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ギルマスワークス!外伝.戦場の花を捕まえて  作者: 真宮蔵人
人外魔境に咲く花
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B003.このメスドラゴン!

「何を馬鹿な事を。」と俺はドラゴンボイスに変換された響く様な声で呻く。

金色の瞳が疑いから確信の眼差しに変わり、射抜くように見つめ言い放つ。

「いえ、私には分かります、その骨格、顔つき、翼の特徴、間違いなく女性のドラゴンです。」

「こいつはマギラ1からずっとモンスターの設定資料集を集めているらしいからな、その道のプロだ…見た目で選ぶとこういう事もあるんだ少年。」とネレイドと化したナイトウィンドは何処からかハープを取り出し、ポロロンとかき鳴らした。


「やーいこのメスドラゴンっす。」

「お兄ちゃんのネカマドラゴン、いや、お姉ちゃんドラゴン?」

「お兄さん、性転換する主人公のノルマ達成ですね。おめでとうございます。」

そんな冷やかしに対し俺は激しく地団駄を踏み抗議する、今たぶん俺の顔は超真っ赤だと思うがそれが伝わらないドラゴン顔で良かった。

「ネカマドラゴンなんて新ワード生み出すな!性転換する主人公って何の物語だよ!しかも、なんのめでたさもねえよ!」

「これはお前の物語だ。」とエリーンはキリっとした顔で言ってくるが。

「やかましいわ!」と俺は断固抵抗の姿勢を構えた。


「んじゃ作りなおしするっすか?嫌なら止めてもいいんじゃよっす?もうLv5まで上げたのに。」

「え!もうLv5まで上げたんですか!?」

「確かに狼狩り頑張ったからな、Lv5か名誉を取るか…。」

「大丈夫、お姉ちゃんの見た目大きくてカッコイイから、そのままでも私は好きだよ。」

「自然界の生物は確かにオスよりメスの方が大きい場合がありますからね、お兄さん?挫けないで下さい。」

「Lv5ですかー、私まだLv1なんですよねー。」

「ああ、私達はギルドの事しか考えていなかったからな…。」

「レ、Lv5なんてすぐになれるし、すぐになれるけど作り直しより移動がなあ。」

「確かに移動時間がネックっすね、今作は前作の2倍マップ広いですから。」

「2倍ですかー、ちょっと広すぎやしませんかね。」

「愛ちゃん、ナイトさん、レベリングに行こうよ!」

「ギルド勧誘しながらで良いなら喜んで付いていきますよー。」


するとそこへ新たな影がギルド天魔の集団へ差し込んだ。

「おい、あんた天魔のギルマスだろ?俺っちもギルドに混ぜてくれよ。」と俺から見ると小柄だが黒い巨体、亜竜がノッシノッシと歩み寄り愛微笑を見下ろしながら言った。

「あ、加入希望者の方ですね。どうぞよろしくお願いします。」と愛微笑はあっさり加入を承諾、加入基準は無い巨大ギルドを目指すのか、ギルマス業が苦労するぞ。


「お、こりゃまたベッピンさんがいっぱいでさあ!シルフから亜竜まで綺麗どころが揃ってなさって!」

その発言に俺はグギギと歯を軋ませた、周囲の仲間達がニヤニヤとニコニコの合間の顔なのが気に入らない。

「それではよろしくお願いします。Alexiさん、アレシイですか、アレキシとお呼びすれば良いのですか?」

「ああ、アレキシって呼んでくだせえ、まだ亜竜のLv4ですんで、皆さんよろしくお願いします。」


「おーい、愛微笑。Lv上げいくならアタイも付いてくぞー。」とマリッドさんが到着して近寄ってきた。

マリッドさんの種族はオーガと聞いていたが、どちらかというと巨人、タイタンの類に見える。恐らく高さはアレキシと同じ位で俺よりは低い。外見は筋骨隆々で所々赤茶色に汚れた体に革の腰巻と胸当てを無造作に装備していて、顔立ちは胴体に合わせて顎が丈夫そうだが造形は人間に近い。


「ギルマス、我々も同行したいのですが。」と更にオークとゴブリンの集団が固まって走りよってきた。

「はい、レオさんとバッシーさんですね。是非ご一緒しましょう。」と愛微笑は笑顔でオークとゴブリンズを迎えた。


「あれ?あのゴブリンさん達ってなんか変じゃない?」と珍しくエリーンが妙な事に指摘をするが、その通りなのである。小柄なゴブリンズは3匹が密着した状態で頭上に表示される名前がレオレオレーオ、つまり、あれだけ居ても1キャラ分の名前表示なのだ。

