表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ひとりぐらし  作者: 雨宮 叶月
氷室伊織の場合

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

45/51

第44話 少女Eの想い④

親なら、子供に何してもいいって本気で思ってるの?何されても我慢しろって?それが「愛されている」という証拠だって?



ふざけんな!こっちは一生懸命毎日を生きてるんだ、勉強だって主体的に取り組んでる。時間を奪って、傷つけて、何が楽しい?


自分だけでやってろよ。私を巻き込むな。愛なんていらないから。



私の人生を壊すなよ。




私の何がいけなかった?何が悪かった?


どうして、あの子より勉強も運動も顔も性格も一生懸命さも粘り強さも勇気も勝っているのに、あの子は認められて私は認められないの?


あの子は確かに素晴らしい。でも私の努力は見てくれないの?


でもそうだね。私は表面も完璧に演じられないしね。





別に構ってほしくて泣いてるわけじゃない。慰めてほしいわけでもない。


ただ、この状況から、この地獄から打開する方法を知りたいだけなんだ。





私は「化け物」だって。そんなこと初めて言われた。思い出すだけで震えが止まらない。最初から信用してないくせに。外にも出してくれない。言葉の暴力。


消えたい。私が死んだら、何もかもが解決するのに。



ひどい言葉で涙が止まらないのに、どこかで納得している自分がいるのが許せない。



別に悪いことをしたわけじゃない、ただ、私がいなければみんな幸せなんだろな、いなくなっても変わらないんだろうなって思っただけ。



_____________________________________


生徒会に入ってから、担任がことごとく私に呼びかけのことについて話をしてくるようになった。



最初はみんなも落ち着いていたためしなかったが、


「ちゃんとしないと始まらないからね。」


などと言われた。



一番頭に来て、悲しかったのはあの日のことだ。



掃除が終わり、毎日HRまで5分くらいあった。


生活ノートみたいなものを書く時間はそのときくらいだから、私も素早く書こうとしていた。


そのときだった。



「ねえ、ーー、呼びかけしろよ。自分のことだけ考えるな。」



他にもいろいろ言われたがその言葉がショックであまり覚えていない。



自分のことだけ考えるな?


自分のことができなくてどうするんだよ。他の人より自分ができていないといけないだろ。




ああ、私はあの子の引き立て役?


周りに迷惑をかけているわけじゃない、なんで私だけこんなに言われるの?




みんなちゃんとしているのに、何を呼びかけしろっていうの?




その日から私は生活ノートを学校で書かなくなった。ただ、その5分間を怯えながら過ごすことになった。胸が詰まって、頭に血がのぼって、この無駄な時間が早く終わればいいのにと思った。



それでも私も多少は呼びかけしている。




でも、あの子が「机の上の荷物を片付けてください」っていって担任がこっちを見たから私も反復するように言ったけど、あの子の声と被った。恥ずかしかった。こうなることは分かってたはずなのに。





大丈夫、今日も私はうまく笑えてる。大丈夫。




本当に?



_____________________________________


もともと妊娠していた担任が産休を取ることになった。ずっと休めばいいのに。子供のためにも、私のためにも。


やがて新しい担任が決まった。副担任で、数学の先生だった。


不安なところもあるが、頑張ろうと思った。



ある日、あの子が学校を休んだ。そのため、クラスマッチの進行は私ともう1人の代議員が担当することになった。



私は黒板に詳細を書いていたが、ちゃんとみんなに2回呼びかけをした。従ってくれたようだった。


先生もそれを見ていた。だから私はちゃんとやっているということが分かったはずだと安心した。



私はもともと声が小さい。頑張って大きく出そうとしても、小さい。だからHRの返事もするが聞こえていない場合がある。これも私の欠点の1つだが、どうしようもできない。


だからなのか。


あの子が休んだ最後の日のHR後、先生に呼ばれた。


「ーー、あの子がいないとやっぱりちょっと頑張れてないね。もっと口動かして、口を。」



「………はい。」



以前の先生よりは優しい口調だった、でもイライラしている気持ちも入っていた。




どうして?私、貴方の前でちゃんと呼びかけしてた。見ていないとは言わせない。


あの子がいないとダメ?


私は一人でも生きていける。比べてきたのは貴方たちのほう。


口を動かせ?


もう動かしてるよ。数字に例えると、あの子は60から80に変わった。私は0から60に変わった。あの子のほうが頑張っているのかもしれない、でも私は0からここまでやってきた。


これ以上私にどうしろっていうの?



とても悔しくて、あと一歩で泣くところだった。息をする音が変だった。


私はなんで生きているのだろう。



___________________________________



また顔を叩かれた。


悲しいというより、痛かった。


叩かれたのは私のせいだって言われた。



母は、私に定期テスト全教科100点、外でよく遊び、運動もできて、親の話をよく聞く子供が理想らしい。



そして、それを私に押し付ける。




ああ嫌だ。



でもね、きっと全部私のせい。


私が上手くできないから。私が完璧ではないから。


私が、自分の人生に期待してしまうから。




私は「変わった」って。


違う、私は何も変わってない。未だあの頃と同じ純粋なまま。


ただ、、、





私の頭が悪いからこんなことになっているの?

これ以上私に何を求めるの?



最初はテストも60点以上あればいいって言ってた。それが80点。90点と上がってきて。今度は100点?


手が震える。どんどんハードルが上がってきて。私は、もうこれ以上頑張れなくて。



私の意思なんて無視。


貴方はきっといつまでも満足しない。




私の人生を、希望を、生きる意志を、貴方は壊したんだ。




もういい。もういいから。


誰か■■■。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