表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幽蘭  作者: 野口 ゆき
1/3

幽都






「我・・・很・・・〚后悔〛・・・」





≪私≫は、(ひと)り呟いた。


すると、≪私≫の頭の中から声が聞こえて来た。



【『何』を〚後悔(こうかい)〛している?

もしや《お前》は、〚死〛を招く事になった己の行動に〚後悔〛しているのか?

そして、此れから《お前》に訪れる絶対的な〚死〛を恐れているのか?】



≪私≫は、答えた。


「違う・・・。


≪私≫は・・・〚死〛など・・・恐れてはいない・・・。


天と地は相通(あいつう)じており・・・万物(ばんぶつ)は全て一つである・・・。


≪私≫は・・・万物の一つに過ぎない・・・。


万物の一つである≪私≫一人が生きていたところで・・・天と地に何の影響があろうか・・・?


万物の一つである≪私≫一人が消えたところで・・・天と地に何の影響があろうか・・・?


天が≪私≫を『生かす』と言うのであれば・・・≪私≫は生きよう・・・。


天が≪私≫に『死ね』と言うのであれば・・・≪私≫は死のう・・・」



【・・・】



「≪私≫は・・・天から〚死〛を(さず)かった・・・。


≪私≫は・・・其れを受け()れる・・・。


≪私≫は・・・天命(てんめい)に逆らうつもりはない・・・」



【・・・】



「〚死〛は・・・(もと)より覚悟していた・・・。


〚死〛など・・・恐れてはいない・・・」



【では、≪お前≫は〚何〛を恐れている?】



「≪私≫は・・・〚()()()()〛が恐ろしい・・・」



【〚自分自身〛が恐ろしい?】



「そうだ・・・。


≪私≫は・・・≪()()・・・恐ろしい・・・」



可笑(おか)しな事を言う。

≪お前≫自身が〚恐れ〛ならば、≪お前≫が死ねば〚恐れるもの〛など無くなるであろうに】



「≪私≫が死んでも・・・〚恐れ〛は無くならない・・・」



【どう言う意味だ?】



「『どう言う意味』・・・?


≪お前≫は・・・()()()()()()()()』はずだ・・・」



【・・・】



「少し・・・昔話をしよう・・・」



【・・・】



(かん)の『高祖(こうそ)劉邦(りゅうほう)は・・・韓王信(かんおうしん)の乱を平定した其の帰途(きと)・・・(ちょう)(おもむ)いた・・・。


其の際・・・趙王は『高祖』に・・・美しい女性を差し出した・・・。


其の女性が・・・≪私≫の祖母であった・・・。


≪私≫の祖母は・・・趙王の側室(そくしつ)であった・・・」



【・・・】



「『高祖』の寵愛(ちょうあい)を受けた祖母は・・・父を身籠(みごも)った・・・」



【・・・】



「趙王も祖母も・・・父を身籠った事を『高祖』に告げなかった・・・。


『高祖』が其れを聞いたとしても・・・『高祖』は『取るに足らぬ小事(しょうじ)である』として其れを一蹴(いっしゅう)すると考えたからだ・・・。


『高祖』に父の事を告げても告げなくとも・・・何も変わらないと考えたからだ・・・」



【・・・】



「やがて『高祖』の傍若無人(ぼうじゃくぶじん)なる振舞(ふるまい)に・・・趙国は(いか)りを抑えられなくなり・・・謀反(むほん)(たくら)んだ・・・。


しかし其の(くわだ)ては発覚し・・・趙王一族は(ごく)(つな)がれる事になった・・・。


祖母も・・・共に繋がれた・・・。


祖母は生まれたばかりの≪私≫の父・劉長(りゅうちょう)(いだ)きながら・・・(うった)えた・・・。


【此の子は、『高祖』の子である】と・・・。


しかし『高祖』は・・・信じなかった・・・」



【・・・】



「祖母は・・・『高祖』の皇后(こうごう)であった『呂后(りょこう)』に助けを求めようと考えた・・・。


『呂后』の(そば)(つか)えていた『辟陽侯(へきようこう)審食其(しんいき)を通じて・・・息子だけでも・・・『高祖』と自分の子である劉長だけでも救ってもらおうとした・・・。


しかし嫉妬(しっと)に狂った『呂后』と・・・『呂后』の怒りを買いたくない審食其は・・・祖母の願いを聞き容れなかった・・・。


二人は・・・祖母と父を見殺しにした・・・」



【・・・】



「そして祖母は・・・世を(はかな)み・・・自死した・・・」



【・・・】



「しかし祖母の〚死〛によって・・・≪私≫の父は・・・劉長は・・・『高祖』に救われた・・・」



【『高祖』に救われた?

