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第27幕

「それでね、その方法というのは実に単純なものなんです。僕のテイムモンスターになっていただければ大丈夫なはずなんですよ。」


僕はとりあえず金ドラ君が聞きたがっていたであろうこの話の肝から話してみた。

だがしかし、予想どおりあちらは首を横に文字通り90度に傾けてどういうことなのかさっぱり意味が分からないというアピールをしてくる。

時間が惜しいので金ドラ君には大雑把に

僕はモンスターテイマーという新発見の職業を授かっているということ。


テイムモンスターの契約をしたらその瞬間に傷が完全完治するのを目の前で見たことがあること。


この契約が成功した時点で"呪縛"は解けて金ドラ君はこのボス部屋の外に出られるであろうということ。


この契約は、本契約が行われる前であれば後からの解除は可能であるということ。


しかし、モンスターコアがここまで深く傷を負っている状態のモンスターとのテイム契約は今まで経験したことないから成功率はおよそ70パーセントとサポナビさんが計算を出していることなどを伝えた。過去に僕がスライムをテイムした時の経験だね。


『ソレデモ構ワナイ。イヤ、私カラシタラコノ部屋ノ外ニ出ラレルトイウナラ何デモスル覚悟ダ。

汝モ時間ガ無イノナラ互イノ為ニ早ク済マセテシマオウ。』


ほう。自分が多少なりともいえ、確率的に死ぬかもしれないというのに僕たちの行動の方を心配してくれるか。よし、ちょっと気に入った!


「ならサポナビさん、準備を!」


【任せて下さい!!こちらはいつでも大丈夫です!】


僕はサポナビさんにそう声をかけながら金ドラ君のすぐ手前まで歩く。

しっかしまぁ、改めて金ドラ君を近くで見てみるとホントにまぁ迫力あるなぁ。

金豪鋼鉄竜という名前の割には全体的にゴツゴツとした身体ではなく、竜種にしては何かこうスラリとしている。だが、それより何より目を引くのは身体全体を覆う金色をした鱗だな。

まるで金の延べ棒が張り付いているみたいにも見えなくもないような…。

いかん!金に目が眩んだ人間ほど怖いやつはいないと聞いたことがある。気をつけよ!


「さて、始めますかな」


僕は右手を金ドラ君の左手に触れて軽く目を閉じた。

そして頭の中でサポナビさんに合図を送る。


【金豪鋼鉄竜をテイム契約しますか

YES/NO】


「もちろん【YES】だ。」


僕は目をゆっくり開きながら、ためらいなくそう選択した。すると一瞬だけ金ドラ君の身体が淡い青色に輝いた。

よし、成功したとみてよさそうだな。


『どうだ?成功したのか?』


フルが僕に寝そべって退屈そうにまるでそれまでずっと寝ていたのか?とこっちが質問したくなるような目をこちらへ向けて聞いてくる。

だが、その目に反して構ってオーラがプンプンと漂ってくる。


「うまくいったと思うよ。ねぇ?」


僕は金ドラ君に確認を一応とってみる。


『あぁ、どうやら成功したとみてよさそうだ。私にかけられていた"呪縛"が一瞬にして消えたのが確認できたし、エデルといったか?汝の凄まじい力の一部が私の身体の中に流れてきてコアの修復が完了したのがよく分かった。』


コアも回復したか!よし、うまくいったみたいで良かった良かった。というか…


「何で言葉が流暢になんてんだよ!どういう仕組みだよテイム契約って!!」


僕は思わず大声でツッコミをいれてしまった。もうわけわからぬ。


さて、そんなわけで一時的とはいえ金ドラ君を仲間にすることが出来たわけだ。だがまだ終わりではないんだよなぁ。


「短い間になるかもしれないけどよろしく。さて今まで聞いてなかったのだけれどあなたの名前ってなんなんですかね?」


金ドラ君なんて僕の心の中でこれまで読んでたあだ名で呼ぶわけにはいかないし、これからは短い間とはいえ一緒の時間を過ごすなら名前くらいは知っておかないといけないなと思って僕はそう質問した。


『私か……』


なんだ?言いずらそうに下を向いちゃったけど。


『私には名前がない。少し前私がとある理由で世界を破滅に追い込もうとした時には魔王や破壊者などという二つ名で呼ばれていたことがあったが、ハッキリとした名前などというものは与えられていないのだ。

私の両親は私を産んですぐに竜の鱗を狙った人間に殺されたらしくて。』


なんか辛い記憶を蘇らせてしまったようでかなり悪いことをしてしまった。

てねも名前がないと不便だからな、本人が気にいるかはわからないが僕が仮名をつけてあげようかな。


「そうなの?それなら…」


僕が頭で思い浮かべた一つの名前を言おうとしたその瞬間、こちらの会話を聞いていたフルが立ち上がったと思ったら金ドラ君に向かって凄まじい殺気を放ちながら鬼のような形相で睨みつける。


