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錬金術師のポーション屋。疲れたときはやっぱりこれ  作者: ChaCha


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70/112

睡魔は敵じゃなく、合図だ

昼下がり。

陽が一番ぬるくて、世界が少しぼやける時間。


クリムは棚の上で完全に溶け、

ルゥは入口で「今なら寝落ちしても許される顔」をしている。


カラン。


「ご飯食べたら、

めっちゃ眠くて……

睡魔に勝てないんですよね」


「昼か?」


「昼です」


「正常だな」


客は即、食い下がる。


「いやでも!

仕事あるし!

会議あるし!

やる気はあるのに!!」


クリムが「きゅ……(身体は正直)」、

ルゥが「わふ……(抵抗無意味)」と首を振る。


俺は腕を組む。


「で、本音は?」


客は少し黙ってから言った。


「……怠けてる気がして、

自己嫌悪になります」


あー。

眠気より、罪悪感だな。


俺は小瓶を三つ並べた。



◆一本目

【食後の血流偏りを整えるポーション】


「まずこれ」


瓶を指で軽く叩く。


「飯食うと、

血は消化に集中する」


客が頷く。


「これは、

“眠くなるほど持ってかれない”程度に

分配を整える」


クリムが「きゅ(やりすぎ防止)」。



◆二本目

【短時間で頭を再起動するポーション】


「次」


俺は即言う。


「眠気と戦うな。

一回落とせ」


ルゥが「わふ(仮眠推奨)」。


「これはな、

10分で頭を“起動し直す”やつだ」



◆三本目

【眠気を“怠惰”に変換しないポーション】


客が一番反応した。


「それ……欲しいです」


「だろ」


俺は静かに言う。


「食後に眠くなるのは、

サボりじゃない」


瓶を押し出す。


「身体が

“今は回復フェーズだ”って

教えてるだけだ」



客は三本を見つめ、ふっと息を吐いた。


「……眠くなる自分、

責めすぎてました」


「多い」


俺は肩をすくめる。


「効率悪いのはな、

眠気じゃなく、

無理して続けることだ」


客は小さく笑った。


「……ください。

ちゃんと午後を乗り切りたいです」


「おう」


瓶を渡す。


「勝とうとするな。

付き合え」


客は軽く会釈して店を出ていった。


扉が閉まる。


俺は天井を見上げて、ため息ひとつ。


「……睡魔と戦う話、

ほんと多いよな」


クリム「きゅ(敗北確定)」

ルゥ「わふ……(受け入れろ)」


まったく。

次はどうせ「休日に寝てばかりで自己嫌悪です」系が来るんだろうな。


……やれやれ。

でも来たら来たで、ちゃんと向き合うけどさ。

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