≪お前≫の祖母に関心を持とうともしなかった『高祖』が、≪お前≫の父を救ったのか?

『高祖』は、≪お前≫の祖母と劉長に同情したのか?】



「さあ・・・。


気紛(きまぐ)れであったのか・・・。


一人でも跡取りを残しておきたかったのか・・・。


単なる同情だったのか・・・。


・・・≪私≫には・・・分からない・・・」



【・・・】



「父・劉長は『高祖』に救われ・・・『呂后』に・・・預けられた・・・」



【『呂后』に預けられた?

『呂后』は何故(なぜ)、劉長を育てたのか?

『呂后』は、≪お前≫の祖母と父を憎んでいたであろうに】



「『高祖』に命令されたのか・・・。


後ろめたさがあったのか・・・。


〚後悔〛があったのか・・・。


・・・≪私≫には・・・分からない・・・」



【・・・】



「『呂后』に預けられてから二年後・・・父は淮南国(わいなんこく)を与えられ・・・『淮南王』となった・・・」



【国を与えられるなど、劉長は〚運〛が良い】



「〚運〛が良い・・・?」



【そうであろう?

殺されても仕方のない状況であったにも(かか)わらず、国を与えられたのだ。

名誉と地位と権力が与えられたのだ。

〚幸運〛ではないか?】



「〚幸運〛・・・?」



【〚幸運〛であろう?】



「・・・確かに・・・父は・・・いつ殺されてもおかしくない状況であった・・・。


にも拘らず・・・父は生かされ・・・国と名誉と地位と権力を与えられた・・・。


もしかしたら()()()()()()()・・・父は・・・〚幸運〛であったのかもしれない・・・」



【・・・】



「『高祖』の死後も・・・『高祖』と『呂后』の子である『恵帝(けいてい)』が第二代皇帝として即位してからも・・・父は何不自由なく・・・()()()()()()()()生きる事が出来た・・・」



