37 教室に入っとらん!
ガラと戸を開けて入ってきた二人連れ。
遅刻だぞ。
えええっ、だってバスが混んでて積み残しになっちゃって。
理由はどうでもいい。ち・こ・く。
ええっ、ちゃんと間に合って返事したもん!
教室に入っとらん!
ピンクタグとブルータグ。
双子の姉妹。
二人とも競馬サークルのメンバー。
この夏前から入ってくれた新人部員。
最後列の机に並んで座って小さく手を振ってきた。
昼休み。
袖にチョークの粉を大量に振りかけながら黒板を消し、教室の後片付けをして学生食堂に向かった。
秋学期が始まったばかりとあって、大混雑。
魚フライ定食のプレートを手に入れたものの、職員講師用テーブルは満席。
こっち、こっち!
と手を振ってくれる学生。
ブルータグとピンクタグだ。
隣が空いてるよ、と。
二年生の時から、授業を受けてくれているから、なじみの二人。
一緒に昼食を摂るのも初めてではない。
ブルータグが姉、ピンクタグが妹、ということになっている。
双子とはいうものの、容姿は全く違う。
姉のブルータグは小柄で細っこいが、ピンクタグは大柄。
性格もかなり違う。
大阪漫才的に言えば、ブルータグがツッコミで、ピンクタグがボケ、という好対照。
いずれも心根の優しい娘。
ブルータグの濃いが澄んだブルーの瞳。短いボブカットをちょんまげのように束ねている。
ピンクタグは深みのあるピンクの瞳。キャラメル色のセミロングの髪をくびれカールにしている。
好対照の双子姉妹。
彼女たちがサークルに入ってくれて、ぐんと賑やかになり、ジンも何かにつけて二人に目をかけている。
ブルータグのハスキーだが大きな声。
「あんなあ、センセ、覚えてる? 前に、ウチらがバイトしてるお店に来てくれたこと、あるやんか」
「ああ。福島のたこ焼き居酒屋」
「そうそうそう。マスター、死んでしもたんですよ」




