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5 仄かに甘いラスクをかじりながら
妖村のランの屋敷に落ち着いた。
だが、いつまでもここで、顔を突き合わせているわけにはいかない。
合戦の終了と関西地方の環境の安定化は、何日かかるか、分からないのだ。
どうしたものか。
思いついたことはある。
お館様の医療であれば、この娘の病も快方に向かうのではないか。
スペーシアの大腿骨骨折がわずか二、三日でジョギングでもできるようになった、あの医療なら。
ランに依頼できるだろうか。お館様に依頼できるだろうか。
しかし、今、この女には話せない。
期待を持たせるわけにはいかない。
「ハルニナ、ちょっと」
「そうね。あそこに移動してもらいましょうか」
カニの療養所。
あそこならベッドもある。人間の医師がいて看護師がいる。
逃げ出される恐れもない。
「頼めるか?」
「うん。今、呼びに来させる?」
「頼む」
「ヲキさんにも伝言しとく。相談相手になってあげてって」
「ああ。彼なら」
女らを送り出し、一息ついた。
同時に、疲れがどっと押し寄せてきた。
熱いココアを啜り、仄かに甘いラスクをかじりながら、ハルニナとメイメイと、少し話をした。
「どうなるんだろ」
「合戦? それとも今の三人?」
「どれもこれも。なにもかも」
「でもまあ、当面の関心事は避難命令解除かな? 長くはかからないみたいだけど」