【・・・】



「『恵帝』が死に・・・『呂后』が死に・・・異母兄(いぼけい)である『文帝(ぶんてい)』が第五代皇帝として即位した後も・・・父は厚遇(こうぐう)された・・・」



【・・・】



「しかし父は・・・決して忘れてはいなかった・・・。


審食其によって・・祖母が死を選ばざるを得なかった事を・・・。


審食其があの時・・・『呂后』に祖母の事を救ってくれるよう強く進言(しんげん)してくれてさえいれば・・・祖母は自死せずに済んだ事を・・・」



【・・・】



「父は生かされ・・・国と名誉と地位と権力を与えられた・・・。


父は・・・〚幸運〛であったのだ・・・。


〚幸運〛であったのに・・・父は・・・〚憎しみ〛を捨てなかった・・・」



【・・・】



「父は・・・自らの手で審食其を殺した・・・。


殺害後・・・父は・・・『文帝』の前で・・・何故・・・審食其を殺したのかを告げた・・・。


『文帝』は・・・父が審食其を殺す理由を知っていた・・・。


『文帝』にとって父は・・・血を分けた兄弟であった・・・。


『文帝』は・・・父に同情し・・・そして・・・父を許した・・・」



【・・・】



「『文帝』に許され・・・父は(おご)っていった・・・。


『皇帝の弟である自分は、何をやっても許される』と・・・。


父は・・・何故・・・今・・・己が生きていられるのかを・・・考えなかった・・・。


全てを与えられ・・・全てを許された為に・・・自分が如何(いか)に恵まれているのか・・・気付かなかったのだ・・・。


気付こうとすらしなかったのだ・・・」



【・・・】



「そして父は・・・更なる名誉と地位と権力を求めてしまった・・・。


父は・・・自分に流れる『高祖』の血に誇りを持ち・・・自分の才能と身体に絶対的な自信を持っていた・・・。    


父は・・・自らが受ける全ての〚幸運〛が・・・自らが(つく)り出したものであると・・・当然受けるべきものであると考えた・・・。


自分こそが・・・皇帝となる素質があると・・・。


自分こそが・・・皇帝となる権利があると・・・。


自分こそが・・・(かん)正統(せいとう)なる皇帝であると・・・。


自分こそが・・・皇帝になるべき存在であると・・・」



【・・・】



「父は・・・(おご)っていたのだ・・・。


父は・・・目が眩んだのだ・・・。


『皇帝』と言う・・・名誉と地位と権力に・・・」



【・・・】



「父は・・・〚間違えた〛のだ・・・。


多くの人々から与えられる〚優しさ〛が・・・『当たり前の事』であると・・・。


自分には・・・絶対的能力があると・・・。


自分は・・・〚幸運〛であると・・・。


だから・・・『全てうまくいく』と・・・。


自分の思う通りに・・・世界は動くのだと・・・考えてしまったのだ・・・」



【・・・】



「そして父は・・・自らが皇帝になろうと謀反を企て・・・露見(ろけん)し・・・自死した・・・」



【・・・】



「父は・・・父の行いは・・・多くのものを(ほろ)ぼした・・・」



【・・・】



「父は・・・〚(おろ)か〛であった・・・」



【・・・】



「父の〚憎しみ〛が・・・父の〚傲り〛が・・・父の〚愚かさ〛が・・・父に特別に与えられた〚優しさ〛が・・・父を亡ぼしたのだ・・・。


父が・・・多くのものを・・・父自身を・・・〚不幸〛にしたのだ・・・」



【・・・】



「父は・・・〚幸運〛であった・・・。


父は・・・〚不幸〛であった・・・」



【・・・】



「・・・そして≪私≫も・・・父と同じ様に亡ぶのだ・・・。


父と同じ様に・・・多くのものを・・・亡ぼすのだ・・・。


多くのものを・・・〚不幸〛にするのだ・・・」



【・・・】



「≪私≫が・・・。


≪私≫も・・・。


復讐(ふくしゅう)など・・・考えなければ良かったのだ・・・。


父と同じ様に・・・謀反など・・・考えなければ良かったのだ・・・」



【≪お前≫は()()()、謀反を起こそうと考えたのか?

≪お前≫の存在そのものが『脅威(きょうい)』であると、『邪魔』であると、利用価値のある『道具』であると考えた者達によって、≪お前≫は『謀反』を()()()()()のではないのか?

