え、待ってこれ断れない奴じゃん…日程も決まってるって…


「王様、そんな私なんかの為にそこまでしていただかなくても!!」


「これは神聖な行事だ、やらない事は許されない、そんなに遠慮をするなリコ」


ずっと笑顔の王様


――これって…もう…


「はい…頑張ります…」


こう答えざる終えなかった…




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