第30幕
1日遅れてしまいました。ごめんなさいです!
身につけているローブが強風によってバタバタと激しくたなびく。
たった今僕は、顔を覆っていたローブのフードを上げて素顔をさらしたところである。
そこは仮設ステージとでも言おうか。そのステージの上に僕はどうやら瞬間移動をしたらしい。いやー正面切って真ん中から堂々と入るのも考えたんだけど、こっちの方がカッコいいかなとおもってね。
今現在、僕の目の前には驚愕の表情と冷や汗を浮かべ、こちらを見てくるアレクがいる。そしてそのアレクの横では、その手首に手綱を巻かれ自由を奪われているユキナがたたずんでいる。
その目から大粒の涙をポロポロと流してこちらを見てくるユキナが。
…僕が無力なせいで、またユキナを泣かせてしまった。
僕はその顔を見ながら強く拳を握る。彼女を守れなかった僕が憎いよ。
もうユキナを一人ぼっちにはさせない。
もう泣かせない。
絶対。
絶対に。
こちらは覚悟は決まった。さて、ユキナも疲れているだろうしフルやドレイク達の戦況も気になるからハッキリ言います。とっととこんなところから去りたい。
僕はユキナの元へ行こうと歩き出す。だがその行動はもちろんアレクによって防がれる。
彼は猛スピードで僕の死角へ持ち前のスピードを用いて移動すると、いきなり僕をあの時に毒殺したキングスコーピオンの毒が塗られたナイフを用いて切りつけてきた。
首筋に2回、右腕に1回。さすが暗殺者という職業なだけあってスピードだけは超人クラスである。
だけど死ぬ以前とは違い、今の僕からしたらそんな攻撃はなんの障害ともならないんだよな。視えるんだよ、なめるな。
「はぁ!?てめぇはなんなんだよ!僕の攻撃を目を瞑って躱すなんて」
そうです。今僕は目を瞑って彼の攻撃を捌いています。
なんたって僕の周りに"シッカリ"と認識超強化を展開させているからね。
なんとなく展開していた今までの僕とは違うのだ。
「僕はあなたに復讐をしにきたんじゃない。ユキナを返してほしいだけだ。攻撃をやめてくれれば僕の方から手出しをする気はない」
「うるせぇええええ!!僕に!僕に指図をするなぁぁぁぁあ!!!
僕はもうこれ以上失敗をできないんだ!」
ダメだ、交渉失敗。さらにナイフ攻撃が勢いを増した。
「聞き分けることくらいして欲しかったよ。そっちが攻撃をやめないのならこっちだって反撃するよ!」
僕はそう言って、未だ攻撃をやめないアレクの土手っ腹に拳を一撃めり込ませてやった。
「グフッ」
あれだけのスピードで僕を翻弄していたアレクは鈍い音とともに膝から崩れ落ちる。
「……なんなんだよ君は。これじゃあ計画が…」
それだけ言ってアレクは白目をむいた。どうやら気絶をしたみたい。
こうして僕は一度殺された格上の相手に対して傷1つ負うことなく、たった一撃で完勝したのであった。
「遅くなってゴメンね。さぁ帰ろうか、ユキナ」
僕は高圧のプラズマフレッグを手元に纏わせ、ユキナの手にくくりつけられていた手綱を焼き切りながらそう言った。
「本当に遅いですよ。…とっても怖かったんですから。だけど、助けに来てくれたので許します!」
久しぶりにユキナの可愛い笑顔を見ることができた。やっぱり彼女は悲しい顔より楽しそうな顔のほうが絶対に似合っている。
だが、そんな彼女の表情をまた曇らせてしまう事案が発生した。
それは僕の登場により状況が読み込めておらず、それまで静かであったステージ前の客席から響いた1つの声によってだ。
「この若造がーー!!!誰の許可があって"ワシの獲物"に手を出しているんじゃ!」
おそらくユキナの前に奴隷競りにかけられたのであろう、そこそこガタイの良い30代ほどの男を四つん這いにさせて、その背中の上に乗り大声を出しこちらを怒鳴りつける腰の曲がって杖をついた老人が一人。とてもじゃないが見ていられないひどい光景である。非人道的だね。どんな神経してれば平気であんな事ができるんだ。
すると、まるで老人のその声を肯定するかのように周りの群衆からも罵声がこちらに向かって飛んでくる。
「そうだぜ!売り物に勝手に触ってるんじゃねぇよクソ坊主」
「競りの邪魔だ!そっからとっとと降りろ!」
「その女は俺がもらう!家に持ち帰って気絶させるほど犯してやるんだ」
それはそれは聞いていられないほどひどいものであった。
無情な罵声、ブーイングの嵐。
そしてその罵声やブーイングは僕の中にあった我慢の許容範囲をとうとう超えた。
「…ふざけるな。ふざけた事抜かしてんじゃねぇぞテメェら!!」
僕の怒号によりそれまで騒いでいた群衆が一気に静かになる。皆の視線が一点に…俺はと向けられた。
「売り物?獲物?彼女は物や家畜じゃないんだぞ!!僕の家族をいたぶるのも大概にしろよ!!!!」
僕はアイテムボックスからバスパの街の鍛冶職人に作ってもらったあの剣を取り出し、プラズマフレッグを纏わせる。
「おい!あの小僧なにかやる気だぞ!」
一人のバイヤーの男がこちらを指差し叫ぶ。
そう、その通りさ。
「"こんな場所"があるからユキナが泣いてしまうんだ!そんな場所はこの僕が壊してやる!!」
プラズマによって本来青色の刀身が鮮やかな赤に染まったその剣を両手で構えて、足元のステージに向けてその剣を思いっきり突き刺す。
ドゴォォォォォォォォォォン!!
