第22幕
●名前 パープルフェリス
●HP 832/832 SP251/251
●レベル 8
●スキル 認識超強化
『キシキシキシキシ…』
…来なければよかった。
二人がボス部屋で最初に思ったことがそれだ。
「エデルさん…この部屋へ私を無理やり連れてきた責任としてアレ、倒してくださいね」
ユキナが笑顔で僕に言ってくる。
だが目が笑っていない。
「そんな!無理やりってことはないじゃん!君の了承を経て…」
「できないのですか?」
「すいませんでした!やります!」
僕の必死の抵抗はユキナの笑顔の前に崩れ去った。
「かといってアイツには触りたくないな…」
だって読者の皆さんもそうでしょう?
普通、赤紫色した巨大ゴキさんとの戦闘なんてしたいですか?
だが、ボス部屋というのはどうやら入ったら最後、僕らがやられるかボスを僕らが倒すしか出る手段がないので、やるしかないのである。
「ユキナ、僕がいいと言うまで後ろを向いてて」
僕はユキナにそう言いつつ足元に丁度よくあった手頃な石を拾う。
その間にパープルフェリスは壁を高速で伝って僕の元へ急接近してきていた。
なかなか目に良くない恐怖の光景だ。
僕はその石に与ダメージ倍増をかけて全力でパープルフェリスに向けてそれを投げつける。
「おりゃあ!」
グシャ!
石がパープルフェリスに当たった瞬間、そんな音とともに体が爆散した。
「うわぁ…余計にグロデスクになった」
そんな亡骸と化したパープルフェリスの下にはよく見るとそこそこの大きさの魔石が落ちている。
ガチャリ。
それに背後にあったボス部屋の扉もどうやら無事に開いたようだ。
【学びLV1の効果によりスキル認識超強化が使用可能になりました。】
アナウンスさんの声がした。
うん?認識超強化?
お!?
そうだ!いいこと考えた!
僕は覚えたてのそのスキルを早速使ってあることを試みる。
「できた!」
今現在僕の頭の中にはこのスキルにより1階層から9階層までのこのダンジョンのマップが描かれている。
「どの階層もフィールドが広いからちょっとキツイな…SPの消費が激しいよ…」
本音を漏らしながらも次の段階に移動する。
「ドロップアイテムを認識【ターゲット】!」
すると、頭のマップにダンジョン内に主にフルや僕がここへ来るまでの道中、拾うのめんどくさくて放置していたドロップアイテムが落ちている場所が表示される。
「認識【ターゲット】物をアイテムボックスに瞬間移動を敢行!」
その瞬間、1〜9階層全てのドロップアイテムが僕のアイテムボックスへ移動したのがなんとなく分かった。
てかなんのドロップアイテムが入ったかも手に取るように分かるぞ!
すごくないかこれ!?
さすがは認識超強化だ!有能スキルだ!
「あの〜?もうそちらへ向いててもいいですか?」
とユキナが話しかけてくる。
「いいけど、あまりオススメできないなぁ…」
だってユキナがたっているすぐ後ろ5メートルでゴキがグシャってなってるもん…
体が大きいせいでいつものようにまだ完全に地面に呑まれてないし。あれは見たら完全にトラウマものだしね…。
ということでユキナに目を瞑ってもらい僕が彼女のその両手を引っ張り先導しながらボス部屋を出ました。
戦利品
聖水×12
爬虫類の尻尾×18
魔石【小】×29
魔石【中】×3
「「疲れたーーー!!」」
僕とユキナは家に帰るなり声を揃えそういう。
これこそが家に帰り一番最初に人が発する言葉第1位だと思う。
唯一の例外はフルだ。家に帰る途中に合流できたのだが、彼だけは『絶対明日もダンジョンへ潜るぞ!エデル!絶対明日も行こう!』とか意気揚々と言う。
さすが疲れ知らずは伊達ではない。
家を出る前はあれほど日は高かったのにすでに戻る頃には夕方で僕もユキナも帰ってくるなりソファーに深く腰をおろして楽にする。
フルはユキナと僕の間に後から強引に割り込んできてユキナにモフモフをしてもらっている。
フルの強さ加減の注文に必死に答えながらモフモフをしてあげてるユキナの姿はとても微笑ましいものだった。
「そういえばフルさんとエデルさんはどのようにして出会ったのですか?」
外から差し込む夕日で顔が赤く照らされたユキナがフルに構いながら僕にそう聞いてくる。
そういえば、まだ僕らのことはまだ詳しく彼女に話したことはなかったな。
「あぁ、僕たちはね…」
僕はフルとの出会い、ユキナと会う前までの生活のことや故郷ビヤルドの街のことについて話す。
「…でね、この街を目指している最中に君に出会ったんだ」
思えば二十歳の誕生日を迎えてからいろいろあったものだ。
改めて考えると、まさか僕なんかが未知の職業になり家族が二人もできるとはね…
「おぅ!よくきたな!ちゃんと作っておいたぜ!」
威勢のいい声が僕の耳に入ってくる。
あれから2日がたち、今僕は一人であの工房へ来ていた。
「それでこれがその武器ですか?」
僕は手元の剣を鞘から抜いて赤色の刀身を見ながら聞く。
「そうだ。刀身をグレイドブラストから稀にしか手に入らない赤色のブラストサファイアだけを使いそこへ俺のもつ技術全てを凝縮させた最高の一品だぜ!
