大切なもの
お母さんの作った美味しいご飯を食べて夜は三人で川の字になって眠った。
「明日はママ特製のケーキを作るから楽しみにしててね!!」
「本当?!うわぁぁ ママのケーキ甘くて美味しいから大好き!!」
「明日はパパの凄い魔法をプリムラに見せよう!!」
「魔法?!良いの?!パパの魔法……初めて見る!!」
お父さんとお母さんと沢山お話をして楽しい夜を過ごした。
こんなに三人で沢山話をしたのは久しぶりだった。
お父さんには魔力があり、村の魔力を持った人達と魔物が入らない様に結界を張ったり、時には闘ったり……森へと向かうので中々帰ってこれないのだ。
暫くすると二人とも眠った。
窓から見える星空を見つめる
「神様、明日は私の誕生日です。プレゼントは要りません。だからーーー」
隣で眠る大好きな両親をみて、こんな幸せがずっと続きます様にと二人の手を握って眠りについた。
翌朝目を覚ますと隣にいたはずの両親が居なかった。
「パパ……ママ……?」
寝室から出てキッチンへと移動する。
いつも朝御飯の支度をしているお母さんの後ろ姿も裏庭で薪割りをしているお父さんの姿も見当たらない……
「二人ともどこに行ったの?」
ポツリと呟いた言葉が室内に響き渡る。
ガシャン!!
何かが倒れる音がした。
あぁ……そうか、今日は私の誕生日だ。だから前みたいにまた私をびっくりさせようと隠れてるんだ!!
何も知らないフリをして音のした方へと向かった。
「パパ、ママ、みーつけ……た……っ?!」
全身の血の気が引いていくのが分かった……
目の前には体から沢山の血を流し倒れている両親と赤く染まり血が滴り落ちる大きな斧を持った男が立っていた。
「っぁ……パパ……?ママ……?」
震える足で一歩一歩二人に近づく
ウソだ……嘘……嘘嘘嘘嘘
「いやっ……ねぇ……おきて……?」
どんなに二人を揺さぶってもピクリとも動かない
「やっ……パパ……ママ……ねぇ……きょうはわたしの……たんじょうびだよ……? みんなでママのつくったケーキたべるんでしょ? ねぇ……パパのまほうみせてくれるんでしょ……?」
二人の目に光が宿っていない……
もうこの世に二人の魂が無く生きていない事を告げる。
あぁ……二人は死んだんだ……
「っ……ふっ……」
二人が死んだ事を理解した私の目から止めどなく涙が溢れる。
悲しくて、苦しくてその場から動けなくなった私は目の前にいる男の存在を忘れていた。
「ほぉ……まだガキが残ってたか」
声のする方へと顔を上げると男が斧を持って不適に笑っていた。
男のその顔が前世の私を殺した女と重なった。
あぁ……私死ぬんだ
でも今度は両親と一緒に死ねるんだね
そんな私の気持ちとは裏腹に世界は残酷だ
「これは中々上物じゃねぇか!! 奴隷にして売れば中々の値がつくなぁ……」
「はっ……?」
嘘でしょ……?
またなの?
また私は……
両親の亡き骸に手を伸ばすが無情にも男に担がれ二人の元から引き離された。
「いやっ……離して!!パパ!!ママ!!」
手足を縛られた私は乱暴に馬車に乗せられた
そこで私はやっと村の悲惨な姿を目の当たりにする
「……っ?!」
馬や猫などの動物、大切な家族の様に接してくれた村の皆が無残にも切り殺され、大好きだったオルベリ村が真っ赤な炎に包まれるその姿をーー