「フル?どうした。」


『…貴様!まさか両親を殺された腹いせで…たかがそれだけで世界を半分破滅に追い込んだのではなかろうな!!』


『此方フルと言ったか?そなたは両親を殺されたことを【だけ】と表現するのか?その鱗を狙った人間共は私の両親に正々堂々と真っ向から勝負した訳でもなく寝ているところを不意打ちしたのだ!!地面を濡らすほどに流れる両親の血、高笑いする1000を超える人間共の顔…忘れることはない』


金ドラ君が続ける。


『生憎その時の私は非常に小さな子供だった為に討伐を運良く逃れることができた、しかし当然当時の私は死ぬことばかり考えていたさ。どうせなら両親と共にこの世を去りたかったと生き残ってしまった自分の幸運を呪うほどに恨んだ。そして私にとっては両親を失ってからはただひたすらに悲しく虚無だった。だがいつしかこう考えたのだ。大切でかけがえのない物を奪っていった人間に、そして世界に復讐をしてやろうとな!!そなたにこの気持ちの何がわかるというのだ!愚かだ。貴様は愚かだ!』


金ドラ君が怒りを露わにして大声でフルに向かって叫んだ。

しかし、そんな金ドラ君とは逆にフルが氷のように冷たい声でこう続けた。


『我も幼くして両親を人間に殺され今だに兄も行方不明。長い間孤独を抱えて過ごして生きていた。だが、そんな両親を殺めた人間に…世界に復讐しようとは一度たりとも考えたことがなかった。なぜだかわかるか?』


フルが幼少期の時代を語り出した。そういえば、フルと出会う前のことはあまり聞いたことなかったかも。


『両親がよく我にこの世界がお主によって半壊していた時の話をよくしてくれたからだ。

当時我の両親の巣穴があった場所は近くに神秘的な透明度を誇る湖があり、そこの守護を両親はある者から任せられていた。そこは深い密林に覆われていたが、ある時貴様がその翼で飛び、無造作に空から放ったのであろうブレス攻撃一発により密林は瞬く間に炎で覆われ、当時密林にいた我らの一族と代々一緒に手を取り合い住んでいた人間の先住民族達や動植物の死骸の山が出来上がったという。

他の生き物達より多少なりとも力のあった両親達はなんとか命辛々その密林から逃げ、ビヤルドの街から少しだけ離れた森に身を隠さざるをえなくなった。

先程も申した通り我らが一族は、人跡未踏の地にある2つの湖の守護、見回りを任せられていた。しかしそのうちの一つはその時期を境に透き通った綺麗な水から森に住んでいたもの達がその炎に焼かれた者たちの流した血がそこへ流れて溜まり、血の湖になってしまったという。』


「……そんなことが」


僕はフルの話に驚き、金ドラ君は静かに目を瞑って顔を下に向けその話を聞いていた。

なんて凄まじい話なのだろうか…。


『なので我は".復讐"はしない。そんな…そんなちっぽけなものよりもっともっと大切な物も知ったし』


悲しげな表情を浮かべてそうとだけ言い残すと瞬間移動を使ってフルはどこかへ消えてしまった。

多分、僕たちより一足先にユキナが捕らえられていると予想されるあの場所へ向かったのだろう。


『私は…』


金ドラ君にはどんな風にあの話が伝わったのか。


『私の選択は間違っていたのだろうか…いや私のほうがよっぽど愚かだったようだ…な。

あのフルという者のほうが私なんかよりよっぽど強い。果てしなく。』


双方の気持ちを僕は理解できる。金ドラ君もいかなる理由でも勿論世界を破滅に追い込みかけたことは悪いことだと思うけど。

だけど金ドラ君の仮とはいえ主人は現在僕なんだ。だから、主人として少しだけ背中を押して道しるべ、ヒントをあげようと思う。


「やったことは今頃悔やんでも仕方がない。それなら今フルの為の力になれる君の一番取るべき行動とは何かな?」


僕の方から答えを教える気はさらさら無い、しかし彼ならきっと気づいてくれるだろう。

その証拠にうろたえた顔から決意の表情になった。

そうだ。そっちのほうが凛々しくてかっこいいじゃん。


『ご主人!確かあなたのご家族が何者かに捕らえられたのでしたな。助けに参りましょう!!おそらくフル殿もそちらに向かったはず。私はあの方にやらなくてはいけないことができた!』


ご主人か。悪くない響きだなぁ。

だけどこのまま急いでユキナの場所へ行ってもいいのだけれどやっぱり味方がたくさんいたに越したことはないよね?


