(1)違う輝き
それから。
理永は、魔石を眺めていた。
小さな魔石の中で、
淡い金色の光が揺れている。
少し前まで、
何も入っていなかった魔石。
そこへ、自分の魔力を入れた。
ちゃんと入った。
それだけでも、
理永にとっては十分に面白いことだった。
けれど。
ふと、以前見つけた魔石と並べてみる。
「……あら?」
輝きが違う。
自然の中で見つけた魔石は、
淡く透き通った色をしている。
それに対して、
自分が魔力を入れた魔石は――
ほんのりと、
金色が混じっていた。
「……魔力が違うから、かしら」
理永は魔石を光にかざした。
窓から差し込む光を受けて、
中の小さな光が揺れる。
けれど。
理由までは分からない。
「……まぁ、いいか」
理永は、
あっさりと魔石を机へ戻した。
分からないことは、
これから分かるかもしれない。
今すぐ答えを出す必要もない。
それより――
もう少し、
入れてみよう。
理永は魔石をひとつ手に取った。
胸の奥にある、
淡い霧のような魔力へ意識を向ける。
ゆっくり。
少しずつ。
手のひらへ集めていく。
淡い金色の霧が、
ほんの少しだけ指の隙間からこぼれた。
それが、
握りしめた魔石の中へ吸い込まれていく。
「……入った」
けれど。
前より少し増えただけ。
それでも理永は、
気にせず続けた。
急ぐ必要はない。
理永の魔力は、
もともと強いものではない。
だからこそ。
少しずつ。
ほんの少しずつ。
魔石の中へ、
金色の光が溜まっていった。
やがて。
理永は、
魔力を入れ終えた魔石を窓辺へ並べた。
ひとつ。
またひとつ。
小さな魔石が、
窓辺に並んでいく。
朝の光を受けると、
それぞれが淡く輝いた。
「……綺麗」
理永は、
その前に座り込んだ。
妖精たちも、
いつの間にか窓辺へ集まっている。
精霊たちも、
静かにその光を見つめていた。
理永は満足そうに、
並んだ魔石を眺める。
「……うん」
それだけだった。
魔法を使わなくても、
困ることはない。
妖精もいる。
精霊もいる。
今までだって、
そうやって暮らしてきた。
だから――
魔法を使えるようになったからといって、
何かをしなければならないわけではない。
ただ。
こうして自分の魔力が、
小さな光になっていく。
それを眺めるのが、
少し楽しかった。
窓辺には、
小さな魔石が並んでいる。
淡い金色の光が、
静かに揺れていた。
理永はそれを眺めながら、
満足そうに笑った。




