83話
北の領地アマイモンの街での仕事は一通りおわった。
一応、あのやる気のなさげな領主アマイモンに挨拶をして次は東の領地に向かえばいいだろう。
と、いうことで、アマイモンに再び謁見している。
「もう終わったの?早いね。ついでになにかフルーツがなる樹でもこの城に植えてくれいないかなぁ。世界樹の作る果樹のフルーツとかおいしそうだし」
「アマイモン様、果樹園なら城下町に作ってあります。次の東のオリエンス様の所に行かねばなりません。実がなるまでお待ち頂ければ、」
アイクさんの言葉は途中でかき消えた。
ドンっと音共にアイクさんが吹っ飛ばされて、気が付けばアマイモンが僕の横にいた。
「アイクさぁ、いくらルシフェル様の側近の一人だからって口には気を付けないと、僕は君には聞いてない。ここにいる世界樹の化身君に命令してるんだ。」
なんて切れやすいんだ。
カルシウムが足りてないと思う。
てか、アイクさん大丈夫なのか?
「アマイモン様、これはルシフェル様の命令です」
おお、何とか無事みたいだ。
しかし、いきなり攻撃って、仲間同士だろ。
「果樹1本ぐらいなら、すぐにできるから、アイクさんもアマイモンさんも落ちついて」
「最初からそう言えばいいんだよ」
と、僕の横にいるアマイモンは笑顔で答えた。
「で、どの辺に植えますか?」
「中庭に適当に植えといてよ世界樹の化身さん」
「わかりました、中庭ですね。アイクさん行こう。植た後は、そのまま出発しますのでアマイモンさん」
「はいはい、好きにすれば~。でも植えてすぐ育つとこも見てみたいから僕も着いて行くよ」
「了解です」
ったく、アマイモン結構あぶなやつだな。
アイクさんに一応治癒の力を使って回復させる。
「へ~、そんなこもとできんだね、世界樹の化身って、もしかして戦えたりもできるの?」
「世界樹の役割は戦うことにありませんので、基本的に戦えません」
「じゃあ襲われたらどうするの?」
「そのためにアイクさん達、護衛のみんながいますので」
「ま、そりゃそうか」
何とか納得してもらったけど大丈夫かな。
って思ってたら僕の見える速度でわざとパンチを僕に向けてくる。
僕は、反射的に根を張り巡らせガードする。
メキメキっと音がしたが僕にダメージはない。根っこの壁が防いでくれた。
「中々に硬いね。基本的にはって言ったろ?だから非常時はどうするのかと思ってさ。で攻撃するときはどうするのさ。ガードだけじゃ逃げ切れるわかじゃないよね?」
「その場合はウッドゴーレムを召喚して戦わせます」
「へ~なるほどね、じゃあ召喚してみてよ」
僕は、ウッドゴーレムを召喚して、と言うより作り出すんだけど。
ウッドゴーレムを作り出してアマイモンに攻撃をしかける。
流石に痛い目にあってもらいたい。
突然の攻撃ににもアマイモンは驚きもせずに攻撃を受け止めた。
「結構、重たい攻撃をするじゃないか。これは久々に楽しめそうだ」
アマイモンはウッドゴーレムと戦い始めた。
スピードではやはりアマイモンの方が上だがパワーウッドゴーレムの方が上だと信じたい。
アマイモンの攻撃で少しづつウッドゴーレムにひびが入り始めた。
「やっぱり固いな」
とアマイモンは獰猛な笑みを浮かべながら戦闘を楽しんでいる。
ウッドゴーレムも蔦を伸ばしてアマイモンを全方向からの攻撃を仕掛ける。
これにはさすがのアマイモンも逃げ切れない。
蔦を素手で切り裂いて何とか脱出したが、確かにダメージが入った。
「やるねぇ、こっちもちょっと本気でいかせてもらうよ」
いままで、本気じゃなかったの?