「レオさん、もしかしてゴブリンって。」と俺はその疑問をぶつけると「そうだよ!ゴブリンは3匹で1キャラ1ユニットなんだ、これにはオイラも驚いたね!」とハモリやニーヒヒ!といった笑いが混じった声で応答してくる。

「ゴブリンって大体やられ役っすから、てこ入れで数の暴力を導入したってことっすね。」

「そうさ、戦いは数ですよマミーの姉貴。」と言いながらゴブリン達は各々に小さい体と武器を躍らた。


「狩場はどうします?」と愛微笑が質問するも、このギルマスはLv1という事なので狩場なんてまったく知らないだろう。参謀格のナイトさんもこれには口を閉ざす。俺たちが気を利かせないといけないな。


「ここから北西にちょっと行くと狼が群れで出る森林と天空神の神像があるぞ。」と俺は告げると。

「そっちは天空神っすか、俺っちは道中で別の神像を見つけやしたよ!」とアレキシが翼をはためかせながら目を細め自慢げに「ここから西の大森林、グリーンジャイアントの中に策神?なんて物がありやしたが。どうでしょう?」

と言うのでワールドマップを確認すると、ジノーのスタート地点であるシルフの森の北西にグリーンジャイアントという森のマークを確認、その南はオーケンウッズという町のマーク、北西にはエルブンケルンという町のマークがある。

そこは森林種族達の戦場か、と俺は感覚的に察する。


「信仰魔法は真っ先に取らないといけないな。」とオークの男が理知的な声で発言をする。オークのバッシー、外見は毛髪の無いオークだが体は引き締まり緑の肌色、腰には短杖ケインをぶら下げて、左腕にはバックラーを通している、顔は口から牙が飛び出ているものの、その眼には高い知性を感じさせる光を持つ。


「策神に天空神か…前作にはいない神だが…。」「マギラ1の設定集にはいましたよ!その神様。」

「マギラ1というとあの伝説の。」「ああ、伝説のクソゲーと言われたVRMMORPGだな。」

初期作であるマギラ1の評判はすこぶる悪かったらしい、理由はVRMMORPGを作るノウハウは有っても、当時の開発チームにはMMORPGのゲームバランスやユーザーから気持ちよくお金を吸い取るギミックが構築出来なかった為だ。安易なガチャ、パッケージ売り、DLCでの追加購入、サーバーの弱さ、これらはユーザーからの反感を強く買った。


その反動でマギラ2と3には開発に著名なクリエイターが招かれたり、入念なバグチェックやバランスチェックが行われたという。

宣伝や設定にお金をかければ良いという物じゃない事を証明してくれた踏み台的なゲームであったらしいが、プレイしていたユーザーはたまったものではないだろう。


「天空神はどういった効果なんですか?」と愛微笑が俺に尋ねてくる。俺はLv5になっているので、手に入れた4ポイントは、亜竜Lv2、ブレスLv1、大翼Lv1、信仰魔法Lv1へ振ってある。攻撃の爪牙やブレス、防御力の竜鱗のはなんとなく効果が分かるが、大翼と信仰魔法がイマイチ分からないので伸ばす事にしようと思う。そして、天空神の信仰Lv1は。

「天空神Lv1、『揚力』。飛行ユニットの上昇時にボーナス。ユニットのジャンプや落下時に滞空時間を得る。」

「ちょっとパンチが弱くないですか?」「だと思うだろ?アレキシさん。」「なんでしょや。」

「ちょっと上昇してみて下さい。」「あいよ、これでいいか?」と言いながらアレキシさんはバッサバッサと羽を動かし浮上した。

「あ、その高さを維持して下さい。」「おうよー。」

「では、今度は俺が飛ぶぞ。」と言い終え俺は羽を動かすと、フワーとアレキシさんより軽快に空へ向かった。

「羽ばたき一回で結構な高さまで行きますね。」

「大翼のスキル効果もあるが、この揚力により一瞬でこれだけ浮上することが出来るんだ、こいつを見てどう思う?」

「すごく、陸上攻撃からの回避スキルですね。」

「そうなんだ、俺が思うには天空神は回避の神様なんだと思う。」

「ちなみに僕のマミーの包帯でもほら。」と言いながらロドリコは青白い炎を浮かばせる街灯に包帯を巻きつけ、ターザンや振り子の様な動きをとると、ふわっスタッと少し遠い家の屋根の上に着地する事が出来た。

