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第46幕

おめでと令和!

今のドレイクを見たとして、果たしてどれだけの人が昔世界を滅ぼしかけたという逸話を信じるのであろうか?

かくいう彼の主人となっている自分でさえその話を忘れそうになるよ。


昨日だってあの後、今回のベルナー様の捜索についての詳しい内容についての打ち合わせを密に行っていたりしたらあっという間に日が暮れてしまってね、ハーベスト様、フューリ様と共に夕食を食べることとなったんだ。


それでもって昨日の料理番はドレイクだったのだけど今回も異国の料理を提供してくれた。確か名前が【ウィートヌードル】とか言ったか…東の国の伝統的な一品らしく、小麦を細い管状に切ったものを独自の塩っけが少しばかり強めな割り下を絡ませて頂くというものだったんだけどこれが非常に美味しかった。

僕ら家族は元よりコルー一族の人間にも非常に絶賛だったんだよ。


「少し前にバスパの街へ買い出しに赴いた際に異国にこのような料理がある事を知りまして…少し勉強を重ねた上で私なりの想像で作った所謂創作料理です。

初めて作っただけあり皆様の舌に合うかはわかりませんが…」


少し自信が無さそうに俯いてモジモジとしながらそんなことを言っていたけど、少なくとも貴族の人たちを唸らせるほどの飯を作っている時点でもう普通の味ではないよね。…もちろん良い意味で。


その後、【ちゃーしゅー】と呼ばれるウィートヌードルのお供に食べるはずだった肉を丸々フルが秘密裏に平らげてしまったので僕が責任を持って与ダメージ倍増を使用した右手の人差し指で思いっきりフルにデコピンをしてやったりしたのは別の話だ。


それにしてもやはり同じ食卓を囲むとあまり互いを知らない者同士でもお喋りが弾み、ハーベスト様の思い出話、僕が小さい頃の失敗談、ドレイクの果物ジュースに対する考え方や雑学などいろんな話を交わすことができ、さらには落ち着いた雰囲気がありとっつきづらそうな印象を持っていたハーベスト様ともなかり仲良くなることができた。


…と、まぁ色々とドレイクのお陰で僕は得をしていることが多いのである。

どのような形であれ人のために働くことができるというのは簡単なことではない。それは主人である僕に対しても例外ではないだろう。

特にドレイクは昔、両親を人間に殺された…だからこそ、その人間に復讐のためひと昔前に破壊の限りを尽くしてしまったのだから尚更だ。


彼には実はそんな残虐な一面もあるんだ。

なので僕はドレイクが今いったい人間に対してどのような思いを抱いているのかが前々から実は気になっていたのである。




…あまり二人になれる機会が多いわけではないし少しばかり聞いてみよう。


僕とドレイクは今二人で生い茂る森の中を並んで歩いていた。

今は僕らの家を出て20分ほど歩いたところだろうか、もちろん目的はハーベスト様達からの依頼であるベルナー様の捜索だ。サポナビさんから送られてきた例の情報を詳しく調べて見たところ、なんと家から10キロしか離れていない場所にいるということで【あれ?直ぐにいけるんじゃね?】みたいな気持ちになり驚いた。しかしよくよく考えてみたらその場所は僕が一度も訪れたことのない場所であった為に【瞬間移動】のスキルを使うことができなかったので現在の状況に至る。


「それにしてもドレイクに今回一緒に来てくれて助かったよ。空からの偵察が可能なのが君しかいなくてね」


「いえ、私自身ご主人の助けになれることならどの様なことでもする所存ですよ」


ドレイクは嘘偽りの全く感じさせないまっすぐな瞳をこちらに向けてそう言った。


「その気持ちは僕自身、すごく嬉しいよ。でもそれは本当に君の本心なのかい?ほら…ドレイクは昔、人間に両親を殺められてしまったわけで恨みを持っていないの?僕は人だ。いや、それならまだしも今回は他の人からの依頼なわけだし」


「恨み…ですか」


そう言うと途端に黙りこんでしまった。やはり何か思うところはあるのだろうか?いや無いという方がおかしい、彼がこの後何を言おうとも僕は主人としてその言葉を受け止めよう。


