83 昼過ぎのティータイム
本話投稿後2ヶ月ほど休暇をいただきます。詳しくは活動報告書にて確認をお願いします……と言おうと思いましたが、わざわざ活動報告書へのページ移動も面倒だと思いますので活動報告書の内容をそのままこちらの後書きにも載せさせていただきます。
全員の水着を選び終え、服屋を出た俺たちはどこか落ち着いて休める場所はないかと王都の大通りを歩いていた。手にはそれぞれ真新しい水着の入った紙袋が提げられており、すれ違う人々の活気と相まって、旅行への期待感が胸を満たしていく。
そのまま王都の景色を楽しみながら歩を進めていると、ふと見覚えのある場所へと差し掛かった。いや、正確には『見覚えのある店があった場所』だ。両隣の建物に挟まれたその空間だけが、まるで初めから何も存在していなかったかのようにぽっかりと不自然な更地になっている。
「ネコエルさんのお店、本当に無くなっちゃってたんですね……」
更地を前にして足を止めたリースが、悲しげに瞳を伏せてぽつりと呟いた。
俺も彼女の隣に立ち、その空っぽの空間を見つめる。足音もなく一瞬でワープをする不思議な店主、人語を理解する生意気で愛らしい猫、そしてお金が出てくる謎のフルーツ……。数々の常識外れな出来事が立て続けに起きた奇妙な店だったが、こうして改めて跡形もなく消え去っている現実を突きつけられると、心の奥底に少しばかりの寂しさが込み上げてくる。
だが、あの店主が残したメッセージカードの言葉を思い出し、俺はリースの肩に優しくポンと手を置いた。
「きっとまたどこかで会えるよ。そういう不思議な縁がある人たちなんだと思う」
俺が励ますように言葉をかけると、リースは少しだけ目元を緩め、ふわりと微笑んだ。
「そうですね。その時が来るの今から楽しみです」
先ほどまでの暗い影はすっかり消え去り、リースはいつもの前向きな明るさを取り戻してくれたようだ。
◇ ◇ ◇
再び五人で並んでしばらく大通りを歩いていると、香ばしい焼き菓子の匂いがふわりと鼻腔をくすぐった。視線を向けると、木目調の落ち着いた外観に「喫茶店」と書かれた看板を掲げる店が見える。歩き疲れた足を休めるにはちょうどいい雰囲気だ。
「よし、ここで少し休憩していこうか」
俺の提案に全員が賛成し、カランコロンと心地よいベルの音を響かせながら店内へと足を踏み入れた。
案内された広めのテーブル席に腰を下ろし、冷たい果実水と皆で分け合える大皿のクッキーを注文する。程なくして水滴のついたグラスと、色とりどりのクッキーが山盛りにされたお皿が運ばれてきた。
テーブルの中央に甘い香りを漂わせる大皿が置かれた瞬間、いの一番に反応したのはルカだった。
「わあーっ! 美味しそう!」
ルカは目を輝かせて身を乗り出すと、目にも留まらぬ素早い身のこなしで一番大きなクッキーに飛びつき、すぐさまサクッと音を立てて頬張り始めた。あまりの速さに、ミリアやセレナが目を丸くしている。
「一人で全部食べちゃだめだからなー」
俺は苦笑しながら、クッキーへ夢中になっているルカの頭をわしわしと撫でながら注意した。
ルカは口いっぱいにクッキーを咥えたままこちらを振り向き、幸せそうに目を細めながらコクコクと勢いよく頷いた。その猫耳が機嫌よくピコピコと揺れるのを見て、テーブルを囲む俺たちは思わず声を上げて笑い合った。
ルカの頭を撫でて落ち着かせた後、俺はふと思い立ってアイテムバッグの中から一枚の紙を取り出した。
以前フランさんから譲り受けたこの周辺一帯の広域マップだ。
「とりあえず、アルカディアの場所とルートを確認しようか」
クッキーの大皿の横にマップを広げると、四つの頭が一斉にひょっこりと覗き込んできた。
