敗勢
冷夏視点です。
神聖魔法は神力
魔法は魔力を消費します。
マイナスにならない限り気を失ったりはしません。
(0までは大丈夫)
潰れたゴブリンの死体。
前にスプラッター映画を見たときは、これと言って感想はなかったかな。
少しびっくりしたぐらい。
色々な規制がテレビにはあったのだろうし。
でも今は違う。
気持ち悪いし、テレビと違って臭いがするのがきつい。
吐きそう。
突然、何かが叫びながら飛び出してきた。
何あれ?
大っきい!
嘘でしょ!!
その大っきい塊が叩きつけてきた棍棒をジグさんが、ひらりとかわす。
私の足は、すくんで動かない。
「(マドウ何あれ?あれ何?)」
さっきのゴブリンには感じなかった恐怖を感じる。
『オーガ。妖魔で捕食者。』
『まずい事になった。』
『捕食者を恐れるのは本能だが落ち着け冷夏。』
ジグさんとテグさんが連携して戦っている。
私は何も出来ずそれを眺めるだけ。
怖いと本当に、足って震えるんだ。
『(大魔法で強制転移か?だが座標を定める時間がない。)』
『(しかしこの世界で、冷夏が知るポイントは[簡易神殿] [死神の泉] 近すぎる。)』
「(マドウ。どうしよう?どうしたらいい?)」
『ゆっくり息をしろ冷夏。』
『そなたは、日に神力8つ分の神聖魔法が使える。まずはそれで、対応する。』
ぐるり。
デグさんに猛攻をかけていたオーガが振り向きざまにジグさんを打った。
何かが砕ける嫌な音がしてジグさんが吹き飛ぶ。
オーガが振りかぶる。
反射的に手のひらをオーガにむけて、叫んだ。
「死神よ。気撃で、オーガを、撃て!」
止めを刺そうとしていたオーガの頭に白い光の球が飛んでゆき当たる。
オーガがこちらを向く。
ジグさんは動かない。
『今ので2つ使った。残りは神力6。』
『ダメージはあるはずだが、やはりオーガはタフだな。』
向き直ったオーガと私の間にデグさんが入る。
デグさんが自らを鼓舞するように叫ぶ。
「ジグさんを癒やします。」
『落ち着け、冷夏。』
『致命傷だけ、癒やせ。と言うんだ。あの怪我の感じでは、全回復には神力が足りない。』
「死神よ。致命傷だけ、癒して!」
倒れているジグさんの体が光る。
でも、立ち上がる気配はない。
駄目なの?
どうなってるのマドウ。
『神力5を使った。残り1。』
『(致命傷がなくても、動けない程の傷。神力の無駄だったな。)』
『詰みだ。デグが時間を稼ぐ間に逃げる。村の簡易神殿の死神のモチーフを思い浮かべろ冷夏。』
逃げる?
私一人で?
『最早どうにもならない。』
『せめて村にオーガの出現を伝える。』
『駄々をこねるなら、座標を定めず跳ぶが…』
逃げるの?
目前でデグさんが命懸けで戦斧を振るっているのに。
将棋勢解説
マドウは『詰みだ。』と言いましたが、正確には「詰めろ」をかけられた状態ですね。
なので、デグが効いている間に玉(冷夏)を逃がそうとしています。
私の黒歴史がまた1ページ。