アマイモンのスピードはさらに加速して、ウッドゴーレムの攻撃が当たらなくなってきた。
アマイモンの攻撃でひびがより大きくなっていき、ついにウッドゴーレムは粉砕された。
今回敢えて、治癒の力は使わなかったけど、強すぎる。
これがこの地を任されてると言われる悪魔の力か。
「なるほどね、ある程度の自衛はできるみたいだね。中々楽しめたよ」
こっちは楽しめる余裕なんかない。
他の悪魔の領地でも同じことがおきるのかと思うと胃が痛みそうだ。
「それじゃ、中庭に行こうか」
まるで何事もなかったかのように自然にに振る舞うアマイモン。
怖えぇ。
中庭にはリンゴの樹を植えることにした。
すぐに種に力を注ぎ大きくしていく、そして実がなり始めた。
周りで見ていたアマイモンもその配下達も驚いているようだ。
「聞いていたけど、本当にやるとこを見るとやっぱりちがうねぇ。じゃあ早速実を食べてみようか」
そう言って、アマイモンはリンゴの実にかじりつく。
「うん、うまい。とっても甘くて、これならいいおやつになりそうだ。ありがとね、世界樹の化身君」
そうして、僕たちは漸く解放された。
今日は、ここで1日休んで、明日からは東の領地に向かって旅をすることになる。
☆★☆
アマイモンはウッドゴーレムの戦闘で実はかなりのダメージを負っていた。
アマイモンは部下とともに執務室にいて回復役を飲んでいた。
「なんなのだ、あのウッドゴーレムは!? 僕の攻撃に何発も耐えたし、1撃の重さが半端なかった、それに最後の蔦の攻撃は見た事がない。明らかに普通のウッドゴーレムじゃない。あれ1体であの強さだ。世界樹の化身君は一体何体まで召喚できるんだ。あの余裕そうな顔は、まだまだ召喚できる顔っだった」
「そこまでの強さなのですか!?」
「間違いなくお前たちでは苦戦は免れない。下手をすれば全員やられるぞ。」
ちょっと遊んでやろうと思ったらこんな結果にになるとは!
きっと世界樹の化身君もまだ力を隠している可能性だってある。
それがわかるまで、安心できない。
ルシフェル様はどこまでご存知なのだろうか?
☆★☆
アイクは目の前でアマイモンとウッドゴーレムの戦いをみて驚愕していた。
あのアマイモンの攻撃を何発もうけて、未だに倒れない耐久性、そして蔦による攻撃など見たことも聞いたこともない。
自分だってアマイモンの手加減の攻撃で相当なダメージを負った。
すぐにユキ様が回復してくださったおかげで、大事には至らなかったが。
それにアマイモンの攻撃は」かなり本気の一撃を繰りだしている。
攻撃が当たるたびにひび割れが起きているが、それでも攻撃に転じてはたまに攻撃が当たっている。
かなり重い一撃のようで、アマイモンもいつもの余裕な態度が見受けられない。
それだけ、本気なのだろう。
対して、ウッドゴーレムを召喚したユキ様は平然とその戦いをみている。
これが当たり前のような感じでただ、見ている。
きっと世界樹の化身であるユキ様はまだ本気をだしていない。
実際、召喚したウッドゴーレムを操るわけでもなく、自律的に動いているただのウッドゴーレムだ。
最終的にはウッドゴーレムは粉砕され、アマイモンが勝った。
私は、アマイモンより、ユキ様の方が恐ろしく感じた。
負けたはずのユキ様が未だに平然としているからだ。
あれだけの戦闘を見ながら何も感じていないのか?
その後も中庭で果樹を作る時もいつもと変わらずにいた。
周りにはアマイモンの配下が取り囲んでいるというのに。
☆★☆
次の日には朝から、出発となった。
天気もいいし、絶好の旅びよりだと思う。
昨日はアマイモンとひと悶着あったけど、特に文句もいわれてないしね。
「アイクさん、次の領地に向かって行きましょう」
「はい、ユキ様」
アイクさんの顔色が少し悪いが、連日の仕事で疲れがたまっているのだろうか?
後で治癒の力を使ってあげよう。
さあ、東の領地へ出発だ。




