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40/93

40本目

両腕を後ろに回され、俺は単分子ワイヤーにより両手首を拘束された。


裁判の準備が整うまで、タワーの地下にある隔離室に入れられる。


博士と姫たちがかなり抗議してくれたが、俺は大人しく捕まった。


いざというときは、博士たちが実力行使してくれるだろうと思う。


だが、それよりも「真実の鏡」とかいうもので潔白を証明した方が、今後の地球とペッボレゲセとの関係を考えた場合良さそうだ。


一応、国賓の仲間であるというためか、それほど乱暴なことはされずに、拘束室の中では単分子ワイヤーから解放された。


バロアチ王が手荒な真似はしないようにと、命を下してくれたのだろう。


誤解が解ければ、人の良さそうなあの王様とは仲良くなれそうだ。


人間、一緒に飲めば人となりがわかるというものである。


次の日、俺は拘束室から出され、同じタワー内の裁判所に連れて行かれた。


そういや、最初にこの2000年後の世界にやって来たときも、俺は人造人間たちに同じような目に会わされたっけ。


裁判所の法廷は、元いた地球のと似ていた。


裁判官がいて、原告側と被告側に別れ、傍聴席にはあの場にいたお偉いさんたちや一般の人たち、参考人席には博士や姫たちがいる。


バロアチ王は、裁判官より更に奥にある高い席に座ってる。


これだと、司法は独立した判断を下せずに、王の意向に従わなければならないのではないかと、少し気になる。


対面にいるジーが俺のことめっちゃ睨んでるわ。


誤解しているとはいえ、ムカつくぜ。


身の潔白が明らかになったら、こいつをどうしてくれようか…。


クックック、今から楽しみだぜ!


だが、あいつが言っていた「あの者」というやつが気になるな…。


『それでは裁判を始めるとする』


王様が宣言した。


おぉ、少し緊張してきた。


博士を見ると、俺に頷いてくれた。


よし、きっと大丈夫だ!


すると、ひとりの裁判員が俺の首に単分子ワイヤーの首輪をかけ、仕込まれたスイッチを押した。


すると、単分子ワイヤーが締まり、首に軽い圧迫を感じる。


『真実の鏡、作動』


裁判官が命じる。


裁判官の前にオペレーターがいて、機械のスイッチを入れた。


『この真実の鏡は、霊子力により空間や時間を飛び越え真実を映し出す。よって被告人は嘘偽りのない真実を話すように。5つ質問するので、全て真実を話さなかった場合は、その単分子ワイヤーにより死刑となる』


え?


えぇッ!?


何それ聞いてないよ!!


まあ、嘘を言わなければいい話しだ。


「…わ、わかりました」


考えてみると、あの機械がホントに真実を映し出すなんてエビデンスないよな。


冤罪で死刑なんて洒落にならないぜ。


「その前に、その機械が本当に真実を証明出来るのか、テストさせて欲しい」


博士が言う。


おー、さすが博士!


俺と同じこと考えてたわ。


『よろしい。では、被告人にまず簡単な質問をしましょう。この質問は5つの質問に入りません。被告人は、昨夜拘束室で何をしていましたか?』


ふむふむ、昨夜拘束室でか…。


え、拘束室で!?


俺は汗だくになる。


き、昨日はストレス発散のために指をしゃぶってママーと叫びながら、股間をいじっていたんですけど…。


そ、そうだ!


俺は拘束室の中で寝てもいた!!


これだ。


嘘はついてない。


「寝てました」


『ファイナル・アンサーですか?』


「ファ、ファイナル・アンサー!!」


真実の鏡からビーッと音が鳴ると、空中に映像が浮かび上がる。


『ママァ、ママーーーッ!! チュパチュパ…おっぱいおいちいのぉ~~~! ママァ~~~ッ!!』


シーーーン…。


ちょ、え、何これ!?


寝てるところを映し出せよ!


俺寝てたろ!!


そのあと、俺が寝てるところも一応映し出された。


「な、何だこれ!? 違う! 違うんだぁッ!! プライバシーの侵害だ! こんなの嘘だぁ!!」


とにかく喚く俺。


『この真実の鏡は、本人の後ろめたいことを映し出す。先程の醜態…真実ですな?』


「…真実です」


絞り出すように言う。


『この通り、この真実の鏡はこの者の嘘偽りのない姿をさらけ出すものなのだ!』


『最低なやつだな! この変態!!』


『やはりこやつは魔王の手先だ!』


散々な言われようだ…。


ちくしょー、昨日赤ちゃんプレイしなければ良かったぜ。


「ちょっと待ってよ、あんたたち!」


おー、マミム!!


お前だけが俺の味方だぜ!


「ハゲは地球にいるときから、いつもああなの! ただのドスケベで変態のハゲなの!!」


…マミムさん?


『おー!! やはりそうか! 死刑は免れないな』


『皆さん、このサトルとかいう者は、先程の映像のように邪悪です! 魔王の手先であることは間違いありません!!』


ここぞとばかり、ジーが畳み掛ける。


この野郎死ねや!!


「ふざけんな!! 人間性欲もあるし性癖も人それぞれだろ! 確かに俺は変態かもしれないが、それが魔王の手先となる証拠にはならないだろ!!」


『静粛に!! 裁判はまだこれからです! 原告人が5つの質問をし、それに被告人が答えることにより判決が下されます。では、原告人、ひとつめの質問を。質問は被告人の行動に対してしないと映し出されないので、質問の仕方に気を付けるように』


裁判官が厳粛に告げる。


『ではひとつめの質問。被告人サトルはは魔王からペッボレゲセを乗っ取るように命を受けたか?』


魔王なんて会ったこともない。


バカな質問だぜ。


「俺は魔王に会ったこともないし、そんな命は受けてないぞ」


「ファイナル・アンサーですか?」


「当たり前だろ。ファイナル・アンサーだ」


自信を持って答える。


真実の鏡がビーッと鳴った。


黒いもやみないなのに、よ~く見覚えのあるハゲが膝まづいている。


『サトルよ、我が命に従い、ペッボレゲセを手中に収めよ』


『はっ、この命に代えても惑星ペッボレゲセを手中に収め、魔王様に捧げます』


ハゲが顔を上げる。


は?


俺?


「ちょ、何だこれ!? 捏造だろ、ふざけんな!!」


ジーが俺を見てニヤリと笑う。


あの野郎、ハメやがったな!?


首の単分子ワイヤーが絞まっていく感覚に、俺は戦慄した。

サトルめちゃくちゃピンチです!

作者も頭を抱えてます!!

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