()()()()()()()()()()のではないのか?】



「『選ばされた』・・・。


ああ・・・。


そうかもしれない・・・。


≪私≫は()()の〚言葉〛に・・・導かれたのかもしれない・・・。


≪私≫は()()の〚言葉〛通りに・・・動いただけなのかもしれない・・・。


いや・・・。


違う・・・。


()()の〚言葉〛は・・・≪私≫にとって・・・単なる『呼び水』に過ぎなかった・・・。


()()の〚言葉〛は・・・≪私≫の奥底にある〚憎しみ〛を(よみがえ)らせただけだ・・・。


元々・・・≪私≫の中には・・・〚憎しみ〛が()ったのだ・・・。


恐らく・・・心の奥底で・・・≪私≫は・・・復讐を考え続けていたのだ・・・。


≪私≫も父と同様・・・〚憎しみ〛を捨て去る事が出来なかったのだ・・・」



【・・・】



「≪私≫は・・・迷った・・・。


何度も何度も何度も何度も・・・迷った・・・。


迷い続けた・・・。


そして・・・謀反を起こすと決めた・・・」



【・・・】



「祖母は・・・〚絶望〛した・・・。


父は・・・〚無念〛であった・・・。


≪私≫は・・・≪彼ら≫の〚想い〛を忘れる事が出来なかった・・・。


≪私≫は≪彼ら≫の〚憎しみ〛を・・・≪私≫の〚憎しみ〛を・・・捨て去る事が出来なかった・・・。


≪彼ら≫と≪私≫の〚憎しみ〛が・・・≪私≫に謀反を決意させたのだ・・・」



【・・・】



「≪私≫は・・・〚弱かった〛のだ・・・」



【・・・】



「〚憎しみ〛を抑える事が出来ないくらい・・・≪私≫は・・・〚弱かった〛のだ・・・。


≪私≫は・・・自分の〚弱さ〛に・・・勝てなかったのだ・・・。


だから≪私≫は・・・復讐を考えたのだ・・・。


≪私≫は・・・≪私≫も・・・父と同じ様に・・・〚間違えた〛のだ・・・」



【≪お前≫は、〚間違えた事〛に〚後悔〛しているのか?】



「ああ・・・。


そうだ・・・。


≪私≫は・・・〚()()()()()()()〚後悔〛している・・・」



【・・・】



「≪私≫には・・・≪私≫を止める機会が・・・何度もあった・・・。


しかし≪私≫は・・・全ての機会を捨てたのだ・・・。


≪私≫は・・・≪私≫を(いさ)めようとする伍被(ごひ)の言葉に・・・耳を(かたむ)けなかった・・・。


≪私≫は・・・伍被の〚想い〛を・・・『無』にしたのだ・・・」



【・・・】



「伍被は・・・≪私≫の謀反の画策を・・・朝廷(ちょうてい)に密告した・・・。


だからと言って・・・≪私≫は伍被を恨んでいる訳ではない・・・。


伍被は・・・≪私≫を止めたかった・・・。


伍被は・・・≪私≫によって奪われる・・・多くの命を救いたかっただけだ・・・」



【・・・】



「≪私≫は・・・〚後悔〛している・・・。


復讐を考えた『自分』と言う〚存在〛に・・・。


多くのものを亡ぼす『自分』と言う〚存在〛に・・・」



【・・・】



「・・・≪私≫は・・・『幽蘭(ゆうらん)』なのだ・・・」



【『幽蘭』?】



(かつ)孔子(こうし)は各地で遊説(ゆうぜい)したが・・・登用(とうよう)されなかった・・・。


孔子は帰国の際・・・雑草の中で美しく咲く『幽蘭』を見つけた・・・。


孔子は『幽谷(ゆうこく)』に咲く『蘭』を見て・・・(きん)(かな)でた・・・。


孔子は雑草の中でも・・・ゆっくりと・・・(ひそ)かに・・・そして・・・美しく咲く紫紅色(しこうしょく)の『幽蘭』に・・・自分を重ねた・・・。


いつか自分も・・・『幽蘭』の様に・・・ゆっくりと・・・美しく・・・咲く時が来るのだと・・・」



【・・・】



「孔子は・・・〚希望〛を持っていた・・・。


しかし・・・≪私≫には・・・〚希望〛などない・・・。


だから≪私≫の『幽蘭』は・・・()()()『幽()()()()()()・・・」



【孔子の『幽蘭』とは違う?】



「≪私≫は・・・躊躇(ためら)っただけだった・・・。


≪私≫は・・・『幽蘭』の様に・・・咲く事を迷っただけだった・・・」



【・・・】



「≪私≫が躊躇い迷い続けた為に・・・≪私≫は多くのものを巻き込み・・・亡ぼすのだ・・・」



【・・・】



「≪私≫には・・・〚希望〛などない・・・。


≪私≫には・・・〚絶望〛しかない・・・」



【・・・】



「≪私≫は・・・『幽谷』に咲く『蘭』ではない・・・。


≪私≫は・・・『幽都(ゆうと)』に咲く・・・『黄泉(よみ)の国』に咲く『蘭』なのだ・・・」



【・・・】


 

「〖楚辞(そじ)〗は言う。


 【結幽蘭而延佇ゆうらんをむすびてえんちょす

  世溷濁而不分兮よこんだくしてわかたず

  好蔽美而嫉妬このみてびをおおいてしっとす


  地上に絶望した私は天上に御座(おわ)天帝(てんてい)拝謁(はいえつ)する為、

 『幽蘭』の花束を手に持ち天宮(てんきゅう)の門番に門を開くよう命じた。

  しかし、門番は私を通してくれない。

  天上でさえも、善悪の区別は無いのか?

  天上でさえも、美徳を覆い嫉妬に狂うのか?