英雄様にパチモンなんか使わせらんねぇからな!」
お…おう。なんかよく分からないがなんとなくとてもすごそうなのは分かった。
「しかしその剣は威力は申し分ないんだが、あまり街中では振り回すなよ!あぶねぇからよ!」
不思議なものでこの剣は持つとまるで手に吸い付さついたような感覚になる。
それほどまでに僕の手にフィットしているのだ。
「それとこっちが防具の胸当てなんだがその…性能は悪くないんだけどよ…」
なんだろう?何か言いづらそうにしている。
「防御性能を少しでも上げる為に工房の奥にこれまでずっとしまったままだったグレートドラゴンの鱗を加工して作ってみんだが、あんたが今手に持っているブラストサファイアを使ったその剣と併用して使うと何故かモンスターが集まりやすくなるという効果が生まれるらしくてな」
「う〜ん。その効果、僕からしたら逆にかなりありがたいのでこれら貰っていきます。」
だってサポートさん曰くこの二つの装備でレベルアップの効率が1.5倍ほど上がるとの情報なんだもん、これを逃す手はない。
「まぁあんたがいいと言うのなら俺もいいのだが…」
半分呆れた顔して工房のおじさんは僕を見てくるのだった。
〜メビウス5階層〜
「あの、これはどういうことでしょうか?」
「あれ?お気に召さなかった?」
『我は似合ってると思うぞ!』
「いえ装備の事ではなく、何故一緒に私もダンジョン攻略をさせられているのかということです。」
いやー実は僕、工房のおじちゃんにユキナのことを考えて魔法戦士が扱いやすいであろう防具と武器も内緒で注文してたんだよね。
魔法を刀身に纏わせ戦う魔法剣と相手からの魔法攻撃なら完全防御できるミラーシールドだ。
「ほら、やっぱダンジョン攻略は少しでもたくさんの人と行ったほうが楽しいじゃん?
それにユキナも経験を重ねるという意味ではプラスにもなるだろうしさ。」
「ダンジョン攻略をピクニック感覚で言わないでください。」
一喝された。
だけど僕ももっとレベルアップしたいしユキナにも戦闘というものを知ってもらわないとね。
そんな話をしていると、丁度よく僕らの前方から10匹のそこそこの大きさの毛虫のモンスターがモゾモゾノロノロとやってきた。
『ほう、我の前にたつとは毛虫共よ!覚悟するがいい!』
「いや、ユキナ!君だけであれを倒すんだ!」
『断るぞ!ユキナ!それなら我と勝負だ!』
フルが毛虫の大群に向けて走り出す。
「もう知りません!やれるだけやってみます!」
ユキナもそれに続く。
『これでも食らうが良い!プラズマフレッグ!』
バリッ!
「おぉさすが!」
「火属性魔法を展開!はぁぁぁああ!」
ズパン!!
「えぇ!?」
結果、二人共もの凄かった。
フルはいつも通りやりたい放題にプラズマで倒すのだが、驚かされたのはユキナの安定感の方だった。
まだ多少ぎこちないながらも火属性の魔法を剣に纏わせる技術を戦闘一発目で早くも使いこなしており、フルの戦い方を激しいと表現なら、ユキナはその剣で優雅にかつたった一撃で確実に毛虫の核をズバズバと砕いていった。
さすが魔法戦士、動きのキレは熟練冒険者並でレベルは高くなくともすでにチート級だ。
…てかユキナってこんなに強かったの?
そんな調子で二人は5分もかからずあっという間に毛虫の軍隊を完全壊滅させた。
うわ怖ッ!
彼女は絶対に怒らせないようにした方がいい。
それが初めてユキナの戦闘を見た僕の感想だった。
●名前 エデル
●職業 モンスターテイマー
● HP 7721/7721 SP 3021/3046
●レベル 48
●スキル 自己回復 与ダメージ倍増
被ダメージ半減 プラズマフレッグ
瞬間移動 風魔法 硬化 HP自動回復
王の威圧【大】軍隊指揮 認識超強化
●特殊スキル 学びLV1
●テイムモンスター 子神狼
●名前 子神狼 フル
●HP 7721/7721 SP3021/3046
●レベル66
●スキル プラズマフレッグ ????
???? ???? 自己回復 与ダメージ倍増 被ダメージ半減 瞬間移動 風魔法 硬化 認識超強化 HP自動回復 王の威圧【大】軍隊指揮
●名前 ユキナ メンデル
●職業 魔法戦士
● HP 1972/1972 SP905/951
●レベル 20
●スキル 火属性魔法 闇属性魔法 無属性魔法 ???? ????
次回更新予定
2018/3/15




