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錬金術師のポーション屋。疲れたときはやっぱりこれ  作者: ChaCha


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46/114

帰る場所は、ここ

店の扉が、カラン、と鳴った瞬間――

空気が一気に“いつものやつ”に戻った。


「うおー!生還祝いだ生還祝い!」

ガイルが両腕を広げて入ってくる。


「声でかい」

「生きて帰ったんだぞ!?」


ハイドは棚を眺めながら、勝手に座る。

「……これ、前より増えてない?」

「増えた」

「だろうな」


エドは無言で頷き、

ミスティはカウンターに肘をついて深呼吸。


「……ああ、落ち着く……」

「わかる」


ミーナは店内を見回して、少し笑った。

「……本当に、戻ってきたんですね」


クリムが棚の上から「きゅっ」と鳴き、

ルゥは入口でどっしり構え、尻尾を振る。

完全に“我が家”の顔だ。


そこへ、どやどやと常連が雪崩れ込んでくる。


「店主!二日酔いのやつ!」

「雨の日だるいの残ってる?」

「例の集中のやつ、三本!」

「子ども寝かせる香、ください……」


「はいはい、並べ。命は一列で頼む」


パーティの面々が顔を見合わせる。


「……いつも、こんな?」

「いつも、こんな」


その時だった。


バーン!!


扉が勢いよく開いた。


「店主!!

俺は!!

人生を変えたい!!!!」


入ってきたのは、

ヒョロヒョロの男。


筋肉?

ない。


覇気?

ない。


声だけ、でかい。


「今すぐ!

ナイスミドルなボディが欲しい!!」


俺は瓶を拭く手を止めて、言った。


「何年かかるか、聞く覚悟はあるか?」


「……え?」


「ポーションは“補助”だ。

主役はお前の継続だ」


「……」


「まずは寝ろ。

次に食え。

それから動け」


「……ポーションは?」


「最初は【三日坊主防止】だ」


男は、深く、深く頷いた。


「……人生、舐めてました……」


「知ってる」


男は静かに去った。


店内に、沈黙。


そして――


「……ぶはっ」


ハイドが吹き出す。


「あはははは!!

ナイスミドルって!!」


「もうやめてよ!」

ミスティが笑いながら肩を叩く。


ガイルが腕を組んで頷く。


「……でも、正論だったな」


ミーナがくすっと笑う。


「ここ、人生相談所でしたっけ?」


クリムが「きゅっ」と鳴き、

ルゥが「わふっ」と同意する。


俺はため息をついて、肩をすくめた。


「……ポーション屋だよ。

ただし――」


棚を見渡す。


「疲れたやつが来る場所で、

ちょっとだけ前に進む手伝いをするだけだ」


みんなが笑う。


ふはっ。

あははははは。

くっ。

もうやめてよ。

だって。

きゅっ(筋肉)。

わふっ(鍛えろ)。

やれやれ。


今日も、平和だ。


俺は新しい瓶にラベルを書く。


【今日をなんとかするポーション】


――やっぱりこれが、

一番よく売れるんだ。


「いらっしゃい。

疲れた身体には――」


カラン、と扉が鳴る。


「……やっぱりこれ、だな」



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