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錬金術師のポーション屋。疲れたときはやっぱりこれ  作者: ChaCha


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51/112

キマらないのは、だいたい張りすぎ

カラン。


筋肉の主張が激しい冒険者が、両腕をぶんぶん振りながら入ってきた。


「店主! 元気にやってるか」


「まぁぼちぼちだな」


「最近、キマらなくて困ってるんだ……助けてくれ」


「危ない薬は出さない」


「違う!!

筋肉の張りだ!!」


クリムが棚の上で「きゅっ(早合点)」、

ルゥが入口で「わふ(落ち着け)」と首を振る。


冒険者は真顔だ。


「剣振るときも!

ポーズ決めるときも!

全部ガチガチでよ……

本来のキレが出ないんだ……」


俺は腕を組む。


「……誰のためにキメたい?」


「俺自身のためだ!!

“あ、今日の俺仕上がってる”って感覚が欲しい!!」


「なら話は早い」


俺は小瓶を三つ並べた。



◆一本目

【筋肉ゆるめるポーション】


「まずこれ。

張りすぎた筋肉は、

力を出す邪魔になる」


冒険者が目を見開く。


「ゆるめてから締める。

基本だ」


クリムが「きゅ(基本)」。



◆二本目

【可動域を思い出すポーション】


「次。

お前、力入れっぱなしだろ」


「……はい」


「“動ける筋肉”は、

休めてる筋肉だ」


ルゥが「わふ(動け)」と床に伏せる。



◆三本目

【自分の仕上がりを感じ取るポーション】


「最後。

他人の目じゃなく、

“今日の自分”をちゃんと感じるやつだ」


冒険者は瓶を見つめて、深く息を吐いた。


「……俺、

追い込みすぎてたか」


「筋肉も心も、

張りすぎはキマらん」


冒険者は豪快に笑った。


「はは!

さすが店主だ!」


扉を出る前、振り返って言う。


「次は“休み方”も教えてくれ!」


「それも専門だ」


扉が閉まる。


俺は帳簿に書く。


【キマらない原因:張りすぎ】


肩を回して、ぼそっと。


「……次は来るな。

『パンプしすぎて眠れません』って」


クリム「きゅっ(来る)」

ルゥ「わふ……(確定)」


……やれやれ。


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