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正しいフェルミオンの歩き方  作者: 烏兎
第1章『まずはセカイを知りましょう』
3/3

00.喚ばれました。

 初投稿となります。

どうぞよろしくお願いいたしますm(_ _)m





 誰もが認める活字中毒者。

三度の飯より本が好き。



 周りには「大人しい」とか「静かな子」って言われるけど、実際はかなりのミーハーだと思う。

(ただし、本に関係することオンリーだけど・・・・)

そんな私、水鏡 瑠依≪ミカガミ ルイ≫は現在夏休みを謳歌している最中。

毎日のように図書館に通い詰めている私は、最近では『裏司書』とまで呼ばれるようになっちゃいました。






「やっぱりコレよね・・・・。整然と並ぶ背表紙。館内に充満する古書の香り。手に取っただけで湧き上がってくるこの感情といったら・・・・ッ!」


 変態チックなセリフを囁くように吐きながら、私はうっとりとした表情で本棚の前に立っていた。

今日は民謡や神話を読もう。

そう決意したは良いものの、私がこのコーナーに来てから既に30分以上が経過している。

そう、『このコーナー来てから30分』だ。

未だに1冊も手を付けていない状態のまま、私は舐めるように背表紙を見渡した。

 ふと、まるで何かに吸い寄せられるような、そんな妙な違和感にから駆られた。

振り向いて辺りを見回すが、周囲には人影さえも見当たらない。

それはいっそ、不自然なまでに。


 (図書館の一番奥だからって、こんなに人が居ないってどうよ・・・・?)

そこまで考えて、私はまた本棚へと向き直った。

 (そんな事より今は本よ、本。あぁ、待たせてしまってごめんなさい。でも少しぐらい許して?これから幾らでも時間が有るのだか・・ら?)


 語尾にハートマークが付くのではないかという勢いで思考までもとろけさせていた私だったが、本棚に向き直った直後にある事に気づいてしまった。

このコーナーの。いや、この図書館の本という本を知り尽くした私だからこそ気づけた事実。


 (こんな本、さっきまであったっけ・・・?)


 私の視線の先には、一冊の古ぼけた古書があった。

固い黒のハードカバーに、黄ばんだ紙がその本の年期の深さを物語っている、ハズだ。

なぜ『ハズ』なのかというと、その原因は本のタイトルにあった。


(“正しいフェルミオンの歩き方~初心者必見!コレであなたも・・・!!~”・・・。何これ??)


 流石の私も、本の雰囲気とタイトルのギャップに若干たじろぐ。

思わず手に取ってしまった本の表紙を、ただそっと撫ぜた。


(今日はコレにしようかな)


 一旦興味が出てしまうと、読まずにはいられない。

というか、『コレであなたも』の続きがかすれて見えない分、余計な興味を掻き立てられる。

 近くに設置してある椅子に深く腰掛けると、私はドキドキしながら表紙を開いた。







 ―――初めまして、と言うべきかな。いや、ここはようこそ、と言うべきか。


   『フェルミオンの正しい歩き方』を学ぶ為には、まずそのフェルミオンを知らなければならない。


   “百聞は一見にしかず”この言葉を君はよく知っているはずだよ。


   扉は今まさに開かれた。


   後は君が僕の名前を呼ぶだけ。


   さあ、呼んで?


   君の為だけに在る、僕の名を―――






 目次も、前書きさえもすっとばして書かれた文。

最初の一ページ目にその文が書かれているのみで、後のページはどれだけ捲ろうとも白紙だった。


(何これ・・・・。たった7行しか書かれてないじゃん)


 ほんの少し怒りを覚えながら、私は本を閉じてもう一度表紙を確認する。


(本のタイトルといい、中身といい、人を馬鹿にしてるとか思えない)


 身の内に燻る苛立ちを抑えながら、タイトルを睨み付けた。


(て、あれ? さっきとタイトルが違う)


 日本語で書かれていたはずのソレは、気が付けばサブタイトルも消え、見知らぬ言語へと変換されている。

アラビア文字のようにも見えるそれは、私にも見た事の無い言語だった。


 (なんだろ・・・知らない文字のハズなのに、見た事も無いハズなのに。私、読めてる・・・?)


 まるでそれが当然だとでもいうように、私の頭は見知らぬハズのその言語を翻訳していた。




 「アル・・・バ、テ・・ル・・・?」



 無意識の内に、私はその名をそっと囁いていた。


 ―――やっと、呼んでくれた―――


 直後、歓喜に打ち震えたかの様な声が脳内に木霊する。


 ―――やっと、やっとやっとやっとやっとやっと―――


 ―――僕がどれ程この日を待ち望んでいたか―――


 ―――僕が、どれ程君の様な存在を探していたか―――


 煩い程に主張するその『声』は、痛みに頭を抱える私の様子になど気づくはずも無かった。










 ―――もう、離さない―――










 その言葉を最後に、私の視界は闇に包まれた。













 はい、初めまして(*^^)v

変な更新の仕方をしてしまってすみません;;

既にお気に入りに入れてくださっている方には感謝の言葉もありません(-_-;)


 やっと、やっと一話ですw

仕事の合間にちょこちょこ投稿していくような感じなので、更新は亀さんに申し訳が立たない程のスピードになると思いますが、暇つぶし程度に読んでくだされば幸いです♪



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