「あー、そんな動き、昔の漫画で見やしたね。」

「マミーの包帯で立体機動を見る日が来るとは思わなかったよ。」

「天空神強いんじゃねえかギャハハ。」

「でも、弱点もあるんだ、エリーン見せてやれ。」

「うん、分かったよ、お姉ちゃん。」「訂正しろ。」

エリーンはそのままスワンプマンの姿でジャンプをする、ちょっとだけジャンプの高さが上がり、着地までの時間が減った、気がする程度だった。

「これはアタイが取っても間違いなく無意味な信仰だわ。」

「純陸上や海中ユニットが取っても意味が薄いか…?」


「だと思うでしょ?」と言いながら俺はエリーンを鉤爪で文字通り鷲掴みにしてから空中へ飛翔する。「キャアアア!高いー!羽ないからやだあああ!」と喚く妹を無視して、空高くからその爪を離した。


現実の物理法則よりゆっくりと降下するエリーンだが、その落下速度はそこそこ速い。

「「おおーー!!」」と周りが見守る中、ベチャリとエリーンは地面に軟体に戻りながら爆ぜた。

地面から声が聞こえる、「酷いよお兄ちゃん。」と言いながらエリーンは戦闘不能にならずその場で肉体を再形成し瀕死の復活を果たす。


「これは揚力スキルがなければ即死する転落ダメージのはずだったが、こいつは生きている、これの意味する事が分かりますか?」と俺は周囲を試すように見回すと、オークのバッシーさんが。

「あれが出来るな。」と、俺の考えている事を察してくれた。

「ふむ、ネックは瀕死の重傷になる所だな…。」ナイトさんも賢いのでこれにはすぐ気がついた様だ。


自信満々な顔で俺は地上へ舞い戻ると、

「うーん、果たし嬢ちゃん、ちょっとアタイを持ち上げてみてくれ。」とマリッドさんが渋い顔をしながら空の旅を所望した。

「嬢って…分かりました、掴み上げますねって、あれ!?」

肩から鷲掴みにしたマリッドさんの体が空に浮かばない!

「やっぱりなあ。」「どういうことだってば!」

「『この対象は重量過多で運べません。』だとよ。」

「もう、アタイも女子なんだぜ?それも人間なら兎も角、システムにすら言われると傷付くってもんだわ。」

「種族によって重さが違うんですか?」

「恐らく所持品や装備の重さも関わっている…。」

「三次元戦闘が増えたと思えば制限がある、前作よりややこしいシステムになってますね。」

「なあ、これってRPGじゃなくて。」

「そうだな、RTSやFPSに近い要素がある。」


「スキルの研究も大事ですが、Lv上げもしないといけないから、今は策神の神像を目指そうじゃないか。」

と俺は天空神スキルのお披露目会を切り上げにかかる。

それに、ここは人目があるのであまり手札は見せたくない。

「そうですね、皆さんグループ招待送りますのでまずは組みましょう。」

グループメンバーは9人になった、9人目を入れた途端に表示がレイドになった。

「フルグループ8人か。」「グループダンジョンがあるか怪しくなってきましたね。」


「移動はどうします?デビルは低空ですが飛行も出来るんですよ。」と愛微笑は悪魔の翼をはためかせホバリングを開始する、時々地面に足が付くのは体重か、装備の重さか。

「俺っちと竜の姉さんとスワンプちゃんの変身とシルフちゃんで他の人を牽引して準飛行部隊にできやしませんかね。」

「アタイは走りかな?」

「僕は先輩の足にこうやってぶら下がるっすね。」

「え?マミーさん、なんでぶら下がるんでやすか?」

「え?違うんすか?」

「普通に考えて下さいよ。俺っちら、ドラゴンですよ。普通にこの背中に乗ればいいじゃないっすか。」

「おいロド。」「ひん、ぶら下がるほうかっこよくないですか?」

こいつはロマンを目の前にしたら他が見えなくなる性格でもある。

・設定


種族変異はLv20とLv40 カンストLv50(ベータ版)


ビータ(17歳)一人称は俺

亜竜Lv2 

竜鱗 物理防御力や属性防御力が上がります。

ブレスLv1 ブレス攻撃が可能になります

爪牙 直接攻撃スキルを強化します。

大翼Lv1 飛行能力を向上させます。

貪欲 アイテムドロップにボーナス、敵の捕食時に経験値ボーナスを得ます

信仰魔法Lv1天空神

変異先

下法竜→冥竜人(貪欲を武装へ変更)

邪竜→暗黒竜(近接戦特化)