「…私は基本的に人間が好きではありません」


ほんの数秒後、ドレイクはそう言った。


「己の私利私欲のために動き、この世界から多くのものを支配して奪って来た存在…だと私は認識しています」


「確かに…間違ってはいないよ、それは」


「私の両親もその欲に飲まれてその命を落としました。」


「ならまだ恨んでるんだね?」


「いえ、もう恨んでいませんよ。全くと言っていいほどに」


ドレイクから返ってきたのはまさかの答えであった。

これには思わず僕も驚いた表情を隠せなかった。


「出来ればこの質問には正直に答えて欲しいんだ。君の主人は僕だ、例え君がどのような思いを抱いていたとしても受け止めるよ?」


「いえいえ、ですからまったくもって恨んでいませんよ!」


ドレイクは笑いながらそう話す。


「モンスターの世界は弱肉強食です。負けたのならば力がない者が悪い。

昔の私はそのことを認めずにすこしばかりムチャをしましたが、今はあの頃より成長してその辺りの事情も理解できるようになりました。」


「そうか」


「かくいう今の私は沢山の人間にお世話になっていますしね。ご主人、ユキナ様、バスパの果物屋の店主…。このまま世話になりっぱなしだと竜の名を汚してしまいます!借りた分はしっかりと返さなくては」


なんとなく本当にこれがドレイクの本音なのだと理解することができた。

…ドレイクはあれから知らず知らずな間に一歩も二歩も成長したのだ。

僕は彼のその一言を聞けただけで全てを察することができた。


「よし、今日は気分が良いからベルナー様を無事に見つけて家に帰ったら僕がドレイクに果物ジュースを作ってあげよう!」


「え!?ホントですか!?…う〜んと、ならチェルナーの実を使ったご主人特製ジュースが良いです!」


「あぁこの前試作したアレかぁ。仕方ない、気に入ったのなら帰ったら特別に作り方を伝授してあげよう!」


僕とドレイクはそんな雰囲気のままでベルナー様の元への歩みを愉快に進めて行ったのであった。



「何が起こっていると言うのだ。まったく」


バスパの街の中心部に建つとある建物の一室でその男はとても大きなため息をつきながらそう呟いた。

これでも職業柄、これまでも多くの事態を目撃してきたが、これだけ大きなヤマが立て続けに起きたことなど一度も無かった。このバスパの街はダンジョンへの入り口が街の正門から見て目と鼻の先にあるということもあり人がひっきりなしに行き交いトラブルなんて日常茶飯事に発生するがそれを差し引いても異常だった。


「ブロウウルフの暴走個体の突然発生、秘密裏に行われていた奴隷のマーケットと来て次はコルー家の当主が行方不明ときたか…勘弁してくれないか」


男は思い返すように呟きまた大きなため息を漏らした。

するとこの部屋と外とを隔てる扉がコンコンコンとノックされた。どうやら誰かが来たようだ。


「入れ」


「失礼します」


入って来たのは大人びた印象を受ける一人の女性だった。


「ギルド長、昨日からあまり休息を取られていないでしょう?少しは休まれた方がよろしいかと」


「心配かけて悪いなセリーナ。だが俺なら大丈夫、自分の業務に当たってくれ」


そう、セリーナという女性が言った通りこの男は他でもないバスパの街にある冒険者ギルドの長である。

若干40とまだ若いにも関わらず、昔冒険者を生業としていたのが活きて鋭い判断力と行動力を兼ねている男だ。そのお陰もあり冒険者を引退してこのバスパの冒険者ギルドで働き始めてからもあらゆる方向で平均以上の成績を叩きだし数年足らずでこのトップの座についた。

さすがは現役時代冒険者ランク13まで登りつめた男だと褒めるべきだろう。


「確かに最後に寝てから…もう丸々一日経ってはいるが今は休んでいる暇すら惜しいんだよ」


「やはり1週間前に届いた例の置き手紙に翻弄されているのですね」


例の置き手紙というのは今からちょうど1週間前、このギルド長の部屋にあるデスクの鍵付きロッカーの中に知らず知らずの間に何者かにより入れられていた一枚の手紙のことを指す。

