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38 先生に思考を丸投げしちゃ、だめ

 八人の団体で正門を潜った。

 守衛さんにちゃんと挨拶しろよ。


 ジンとアイボリーと並んで歩く。

 三年生五人の一団は、スズカが引っ張る形でどんどん先を行く。

 少し距離が開いた。

 スズカの笑い声が聞こえる。

 ブルータグのハスキーな声が聞こえるが、何を話しているのかまではわからない。


「あーぁ、あんなに歩道いっぱいに広がって」


 ジンとアイボリーは、ひとしきり、今日の授業の感想。

 そして、今週末の京都競馬場、神戸新聞杯のこと。

 加えてもう一つ、これが最も盛り上がった。


「ねえねえ、ミリッサ、ビワイチなんだけど」


 ビワイチ。琵琶湖一周徒歩の旅。


 授業内で話した雑談である。

 かねてから行きたいと思っていた。

 今週土曜日からスタートの予定。


 二人が、一緒に行きたいと言い出した。


 いいけど。

 足手まといになるなよ。

 え、それって、逆じゃない?

 ボクらの方がずっと若いんだし。

 ふん。第一回は、JR塩津駅から木之本までだ。

 二十キロくらいは歩く。

 寄り道もする。お洒落なカフェとかじゃないぞ。神社や日本大木百選とか清水百選とか。

 昼飯は、公園とか湖岸のベンチで。 

 へばっても、おいていくからな。

 そうそう、念のため、クマよけの鈴、つけて来いよ。

 ひえ~、そうなん?


 JR大阪駅、七時半集合、と決めた。



 信号にかかり、前を行く三年生グループと距離が開いた。

 ンラナーラとミカンが振り返ったが、待ってはくれぬらしい。



「ねえ、ミリッサ、相談。ブルータグが言ってた話。なんか、するべき?」

 と、ジンが言い出した。

「あれからも会うたびにブルーが言うんだよ。ホント、涙ぐみながら」


 そうだったのか。


 しかし、サークルとして取り組むかどうかは、部長であるジンが決めること。


「ジンは、正直、どうしたい?」

「ボクは……、まだ、わからない」

「じゃ、まだ、決める必要はないよ」

「それって、ボクが決めなきゃいけない?」

「そう。ブルータグは部長のジンにそう言ったんだろ」


 実際は、ブルータグから直接依頼されている。

 自分なりに警察に聞けることだけは聞いてみようという気になっている。

 大阪府警の幹部に会う予定もある。

 ヨウドウも誘ってある。

 だが、それとこれとは別。

 あくまで、サークルとしてどうするか、ここに口出しはしないと決めている。

 顧問の講師が学生を使って取り組むことでは絶対にない。


「でも、ボクはミリッサの意見を聞きたいんだよ」

 食い下がるジンをアイボリーがたしなめてくれた。

「ジン。それって、ちょっと違うと思うよ。あくまでジンがどうしたいかってことを話して、それで、どうですか、って聞かないと」

「わかってるんだけど」

「先生に思考を丸投げしちゃ、だめだよね」

「うん……」

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