【ああ!!私、ご主人様の考えが読めましたよ!!その考えの成功率は95パーセントです。実行に移しても問題ありません!!失敗することはほぼ無いと見ていいでしょう!!】


さすがサポナビさんだ、すぐに僕の考えを察して瞬時に成功率を導いてくれた。


「ならいっちょやるかね」


僕は目を閉じて集中力を高める。

まず第1段階 「認識超強化でこのダンジョンの1階層から99階層にいるモンスターの場所を検索する。」


よし、成功したぞ。49階層からさらに下にいたモンスター達は僕がほぼ半殺しにしたからあちこち無駄には動いていないようだな。

そう、ここへ来る道中、半殺しで終わらせた理由は実はこれさ。

でもさすがに一つ一つの階層が広く、階層数もモンスター自体もたくさんなので、少し疲れて脂汗が出てきたがまだまだこれからだ。


さて第2段階へ移行だ。

僕の頭に思い浮かべているダンジョン内のすべての階層に向けていつしか風王狼を倒して特殊スキル学びLV1で手に入れた【王の威圧大】というスキルを初めて使った。


自分で使っておいて言うのもあれだけど、これがまたすさまじい威力を発揮させた。1階層から99階層が範囲なので、この100階層に向けては発動させていないのに。なんかこう、空気が震えるような…そんな感じが伝わってきた。

これには金ドラ君も冷や汗を流して

『凄まじい…!』とか言っていたことからも頷けるであろう。

後で調べてみるとこのスキル、どうやらスキル発動者より大幅に弱い者に対して恐怖で行動を制限させるある意味、金縛りに似た効果を発揮させることのできる代物みたいだ。もちろんこのダンジョンに僕より強いモンスターなんかは存在しないので全てのモンスターの動きを一気に完全に停止させれたのがわかった。

つまり、この時にこのダンジョンにいるモンスター達の頭に強制的にかつ強引に僕の方が強いということを刷り込ませたのだ。


さぁ、最終段階だな。僕は次の瞬時。

「半強制的にテイム契約をそいつら全員と結ばせた」

よって、簡単にいえばこのダンジョンはもはや僕の所有物になったと言ってもいい。こんなことはモンスターテイマーであり、かつ膨大なSPがある人しかできない。つまり世界で僕くらいしかできないことを今やり遂げましたー。

まぁそもそもこの100階層にたどり着いたのもモンスターテイマーの職業を持っているという事実も僕が人類史上初なんだけどね。


え?こんなことして大丈夫かだって?

安心してよ!これまた風王狼から学んだ軍隊指揮のスキルで全てのモンスターに指示ができるから、人に危害がくわわることは無いし、ユキナの奪還が終わったら全員契約を即座に切ってこのダンジョンに瞬間移動で戻させるから。

それにずーっとこのダンジョンに入ってから一人も冒険者に会っていなくて変だと思ったらこれはあのアレクという男が手を回していたんだと思う。

つまりユキナをそこまでして…ダンジョンへの出入りを完全規制してまでも奪いたかったのだろう。理由は多分、ユキナを奪う自分の正体を他の冒険者の誰にも知られてはいけないと上司か誰かに釘でも刺されているのだろうと大方予想できる。

そのせいで僕とフルは殺されたけど、まぁ生き返ったからもはやあんまり気にしていない。


「さてと。それじゃあ皆んな?そろそろユキナの奪還に向かおうか?」


僕はそう言い、指パッチンを一つをした。すると、僕を含めた現在このダンジョンにいるすべての生物を瞬間移動で一瞬にして地上へと移動させた。


…さてと。少し時間を食ったな。


「待ってろユキナ絶対助けて出してやるからな!!」


僕はデッカい満月が真上に登った夜空に向かってまるでどこまでも響き渡る遠吠えかのような大声で決意を口にしたのであった。




●名前 エデル

●職業 モンスターテイマー

● HP 10061/10061 SP 3560/8212

●レベル 72

●スキル 自己回復 与ダメージ倍増

被ダメージ半減 プラズマフレッグ

瞬間移動 HP自動回復 状態異常無効

王の威圧【大】軍隊指揮 認識超強化

●特殊スキル 学びLV2

●テイムモンスター 子神狼


●名前 神狼 フル

●HP 10061/10061 SP3560/8212

●レベル85

●スキル プラズマフレッグ ????

???? ???? 自己回復 与ダメージ倍増 被ダメージ半減 瞬間移動 認識超強化 HP自動回復 状態異常無効 王の威圧【大】軍隊指揮



次回更新予定

2018/3/31

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