制刻の混魔人
ほ ぼ 会 話 文 。
今回もよろしくお願いします。
「すみません、ちょっと作戦会議いいですか?」
「…ああ、存分にやってくれ。」
二つ名とは、その魔族の本質、または戦い方、こだわりなど、それを一言で表したものである。
例えばユーリカは、最強の魔法が、まるで紅い華の大輪が咲いているようだから『美しき紅い華』。
ドラグはドラゴニュート最強の戦士だから、『大竜牙』。
マキナはエレジィと言うめずらしい種族な上、あの洗練された立ち振る舞いで『貴人たる機人』。
それぞれが、上手く特徴を捉えた、いい二つ名だと思う。
つまり何が言いたいかって言うと、性欲男根魔神はないと思います。
それだけ。
そして勇者…めんどいな、ガラルド達の作戦会議の内容は、俺のデビルイヤーには入ってきてしまう訳で。
なんか変な先入観を与えてしまったのなら申し訳無い。
「聞き間違いじゃないとは思うんだけどさ、今、性欲男根魔神って言った?」
「確かにそう言ったけど、いくらなんでもそれは無いわよ、オリジンさん?も怒ってたし。」
「確かに、あのユーリカ陛下が他人を貶めるだけの言葉を、とは考えにくいです。
何か他の、本当の二つ名をもじったのでは?」
なんかね、人間っていいよね。
あったけぇわ。涙出そう。
「それに近い言葉で、あの人の二つ名…アリア、ちょっとアナライズしてみていいか聞いてみる?」
「うん、そうして。あくまで迷惑じゃなければで良いけど。」
「すみません、大変失礼なお願いなんですが、アナライズを掛けさせて頂いてもいいでしょうか?」
「ああ、構わない、存分にやってくれ。」
「アリア、お願い。」
「知るもの、知らぬもの、我が目に速く示せ、アナライズ。」
おお、詠唱。恐らく鑑定魔法だな、俺の魔法感知に反応した。
「ありがとうございました。
…で、どうだった?」
「なんか、凄いんだけど、よく分からないわ、色々と、力が混ざっているような…?」
「男根魔神…こんまじん…混魔人?
もしかして、混魔人ではないでしょうか?」
好意的解釈をして頂いているところ申し訳無い、俺、二つ名無いんです、まだ。
「混ざった魔族で、混魔人。そうかも。
とにかく見た事も聞いたことも無い魔族って事ね、だったら、その、せ、せい、」
「性欲の方?」
「…そうよ!そっちは何だと思う?」
「せいよく、せいふく、せいかく、せんこく、せいこく、色々と有りますが…」
「…そう言えば、ボールドで聞いたんだけど、魔王ユーリカ様の恋人って、あの人よね?
ずっと離ればなれだったって言ってたけど、魔王ユーリカ様の恋人がこれまで無名だったなんてあり得ると思う?」
「…つまり、何が言いたいの?」
「離ればなれだったのは、魔王ユーリカ様の視点で、あの人からすれば、実は少しの期間だったとか。」
「それって、……そんなまさか!?」
「うん、そう、時間跳躍。
だって魔界って、人口不足が深刻なんでしょ?同一種族でしか子供が出来ないから。
じゃあ何で昔は繁栄してたのかって考えたら、昔はああ言う風に、色々と混ざっているような種族が居たのかなって思って。」
「なるほどね、時を制する魔族、制刻って訳か。」
「制刻の混魔人、ですか、確かに辻褄は合いますね、本質を表しているように思います。」
なんかすっげぇ深読みしてんなあ。
俺ホント、そんな大したやつじゃないんだよ。
ハードルが高い、もう既に飛び越えるべきところが見えないレベル。
ユーリカの悪ふざけのせいで、ほんっとごめんなぁ。
「時間の魔法か…そう簡単に使えるものじゃないって気もするけど、あの自信に満ち溢れた姿、洗練された装備、凄い実力の持ち主なんだろうね…認めて貰えるかなあ。」
「何弱気になってるのよ!アンタ勇者でしょ!
さあ、作戦会議は終わりよ!バシッとキメなさい!」
なんか、あの二人の雰囲気いいなあ。お互いに信頼感があるって言うか、ガラルドがアリアを引っ張って、アリアがケツをぶっ叩く、みたいな。
あ、こっちに向き直した、作戦会議終わりでいいのかな?
「作戦は決まったか?
改めて名乗ろう、俺は『制刻の混魔人』、百花城近衛隊長のオリジンだ。
さあ、勇者よ、名乗るが良い。」
剣を抜きながら言う。すみません、早速使わせて貰いました。
だがそんな事はどうでもいい。(めっちゃ感謝してる、ありがとう。)
俺は努めて格好良く振る舞う、もう俺には、かつて罹っていた病気を再発させるしか無いのだ。
ガラルド達も、戦闘の体制に入ったのか、それぞれが武器を構える。
小声で、良かった、合ってた…とか言いながらだが。
「僕は、ガラルド。他の何者でもない、勇者ガラルドです!
『制刻の混魔人』オリジン殿、いざ尋常に…」
「「勝負!!」」
人物などなど
○オリジン…二つ名ゲット。この流れは二つ名を思い付いた時には考えてました。