これだけ大きな街というだけありこのギルドは24時間営業となっており基本的に深夜であっても冒険者の出入りは可能となっている。だが、ギルド長は基本的に勤務体制が日勤となっているので深夜にはギルド長の部屋には厳重に鍵がかけられる。しかしその防犯策は一夜にして何者かによって破られ、差出人不明の手紙が置かれていたのであった。


「あの手紙には【コルー家当主ベルナーが行方不明】とだけ書かれていたんだよな」


「結局、ギルドの力を使い全力で差出人を突き止めようとしているのですが現状なんの進展もありませんね」


「そうなんだよなぁ。それに手紙の内容でさえも未曾有の事態なのに、この部屋の防犯対策ってかなり高度な筈なんだけど何者かに入られちゃったんだよな。」


「まだ例の奴隷売買の主犯者を逃してしまった一件ですら片付いていないんですけどね…。参ってしまいます」


二人は思わず頭を抱えて黙りこんでしまった。しばらくして先に口を開いたのはセリーナのほうだった。


「とにかく今は考えていても仕方がないですよ。ギルド長は休息をとってください、このタイミングであなたに倒れてしまわれてはこちらも困るのです」


「あっもしかして俺の心配してくれてるの?優しいじゃない」


「違います。今あなたに倒れられても介護する要員がいないので私たちに迷惑をかけないでくれという意味です」


「おっと、相変わらず辛辣なこって」


しかしギルド長は気づいていた。これは彼女なりの気の配り方であるということに。


セリーナはまだこのギルドの受付嬢を始めて半年だが既にここにいる受付嬢の中でもトップクラスに人気があるのだ。

清楚で美人な見た目に反して先ほどのように偶に強烈な毒を吐くことがある。

だけど巷ではその強烈な毒をモチベーションの維持としている者が多く、極めた者はもはや快感を覚えているのだという。その毒の裏に優しさが潜んでいることを皆知っているからだ。

ギルド側からすれば冒険者達が頑張ってくれない限り売り上げが伸びることはない。どのような背景があったとしても冒険者達の動きが活発になるのであればそれに越したことがない。

嬉しい話だ。


「考えても仕方ない…ね。なら言葉に甘えて少しだけ睡眠をとらせてもらうよ、何かあったら起こしてくれ」


「えぇ、ゆっくり休んでください」


ギルド長は大きな欠伸を一つして仮眠室へと向かったのであった。


「ギルド長、あまりにすぎた無理は禁物ですよ」


残されたセリーナの心配の声を聴いた者は誰もいない。





●名前 エデル

●職業 モンスターテイマー

● HP 18714/18714 SP 15443/15443

●レベル 72

●スキル 自己回復 与ダメージ倍増

被ダメージ半減 プラズマフレッグ

瞬間移動 HP自動回復 状態異常無効

王の威圧【大】軍隊指揮 認識超強化

風魔法極 炎魔法極

●特殊スキル 学びLV2 視覚共有化LV1

●テイムモンスター 神狼 金豪鋼鉄竜


●名前 神狼 フル

●HP 18714/18714 SP 15443/15443

●レベル85

●スキル プラズマフレッグ ????

???? ???? 自己回復 与ダメージ倍増 被ダメージ半減 瞬間移動 認識超強化 HP自動回復 状態異常無効 王の威圧【大】軍隊指揮 風魔法極 炎魔法極


●名前 金豪鋼鉄竜 ドレイク

状態 【人間】

●HP 18714/18714 SP15443/15443

●レベル73

●スキル 風魔法極 炎魔法極 極炎のブレス 鋼鉄化 自己回復 与ダメージ倍増 被ダメージ半減 瞬間移動 認識超強化 HP自動回復 状態異常無効 王の威圧【大】軍隊指揮 風魔法極 炎魔法極




●名前 ユキナ メンデル

●職業 魔法戦士

● HP 1992/1992 SP 951/951

●レベル 45

●スキル 火属性魔法 闇属性魔法 無属性魔法 ???? 水属性魔法


300ポイント突破ありがとうございます!さらに1万人以上の方に読んでいただいたとあって感激の極みです!

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