表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
錬金術師のポーション屋。疲れたときはやっぱりこれ  作者: ChaCha


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

68/110

眠らせるのは、犬じゃなく怒りだ

昼過ぎ。

店の中は静かで、クリムは棚の上、

ルゥは入口で外の音を聞き分けている。


カラン。


「近所の犬が吠えてうるさいんで、

犬を眠らせるポーションください!」


「犯罪だ」


即答。


客は一瞬固まってから、食い下がる。


「ち、違う! 殺すとかじゃなくて!

ちょっと静かに……」


「対象が他人のペットな時点でアウトだ」


クリムが「きゅ……(完全アウト)」、

ルゥが「わふ……(同族危険)」と一歩前に出る。


客は頭を抱えた。


「もう限界なんです……

夜も朝も吠えるし、

注意しても『犬だから』って言われるし……」


あー。

本音は睡眠不足と無力感だな。


俺は腕を組む。


「で、本当に欲しいのは?」


客は小さく言った。


「……静かな時間です」


「そう言え」


俺は棚から小瓶を三つ並べた。



◆一本目

【音に対する過敏さを下げるポーション】


「まずこれ」


瓶は淡い色。


「睡眠不足が続くと、

音が“攻撃”になる」


クリムが「きゅ(わかる)」。


「これは、

吠え声を“危険”として拾わなくする」



◆二本目

【怒りが即・行動に変わらないポーション】


「次」


俺ははっきり言う。


「イライラが溜まると、

一線を越えた発想が出る」


ルゥが「わふ(今みたいに)」と尻尾を振る。


「これは、

“やっちゃダメ”を思い出すためのやつだ」



◆三本目

【静かな時間を“別の場所で確保する”ポーション】


客が首をかしげる。


「……犬じゃない?」


「犬じゃない」


俺は真顔だ。


「環境を変えられないなら、

自分の逃げ場を作る」


瓶を押し出す。


「耳栓、時間帯、部屋の位置、

“吠えない時間”を確保する感覚を取り戻す」



客は三本を見つめ、深く息を吐いた。


「……犬に薬盛ろうとしてました」


「一線手前で来たのは正解だ」


俺は頷く。


「吠える犬が悪いんじゃない。

疲れ切った人間が危ない」


客は苦笑して頭を下げた。


「……ください。

自分を落ち着かせたいです」


「おう」


瓶を渡す。


「眠らせるべきはな、

他人じゃなく、自分の怒りだ」


客は静かに店を出ていった。


扉が閉まる。


俺は天井を見上げて、ため息ひとつ。


「……動物絡みは、

人間側の余裕不足が原因なこと多いな」


クリム「きゅ(犬は悪くない)」

ルゥ「わふ……(同意)」


まったく。

次はどうせ「隣人を黙らせるポーション」とか来るんだろうな。


……やれやれ。

でも来たら来たで、ちゃんと向き合うけどさ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