4章 近づき始めた二人
『自由と笑顔の相関的な関係について』のゼミの入室試験内容は、簡単な面接試験で、教授をうならせることができるかつ、成績で入室を許可できるというものだった。
「やばい。」道を歩きながら、元の頭の思考が溢れた。周りの人からの視線が集まる。唯一興味があるゼミがこれだけだった。他は偏見だとか差別だとか、あまり興味がなかった。
しかし唯一入れたらと思うゼミに、数少ない成績という関門にぶち当たった。それ以外は、なんとかなるはずだった。だって、他の人よりも自由について考えることは、多かったし、自由についての完全な答えは持ってないけど、それなりの回答を答えられる。しかし成績はしんどい。
「しかも、笑顔ってなんだよ。笑顔については、そんなに考えたことないわ。」よく考えてみると、元は最近笑っていない。精神的に蝕まれているから、今の顔は、絶対に笑顔から縁遠い顔をしているはずである。
「余裕そうだな。」
一方で斎は、元とは違った。平均よりは上の成績にいることはなんとなく知っていたし、笑顔についてはいつも考えている。しかし自由については、考えたことがなかった。別に誰かのために生きようとは思っていたが、それは自分から求めていたことだから、そこに不自由さを判じたことはなかった。
斎にとって自由は普通のことだったし、疑ったこともなかった。疑ったことがないことをどのように表現すればいいのかはわからなかった。
2ヶ月がたち、ゼミの倍率が発表された。二人の心配をよそにゼミの倍率はそこまで問題はなかった。一倍と少しといったところだ。これぐらいの倍率であれば、普通は全員を通すらしいから、問題は解消された。
元の心境は、良かった。安心した。そんな心持ちだった。
斎の心の中は、違っていた。少し残念だった。少しでもいいもの、いい形で勉強をしたいという反面がそうさせていた。
元は、自分が笑っていることに気がついた。ホッとしたのだろうか。久しぶりに笑ったかもしれない。少し生きかえった。そんな気がした。
斎は、元のことを初めて見た。まだ名前も知らなかったが、すごく印象的な笑顔をしていたことがすごく印象的だった。何かから解放されたようなそんな笑顔だった。
思わず声をかけようとしていた自分がいた。しかし、すぐにいってしまい、声はかけられなかった。なんで声をかけようとしたかはわからなかった。けど、何か自分が探している答えを持っている気がした。
二人の関係性が近づいてきた。斎は、あの人と同じゼミだったらいいのにと少し期待した心持ちでいた。




