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第六節
―――私は、知らない。
人は、私の策略を知って〝人ではない〟だと言った。
人は、私の心を読んで〝人間ではない〟だと言った。
人は、私の行動を見て〝化け物〟だと言った。
終ぞ私は、その一挙一動において誰もが私を恐れた。それは人を襲う者としてではなく、人からかけ離れていながら、人と名乗る私にだ。
私は、自分が何者か知らない。
例えそれが、自分の出生を見ても、
例えそれが、経歴を見ても、
例えそれが、所業を見ても、
例えそれが、私を解剖しても、
例えそれが、私の前世を覗いても、
誰も、私も……、
「―――私さえ、私を知らないのだから」