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【3章完結!】  ステータスダウンしかできない無能デバッファー。追放宣告を受けてしまったが実は最強デバッファーでした。  作者: 追放されるけど何だかんだでハッピーなのが好きな人
一章 無能と呼ばれる男
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無能 先行する part9

総合1000pt超えてた!

これも皆様のおかげです!

ありがとうございます!


合流しようと思っていた幼馴染。もしかすると合流できるかもしれないとは思っていたが、まさかこのような形で居場所が分かるとは夢にも思っていなかった。

しかもその状況は最悪だった。騎士団の三人の会話から察するに、おそらく何者かの襲撃を受け、他の者たちを逃がすために囮役を引き受けたのだろう。


「つまりだ。君たちは隊長命令を無視した挙句、同胞を犠牲にして助かろうとしたんだね」

「「っ!?」」


レイシアの言葉に三人は委縮しばつが悪そうな表情を浮かべる。


「レイシア!」


かなりキツイは発言をした彼女に、声を荒げて名前を口に出す。静止しろという意味を込めて。


「……ごめん。言い過ぎたよ」


かなりキツイ言い方をした自覚があったのか、さすがの彼女も謝罪の言葉を口にする。


「いや、そっちの人の言う通りだ。俺たちはミラーナさんに完全に甘えきってしまった」

「逃げたのは事実だもの……何を言われても仕方ないわ。それにもしミラーナさんが逃がしてくれなかったら私たち……今頃……」


騎士の男女二人は今でもミラーナを置いて逃げ出した事に罪悪感を覚えていた。本来、体を張ってでも脅威から人々を守るのが騎士団の仕事だ。そんな仕事をする彼らが事もあろうか、同胞を置いて逃げだしたのだ。

この行為にどこか引っかかる所があったのだろう。


「し……仕方ないじゃない! 相手はオークジェネラルよ! それも二体! あんなの勝てるわけない!」


一方で、もう一人の女性騎士は恐怖が原因なのか、未だに興奮しながら声を荒げている。


(オークジェネラル二体だって!)


これにはさすがの俺も動揺を隠せずにはいられなかった。ミラーナは確かに強い。そこらにいる魔物程度であれば引けを取らないだろう。だが相手がオークジェネラルとなれば話は変わってくる。

Aランクパーティーの力を以ってようやく倒せるオークジェネラル、それが二体相手となればさすがの彼女でも苦戦は必須。万が一勝てたとしてもかなり消耗するはずだ。


(さすがのミラーナでも……)


加えて、この森にはオークジェネラル以上の"何か"がいる可能性もある。一刻も早く彼女と合流しなければ。それこそ最悪、彼女が自分と合流する前に"その何か"と遭遇している可能性すらありえるのだ。


「教えてくれ! 今彼女はどこに」

「グルォォォォ!!!!」


甲高い咆哮。とてつもない雄たけびが突然辺り一帯に響き渡る。


(っ!? なんだこれ!?)


体が突然、前触れもなく身震いする。嫌な予感しかしない。それこそオークジェネラルですら軽く凌駕するほどの何かとてつもないプレッシャーを感じる。


「ひぃ!」

「な……何だよ今の鳴き声!」


他の者たちも完全に畏怖してしまっている。彼らも本能で恐怖というものを感じ取っていた。


「震えてる場合じゃなさそうだ。……お出ましだよ」


ドスンドスンと足音のような音が耳に入ってくる。その音を鳴らす存在がこちらに向かって近づいて来る。


「ブフォォォォ!」

「オークジェネラル!?」


現れたのはオークジェネラルだった。手に剣を持ち、鎧を身に着けている。だが驚くのはまだ早かった。


「うそ……」

「そんな……」


ジェネラルはおろか、それに続くようにしてオークナイトやオークメイジが次々と姿を現す。


「おいおい……ありえねぇぞ!」


そして今現れた個体とは別のオークジェネラルが威嚇の咆哮を叫びながら姿を現す。それもお供のオークナイトやメイジを引き連れた状態で。


「レイシア!」

「分かってるよ。さっきの咆哮。この魔物たちとは違うって言いたいんでしょ?」


そう。彼女の言う通り、先ほど恐怖を感じずにはいられなかった咆哮は、目の前にいる魔物たちが放ったものではない。おそらく彼らよりも上位の個体。そんな存在の雄たけびなのだ。


となれば答えは一つ。やはりいるのだ。"オークジェネラル以上の存在が"


「はぁ……。こうなったら仕方ないな」


レイシアが刀を手に握り、戦闘の態勢を取る。


「行きなよ。もし彼女が先にいるなら"アレ"と遭遇しているかもしれない。さすがの彼女も"アレ"が相手ならさすがに分が悪いと思う。助けられるとしたら君だけだ」

「それって……」

「この場は任せてって言ってるの。助けるんでしょ? 彼女を」


ここは私に任せて先に行け。そう言っているのだ。


「"契約"の件に関してはいったん保留にして上げるよ。利子付きでね」

「……ごめん! 頼んだ!」


考えている時間が惜しい。レイシアの言葉に感謝しつつ。俺はすぐさま"咆哮が聞こえた方向"に向かう事にした。


「さてと……。本命には及ばないだろうけど、中々楽しめそうな展開だ。怪我したくなかったら君たちは下がっててね。巻き込まない保障ができないから」


騎士団の者たちとギルドの男は恐怖に怯えながらもコクコクと頷く。


「さぁ! やろうか!」


オークの群れとレイシアの戦いがこうして幕を開ける事となった。


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