王都グレイスから南東の方角。そこにアルカディアの地名が記されている。しかし、王都からそこへ至る道筋の途中には巨大な山脈が横たわっていた。地図に描かれた街道は、その険しい山々を大きく迂回するようにぐねぐねと遠回りの線を描いている。
馬車より遥かに速いトラックで移動するにしても、この地形ではかなりの時間が掛かりそうだということが一目で判明した。
「これは……ストーンバレーに行った時と同じように、トラックの中で寝泊まりする必要があるかなぁ」
腕を組みながらぽつりとこぼした俺の独り言に、いち早く反応したのはミリアだった。
「えっ、またみんなでトラックの中で寝ますか!?」
彼女は目をキラキラと輝かせ、まるで遠足を楽しみにする子供のように弾んだ声を上げた。ストーンバレーへ向かった際の道中がよほど楽しかったのだろう。
その様子を見て、俺は思わず苦笑を漏らしながら頷いた。
「そうだな。この距離と道のりだと、急いで夜通し走るよりは途中でしっかり休息を取った方が安全だ。一泊はトラックの中で寝るように準備しておこう」
「それなら、道中の食事は私がご用意しますね」
俺の言葉に続くようにして、セレナがどこか得意げな笑みを浮かべながら見覚えのない小さなカバンを取り出した。革製で、口の紐がきゅっと縛られた可愛らしいデザインのものだ。
「食品用限定のアイテムバッグですが持ってるので、ご飯なら私に任せてください!」
セレナが胸を張りながら自信満々に言い切った。給仕として日頃から家で腕を振るっている彼女が食事を担当してくれるというのなら、これほど心強いことはない。美味しいご飯が確定したようなものだ。
「それはすごく助かる。何か足りない食材とかあったら言ってほしい」
「はい!」
セレナが満面の笑みで頷いたのを見届け、俺はグラスに結露した水滴を指で拭いながら冷たい果実水を喉へと流し込む。
目の前ではルカが相変わらずクッキーを頬張り、リースがそれに苦笑しながら果実水を飲み、ミリアが海での遊び方を身振り手振りで熱弁していた。
読了いただきありがとうございます。
2ヶ月ほど休暇を頂く理由となった活動報告書が以下の通りになります。
◇ ◇ ◇
あまりにも無計画で始めた本作の投稿なのですが、5月ごろからプロットが全く浮かばなくて正直満足の行く作品が出来てないと感じております。
ストック全部食いつぶし、なんとか更新日ギリギリに投稿してなんとか続きを投稿するということをここ一ヶ月ほどやってたのですが「自分が書きたかったのはこれなのか?」という疑問が出るようになりました。
それに、正直6月あたりから毎日のように切羽詰まったように色々考えてたせいか逆に何も浮かばず、かといって更新を止めるわけにもいけないと思いながらずっと悩んでましたが決断致しました。
少し期間が開きます。ガッツリと2ヶ月ほどお休みを頂くことにしました。
勿論結末はこうしたい、こういうイベントを挟みたい、ユズルにこういうスキルを覚えさせたい といった構想などはあるのですが、自分が小説を書き始めたことが今まで無かったのと小説を正直あまり触れてこなかったことが原因でやりたいように出来ていないということが一つあります。
とはいえ、「トラック側が転移しないと誰が言った?配送ドライバーが異世界でもトラックで大爆走します!!!」は私が作成した初めての作品で愛着も有り、我が子のように思っております。必ず完結までは執筆致しますので、2ヶ月後にまた覚えていれば再度応援していただければ嬉しい限りです。
◇ ◇ ◇
ということで次の投稿はかなり期間が開いてしまいますが2ヶ月後となります。離れてしまう方もいらっしゃると思いますが、エタりたくないという気持ちは強く持ってますのでまた宜しくお願いします