  天も地も、汚れは変わらない。

  天も地も、汚れている・・・」



【・・・】



「たとえ≪私≫が天に(のぼ)ったとしても・・・多くのものを亡ぼす≪私≫には・・・『幽蘭』である≪私≫には・・・何処(どこ)にも行く場所などないのだ・・・。


しかし・・・」



そう言うと≪私≫はゆっくりと息を吐き、自分の胸に手を当て、目を(つむ)り、≪お前≫に聞いた。



「≪お前≫は先程≪私≫に・・・【『何』を〚後悔〛している?】と・・・問うたな・・・?」



【・・・】



「≪私≫は死んだ後・・・『仙人(せんにん)』となる・・・」



【≪お前≫が、『仙人』?

愚かな事を言うな。

≪お前≫は、『仙人』になどなれない。

≪お前≫は今も、死んでからも、『人間』だ。

『人間』は、『仙人』になどなれない】



「そうだ・・・。


≪私≫は・・・『人間』だ・・・。


≪私≫は・・・『仙人』になどなれない・・・。


多くのものを亡ぼす≪私≫が・・・『幽蘭』である≪私≫が・・・『仙人』になどなれる訳がない・・・」



【・・・】



「其れでも≪私≫は・・・『仙人』となるのだ・・・。


人々により≪私≫は・・・『()()()()()のだ・・・」



【人々により『仙人』となる?】



「そうだ・・・。


≪私≫は人々の〚願望〛によって・・・『仙人』となるのだ・・・」



【・・・】



「≪私≫は今から・・・命を()つ・・・。


最終的に謀反を起こすと決めたのは・・・『≪()()』だ・・・。


≪私≫が『選択』し・・・≪私≫が『決めた事』だ・・・。


『責任』は全て・・・≪私≫にある・・・。


≪私≫は・・・≪私≫の『責任』を取らなければならない・・・」



【・・・】



「そして≪お前≫も・・・≪私≫と共に死ぬ・・・。


そして死んだ後・・・≪私達≫は・・・『仙人』となるのだ・・・」



【・・・≪お前≫は・・・≪私達≫は・・・『誰か』によって・・・『仙人』となるのか・・・?

≪私達≫は・・・『仙人』とされるのか・・・?

≪私達≫は・・・死後も・・・利用され続けるのか・・・?】



「ああ・・・。


そうだ・・・。


≪私達≫は・・・今までも・・・此れからも・・・永遠に利用され続けるのだ・・・」



【・・・】



≪私達≫は、近くにあった一冊の書を手に取った。


そして、其の書を力強く握り締めながら呟いた。



「≪私達≫は・・・ただ・・・知りたかっただけだった・・・。


≪私達≫は・・・ただ・・・失いたくなかっただけだった・・・。


≪私達≫は・・・ただ・・・残したかっただけだった・・・」



【・・・】



「≪私達≫は此れから・・・此の〖淮南鴻烈(えなんこうれつ)〗を燃やす・・・。


〖淮南鴻烈〗には・・・神仙(しんせん)について書かれているところがある・・・。


〖淮南鴻烈〗は・・・利用されれば危険なものだ・・・。


≪私達≫は・・・少しでも≪私達≫が『仙人』となる可能性を排除しなければならない・・・。


だから≪私達≫は・・・此れから〖淮南鴻烈〗を燃やす・・・。


≪私達≫は・・・〖淮南鴻烈〗を此の世から消し去る・・・」



【・・・】



「しかし・・・。


其れでも・・・。


〖淮南鴻烈〗は残るのであろう・・・。


そして≪私達≫は・・・『仙人』とされ・・・利用され続けるのであろう・・・」



【・・・】



「『仙人』となった≪私達≫は・・・人々の中に生き続けるのだ・・・。


生き続け・・・≪私達≫は・・・多くのものを亡ぼし続けるのだ・・・」



【・・・】



「≪私達≫の()()()〚想い〛は・・・伝わらないのだ・・・。


≪私達≫の()()()〚真実〛は・・・変えられるのだ・・・。


()()()≪私達≫は・・・消されるのだ・・・」

















             【・・・】
















      「

















          我・・・很・・・怕・・・。

 


     




















          我・・・很・・・〚后悔〛・・・。

 


















                           」








挿絵(By みてみん)



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