ロドリコ(16歳)一人称は僕と私が混ざる。

マミーLv1

包帯Lv3 敵の引き寄せ、敵への突進、味方の止血、立体機動スキルを取得。

細工 アクセサリ作成やエンチャントが使用可能になります。

徘徊 ダンジョン捜索にボーナスを得ます。

収集 アイテムドロップにボーナスを得ます。

不死者 状態変化に耐性を得ます。

信仰魔法Lv1天空神

変異先

エンシェントマミー→ファラオ(包帯特化)

アヌビテ→アウシル(攻撃型)


エリーン(14歳)一人称はあまり言わない。言ってもわたし。

スワンプマンLv2

変装Lv1 敵に看破されにくい変装ボーナス、変装された味方には攻撃判定が発生します。VCの音声も偽装出来ます。

複製 自身及び味方のデコイを作成します。

幻惑魔法 敵に幻惑の魔法を使います。周囲と同化しステルス能力を得ます。

バックアタック 敵の背面へ強力な攻撃を加えます。

軟体Lv1 物理防御力ボーナスを得ます。

信仰魔法Lv1天空神

変異先

ニューロラジカルゾンビ→ニルヴァーナ(変装特化)

チェシャキャット→ジャバウォック(幻惑特化)


ジノー(14歳)一人称は私

シルフLv2

風魔法Lv1 風属性の魔法を覚えます

妖精 エーテルにボーナスを得ます。

飛行Lv1 飛行能力が向上します。

武装 装備品の幅が広がります。

いたずら CCスキルへボーナスを得ます。

信仰魔法Lv1天空神

変異先

セタンタ→空風麟(物理特化)

エアエレメンタル→タイタニアー(魔法特化)


愛微笑(17歳)一人称は私

デビルLv1

暗黒魔法 闇属性の魔法を覚えます。

魔族 エーテルと飛行にボーナスを得ます。

破壊衝動 攻撃力にボーナスを得ます。

悪知恵 味方の一部スキルの強化をします。

武装 装備品の幅が広がります。

変異先

デーモン→ダークロード(物理特化)

アルシャイターン→イブリス(魔法特化)


マリッド(25歳) 一人称はアタイ チビパンの妹

オーガLv2

破壊衝動 攻撃力にボーナスを得ます。

人食い 人型の敵にボーナス及び吸収攻撃が追加されます。

超回復Lv1 自己の回復力にボーナスが付きます

戦士の誇り MPが減るほどステータスが向上します、最前線にいる時にボーナスを得ます。特殊なスキルを取得します。

武装Lv1 装備品の幅が広がります。

変異先

オーガバトラー→ヘルチャンピオン(再生力向上)

大鬼→鬼神(攻撃力向上)


ナイトウィンド(25歳)一人称は私 マリッドとは元同級生、賢い。

ネレイドLv1

水魔法 水属性の魔法を覚えます。

呪歌 AoE補助及びCCスキルを覚えます。

誘惑 人間種からの攻撃に防御ボーナスを得る等の効果があります。

水生 水中にてボーナスを得ます。

不死者 状態変化に耐性を得ます。

変異先

ナイアース→ネプチネス(水魔法特化)

マーメイド→ヤオビクニ(再生と状態耐性変化特化)


レーオレオレオ 一人称はオイラ、マギラ2未プレイ

ゴブリントリオンLv2

破壊衝動 攻撃力にボーナスを得ます。

残虐 瀕死の敵にダメージボーナス等を得ます。

狩猟者 罠、ステルス、遠距離攻撃にボーナスを得ます。 

徘徊 ダンジョン捜索にボーナスを得ます。

武装Lv1 装備品の幅が広がります。

変異先

レッドキャップズ→レギオン(集団戦特化)

ホブゴブリン→ゴブリンキング(単体性能向上)


バッシー 一人称は私、マギラ2の元プレイヤー、賢い。

オークLv1

森林魔法Lv1 森林魔法を覚えます。

戦士の誇り MPが減るほどステータスが向上します、最前線にいる時にボーナスを得ます。特殊なスキルを取得します。

自然崇拝Lv1 地形効果を大きく受けます。

頑健 物理攻撃、毒、病気、出血に対して耐性を得ます。

武装Lv1 装備品の幅が広がります。

変異先

オークシャーマン→オークメイガス(魔法特化)

オークハイ→オークロード(物理特化)


Alexiアレキシ 一人称は俺っち、チャラい

亜竜Lv2

竜鱗Lv1

爪牙Lv1

信仰魔法Lv0策神

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