第34幕
「んん〜…」
ぼんやりとしたまま僕はまだ焦点が定まっていない目をゆっくりと開ける。
すぐ横にある窓から朝日が差し込んでいる。
そして真っ先にその目に飛び込んできたのは見たことのある部屋の見たことのある天井。
「…ユキナの家だ」
上半身を起こし背を伸ばしていると、僕はあることに気がついた。
「いい匂い」
その正体は部屋の扉の隙間をくぐり外から漂ってくるとても香ばしい香りである。
鈍っている体をほぐし終えてから僕は少し心を踊らせながらその良い香りの元をたどるように寝室を出た。
リビングへと通ずるいつもの扉に手をかけ開けると、いつも通りお似合いのピンク色のエプロンを可愛らしく纏わせ鼻歌を奏でてルンルンと楽しそうに料理をしているユキナの後ろ姿がまず目に飛び込んできた。
そこまでは確かにいつも通りのこの家の風景だった…そのはずでだった。
だが、今日は…この瞬間だけは明らかに僕の知っているいつものこの家の風景とは違った。
僕はその【原因】に対しての動揺を隠すことができず、声を裏返しかけながらユキナに声をかける。
「ちょ!ちょっとユキナ!?その男の子は一体誰!!?」
もうしかしたらこれは俗にいう【隠し子】というやつなのであろうか?
当たり前かのように調理をしているユキナの横で既に使い終わった調理器具の洗い物をテキパキとこなしてしている男の子についての説明を僕は求めた。
するとユキナは呆れ果てたかのようにジト目で僕を一瞥した後にため息を一つついた。そしてユキナの横の謎の男の子は洗い物の手を休めて少しだけ悲しげな表情を向けてきた。
「えっ?な、何?この雰囲気」
混乱している頭では今の現状把握がまるでできなかった。するとそんな僕の様子に気づいたのかその男の子はいきなり僕の元に走ってきたかと思うと、少しだけ申し訳なさそうにしながらその正体を明かした。
「ご主人、私です。ドレイクですよ」
「……え?嘘でしょ?」
僕は即座にサポナビさんに対して確認をとったところ確かにこの子はあの世界の半分を破滅に追いやったドレイクらしい。
「いや、薄々そんな予感はしていたけどさ。これはさすがに信じられないって…」
確かにこの子からは僕の知っているあのドレイクと同じ威圧を感じる。
そもそも何故に子供の姿?
これもサポナビさんに聞いてみたところ【この街では英雄扱いされてるフルならともかく、邪竜だと街に入れてもらえないと予測できていたから、人間の子供の姿という目立たない姿形にした】とご尤もな返答が返ってきた。
…というかSPってすごいんだね。使いようによっては種族の垣根も越えるんだ。
唖然としながらそんなことを考えていたら、料理の盛り付けを終えたユキナから注意を受けた。
「ほらエデルさーん!ぼーっと立ったいないでお皿、運んじゃってください!」
「あっ、ごめん」
僕はユキナによって作られた目玉焼きと採れたてレタス、そして焼きたてソーセージなどが盛られた皿を食卓に運びながら、男の子の姿となったドレイクの今後についてぼんやりと考えるのであった。
ドレイクとユキナと共に朝食を食べている最中に僕が意識を失っている間に起きた出来事を聞いた。
大きな出来事としては主に3つかな。
まず1つ目。アレク達、奴隷売買に関わっていた人達についてだ。
どうやら聞いた話によると彼らはあの後自首をしたらしい。あれだけのユキナの必死の説得を受けたのだ。きっとアレク達は自らが過去に犯した罪も含め全て白状したはずだ。
そして2つ目。どうやら最近、フルの言動がおかしいらしいのだ。
僕が意識を失ってから目覚めるまで一週間の時間を要したのに対してフルはどうやらその日のうちに目を覚ましたらしく、僕が寝ている間は何もやることがないという理由で暇を見つけてはすぐに外へ行くらしい。
別にそれ自体は何も問題ではないのだが、ここ最近になり夜までに家に帰ってくることが少なくなったらしいのだ。
今、この食卓にフルがいないのもどうやらそれが関係しているみたいだ。
『フルさんの強さは本物ですから余程のことがない限り無事だと思うのですが不安になってしまいます…』
彼女の言う通りだ。食卓は普通、家族全員で囲むものだ。後でちゃんと帰ってくるよう、念波を送っておこう。
そして最後となる3つ目なのだが…最初に言っておくよ、これが1番大きな出来事だ。
どうやら僕が助けたアレクに捕まったあの大勢の人達の中にこのバスパの街でもかなり有名な貴族の三男がいたらしく、「助けてくれた礼をしたい」と先日僕が眠っている間にこの家に本人が直々に訪れたのだという。
そう、つまり僕は貴族の家に招待されてしまったというわけなのである。
「そんな…そんなことがおきていたんだね…」
もう先ほどから冷や汗が流れて止まらないよ。
さらにここでユキナが僕に釘をさしてくる。
「エデルさん、一応言っておきますが貴族の方々は正直な話、あまり性格の良い方が多いとは聞きません。ですが絶対に下手に出てくださいね?
でないと私の家なんて簡単に潰されてしまうので…」
目が笑っていなかった。案外、この世界で一番怖い存在なのは世界を滅亡に追いやりかけたドラゴンより、神の眷属である狼より、実際はユキナなのかもしれない。
「ご主人!貴族の方々と会われるのであれば、まずはそれ相応の服装から準備する必要があるかと…」
ユキナの手作りオレンジジュースをストローを使って飲みながらドレイクが僕にそう提案してきた。どうやらドレイクはオレンジジュースがお気に召したらしい。
「そうだね!最近忙しくてこのバスパの街をゆっくり観光できていなかったし、確かに服も揃えないといけないね」
こうして僕らは胸を踊らせ、街に足を繰り出すこととなった。
そこで災難が起こるなんて想像することもなく。
●名前 エデル
●職業 モンスターテイマー
● HP 18714/18714 SP 15443/15443
●レベル 72
●スキル 自己回復 与ダメージ倍増
被ダメージ半減 プラズマフレッグ
瞬間移動 HP自動回復 状態異常無効
王の威圧【大】軍隊指揮 認識超強化
風魔法極 炎魔法極
●特殊スキル 学びLV2
●テイムモンスター 子神狼
●名前 神狼 フル
●HP 18714/18714 SP 15443/15443
●レベル85
●スキル プラズマフレッグ ????
???? ???? 自己回復 与ダメージ倍増 被ダメージ半減 瞬間移動 認識超強化 HP自動回復 状態異常無効 王の威圧【大】軍隊指揮 風魔法極 炎魔法極
●名前 金豪鋼鉄竜 ドレイク
状態【人間】
●HP 18714/18714 SP15443/15443
●レベル73
●スキル 風魔法極 炎魔法極 極炎のブレス 鋼鉄化 自己回復 与ダメージ倍増 被ダメージ半減 瞬間移動 認識超強化 HP自動回復 状態異常無効 王の威圧【大】軍隊指揮 風魔法極 炎魔法極
●名前 ユキナ メンデル
●職業 魔法戦士
● HP 1992/1992 SP949/951
●レベル 22
●スキル 火属性魔法 闇属性魔法 無属性魔法 ???? ????




