↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
錬金術師のポーション屋。疲れたときはやっぱりこれ  作者: ChaCha


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
52/343

サンタに会える夜は、眠りの中にある

閉店前。

店内は静かで、クリムは棚の上、

ルゥは入口で丸くなっていた。


そこへ、こつ、こつ、と小さな足音。


小さな子どもが、両手で大事そうに紙を持って立っていた。

俺の前まで来て、そっと差し出す。


「……お使いか? えらいな」


こくり、と頷く。


俺は手紙を受け取って、目を通した。


――

「サンタにあえるやつを渡してやってください」

――


俺は即座に顔を上げた。


「幻覚系はダメだ!」


子どもがびくっとする。


クリムが「きゅ……(言い方)」、

ルゥが「わふ……(落ち着け)」とたしなめる。


俺は膝をついて、目線を合わせた。


「ごめんな。

びっくりさせたな」


子どもは少し考えてから、ぽつり。


「……ほんとに、いるか、しりたくて……」


ああ。

欲しいのは証明じゃない。安心だ。


俺は小さな瓶を三つ、ゆっくり並べた。


⸻


◆一本目

【帰る場所が“特別な夜”になるポーション】


「まずこれ」


瓶は星みたいな色をしている。


「家に帰ったら、

今日は“いつもと違う夜”って空気を作る」


クリムが「きゅ(わくわく)」と鳴く。


⸻


◆二本目

【眠る前に想像を整えるポーション】


「次」


俺は指で小さな円を描く。


「これは“見る”ための薬じゃない。

“想像していい時間だよ”って合図」


ルゥが「わふ(夢は安全)」と静かに尻尾を振る。


⸻


◆三本目

【朝に“届いた気持ち”が残るポーション】


子どもが身を乗り出す。


「これが一番大事だ」


俺は真剣に言う。


「サンタはな、

会えたかどうかより、

“ちゃんと想ってくれた”って気持ちを

朝に残してくれる」


瓶をそっと差し出す。


「それがあれば、

会えなくても、

ちゃんと来たって分かる」


⸻


子どもは三本を抱えて、少し考えたあと、笑った。


「……これで、いい?」


「おう」


俺は頷く。


「本当に大事なものはな、

目で見るより、

朝まで残る」


子どもは深く頭を下げて、走って帰っていった。


扉が閉まる。


俺は棚を見上げて、息を吐く。


「……幻覚は出さない。

夢は、守る」


クリムが「きゅ(合格)」、

ルゥが「わふ(それでいい)」と同時に丸くなった。


さて――

次は来るな。


「トナカイに会わせてください」とか。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。