ステージ上にいる気絶しているアレクとユキナには当たらないようにコントロールされたその一撃ではあるが所詮、人工物である仮設ステージ1つを壊すには申し分ないほどの威力。
凄まじい音をたてて最大の高さが4メートルはあるそのステージの倒壊が始まる。
「おい!あのステージ、倒れるぞ!!逃げろ!逃げろーー!」
一人がそう叫んだかと思うと、途端にたくさんいたバイヤー達は自分達が買った奴隷達を置いていき、我先にとあっという間に逃げていってしまった。
僕はその光景を確認した後、崩れはじめたステージの上にまだいるユキナと気絶しているアレクを担ぎ、倒壊の被害を受けない安全な場所へと瞬間移動を使って移動した。
「ふぅ」
「エデルさん!『ふぅ』じゃないですって!まだあの場にはあの奴隷競りにかけられて置いていかれた人たちが多数残っていたんですよ!なぜステージを倒壊なんてさせたんですか!?あの人達、もうしかしたら今頃下敷きに…それに奴隷バイヤーの人たちも逃しちゃいましたし!それに…」
ユキナが顔を青して必死になって僕に聞いてくる。
まぁそりゃ気になるよね。よし、それじゃネタバレといこう。
「ちょ!落ち着いてユキナ!これは全て作戦の内だから安心して!
まず、絶対に僕以外の人は気づかなかったであろうけど、実はステージは正面ではなく後ろ側に倒れるよう風魔法を操っていたし、プラズマ攻撃もしっかりコントロールしておいたよ。だからあの場に残されていた既に奴隷競りにかけられていた人達は下敷きになる等のケガは絶対に負っていない。さすがにそのステージ上にいた僕たちは危険を避けるために瞬間移動を使ったけれどね。
そしてバイヤー達の方はというと、今頃きっと"彼ら"が取り押さえていてくれるはず。だから大丈夫さ」
頭にハテナを浮かべるユキナではあったが、ちゃんと僕が考えて行動を起こしていたのを聞いてどうやら安心したらしい。
そしてそんな彼女は、はっと急に何かを思い出したように僕の方を向き直った。
「そうだ!助けてくれてありがとうございます!とーっても嬉しかったですよ!」
彼女はそう感謝の言葉を述べ、僕の頰に顔を赤く染めながらその唇を優しく当てたのであった。感想としましてはそれはそれは柔らかかったです!
●名前 エデル
●職業 モンスターテイマー
● HP 9215/10061 SP 7231/8212
●レベル 72
●スキル 自己回復 与ダメージ倍増
被ダメージ半減 プラズマフレッグ
瞬間移動 HP自動回復 状態異常無効
王の威圧【大】軍隊指揮 認識超強化
●特殊スキル 学びLV2
●テイムモンスター 子神狼
●名前 神狼 フル
●HP 9215/10061 SP7231/8212
●レベル85
●スキル プラズマフレッグ ????
???? ???? 自己回復 与ダメージ倍増 被ダメージ半減 瞬間移動 認識超強化 HP自動回復 状態異常無効 王の威圧【大】軍隊指揮
●名前 ユキナ メンデル
●職業 魔法戦士
● HP 1992/1992 SP949/951
●レベル 22
●スキル 火属性魔法 闇属性魔法 無属性魔法 ???? ????
これからはユキナのステータスも最後に表示しておきます!




