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80 どんな成果を期待してます?

「ミリッサはどんな成果を期待してます?」


 この五人のうち、ミリッサと呼び捨てにするのはこの子とンラナーラ。

 ジンと違うのは、ですます調が自然だ。

 語尾がはっきりしていて、聞いていて気持ちがいい。

 授業では最前列にいつも座り、俺の言い間違いやちょっとした計算間違いを指摘してくる。

 サークル歴も一番古く、率先して動く、いわばリード役。


「どんな成果か……」

「何を期待されてるのか、それに向けて私たち五人、頑張ろうと話し合いました」

「うん。ありがとう」

「なので、聞かせて」

「ブルータグの願いから始まった話。だからブルータグの悩みが晴れること」


 しかし、この解だけではいけない。

 これだけではブルータグにとって重荷になる。


「それだけじゃない。解明する過程で、サークルの結束力というか、がいい方向に行けばいいと思ってる」


 なにしろ、白い目で見られがちな競馬サークルなんだから。

 誰もが羨むような団結力があれば、外野の批判的な目も、少しは柔らかくなるだろ。

 これは副次的な成果。

 もちろん、事実を事実として明確にし、それを受け入れる。

 ま、そんなところかな。


「なるほどー、ですね」


 ミカンは微笑み、ブルータグとピンクタグは、うんうんと頷いた。

 ンラナーラは、関係ないけど、というようにそっぽを向いた。

 スズカは、期待していた答えと少し違うのか、肩透かしを食らったような顔をしている。



 各自の抱負は先週のミーティングで聞いた。

 それぞれが、各自なりのやる気を見せた。

 そう言わざるを得ない雰囲気もあったし、今も、ブルータグの手前、マイナス引力の言葉は出せない。


 あえて、この娘たちの言葉に念を押す必要はない。

 むしろ、こちらが念を押されている。

 ことがうまく運ばなかったときの証文を要求されたようなもの。

 先生は、あの時、こう言った、と。


 スズカにはそういう面がある。

 自分に対しても他人に対しても。

 意識するしないに関わらず、自分は安全地帯にいたい、という心理がある。

 自分を守る武器は常に身につけておきたいタイプ。


 きっと、ミカンやブルータグに、見栄でも切ったのだろう。

 自分はちゃんと考えてる、ちゃんと取り組む、と見せておきたい。

 でも、上手くいかなかったときの保険もしっかり掛けておく。

 そんな学生だ。

  

「俺はね。ジンをサポートしたい。そしてブルータグの気持ちが晴れたらそれでいい。ということ」

「わかりました」

 本当にわかってくれたのかどうか、怪しい気もするが時間切れ。

 この信号を渡れば、もう駅だ。



 阪急の駅で、スズカらと別れた。

 後、十五分歩いて、JRの駅。


 ん?

 ンラナーラがついてくる。

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