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81話

 アイクさんに僕が世界樹の化身であること打ち明けた僕は、次の日まで開拓村の一室で考え事をしていた。

 森と共に悪魔たちが、共に暮らせることができないかを考えていた。

 中々考えが纏まらずにとうとう次にの日の朝がきた。


 朝には、昨日のトレントとの約束通り、入り口に案内としてフォレストウルフたちが待っていた。


 「こんなところまで、魔獣が!?アイク様この数では流石に危険です!」


 と護衛の一人が叫ぶ。

 

 「落ち着け! ユキ様、あのフォレストウルフ達が案内役だと思いますか?」


 「多分そうだろうね、こっちも護衛の数がいるから向こうも多少警戒してるけど、敵意は感じられないよ」


 僕はそういって、一人フォレストウルフに近づく。


 「危険です、ユキ様! お戻りください!」


 「大丈夫だよ」


 そう言って僕はフォレストウルフの頭をなでる。

 なでられたフォレストウルフは嬉しにそうに尻尾を振っている。


 「ほらね、僕には、危害を加える気はないみたいだし、安心していいよ。彼らが案内役で間違いないから、みんな武器をしまって欲しい」


 僕の行動と言葉で 護衛の皆は戸惑いを隠せないようだ。

 中々武器を下ろさない。


 「アイクさん、お願い。武器を下ろして」


 「わかりました。ユキ様を信じます。全員、武器をしまえ!」


 その一言で、護衛の皆も武器を下ろした。


 僕を先頭にフォレストウルフ達に着いて行くことにした。

 ある程度進むとこのあたり一帯がトレントばかりが密集していた。

 トレント達は僕らに気が付くと道を開けて奥に案内してくれる。


☆★☆


 森に入って行くにつれて、魔獣たちの気配が強くなっていく。


 「アイク様、本当に大丈夫なんでしょうか、こんな深くまで森に入ったことはありません。それに樹が勝手に動いて道をつくるなど」


 「あれらは、全てトレントだろう。下手に刺激せずにここはユキ様に着いて行くしかない。全員気を抜くくなよ」


 しばらく歩くと、一人の兵士が蔦にひっかり転んでしまった。

 その瞬間に蔦が一人の兵士にまとわりついて拘束してしまう。

 アイクの判断は早かった。


 「全員、抜刀!武器を構えろ!」


 「みんな、落ちついて! トレントもビックリしただけだから、敵意はないよ。彼を離してあげて」


 ユキ様がそういうと護衛を拘束していた蔦はするりと拘束をといた。


 何なのだ、ユキ様の命令に素直にトレントがいう事を聞いている。

 昨日の世界樹の化身という話は本当なのだろうか?

 私自身が信じられなくてまだ部下達には伝えていない。

 ただ、同じ植物系のモンスターの上位種だとは伝えたが、世界樹の化身などと伝えれば、きっと部下たちも信じないだろう。

 この森をでれば、至急ルシフェル様に報告したいところだが、果たして信じてもらえるだろうか?


☆★☆


 一人の護衛の騎士さんがちょっと捕まえられたけど、ケガもしてないし、大丈夫だよね。


 「無容易にあたりを触らないようにしてね。みんな団体で来てるから、この森も緊張してるみたいだ。だから武器を下ろして」


 今度はなかなか解除しようとしないな。


 拘束された一人の悪魔の騎士はよほど怖かったのか震えながら叫ぶ。


 「こんな魔の森で武器を下ろせだと!自分だけが安全だからそんなことが言えるんだ!きっと俺たちをだまして森の奥で俺たちを始末するつもりなんだ!」


 そう言って半狂乱になった彼が僕に切りかかってくる。

 それを受け止めたのはアイクさんだった。


 「落ち着け!ユキ様にその気があったならわざわざお前を解放する意味がないだろう!」


 「どいてください、アイク様、奴は人間の形をしているだけの所詮モンスターです!」


 「周りをよく見ろ。すでに我らは包囲されている、これだけの戦力差では度の道全滅して終わりだ」


 そうなのだ、彼が僕に切りかかってきた瞬間に全てのトレントとフォレストウルフ達が完全に攻撃態勢に入っていた。


 周りを見渡した、騎士は青い顔をしてアイクから武器を引いた。


 「わかったか、すでに我々はユキ様に従う他にない。全員、武器を下ろせ!」


 アイクさんその一言で再び武器を下ろす騎士達。


 「申し訳ありません、ユキ様。部下が勝ってな行動を。どうかお許しください」


 そう言って頭を下げる。


 「気にしていません。このような場所に居れば気も立ってしまうのもわかります。それに彼はトレントに拘束までされたのですから」


 「ありがとうございます」


 僕達は、さらに奥に進む。

 すると木の柵で囲まれた集落らしきものが見えてきた。

 フォレストウルフが遠吠えをすると、ガサガサと周りから音が聞こえ、護衛の悪魔騎士たちがいつでも武器を抜けるように警戒態勢をとる。

 周りを囲むように現れたのダークエルフと思わしき一団だった。


 「お待ちしておりました。ユキ様。ダークエルフの族長、ナイルです。事情は昨日来たトレントに伺っています。どうぞ、こちらへ」


 そう言って僕たちは樹の門が開き僕たちは、集落の中に入る。

 門を開いたのはウッドゴーレムだった彼らが門番をしているのだろうか。

 集落のなかはまるで、エデンのようだった。

 まだまだ、発展途上ではあるが、これは育てがいがある。

 なかには、ダークエルフのほかにトレント、フォレストウルフ、ウッドゴーレム、アウラウネ達、植物系のモンスターが一緒に暮らしていた。

 

 「森の中にこのような場所があったとは、何故ここだけ植物が枯れないんだ!?」


 「それは、千年樹があるからですよ」


 「千年樹とはいったい何なのだ?」


 アイクさんとナイルさんが言葉を交わすが、僕にもわからない、千年樹?

 

 「まずは王に会いたいと千年樹のトレント殿が申しております。どうか先にお会いしていただけますか?」


 『王』という言葉にアイクさんが反応を示したが、特に追及してくることはなかった。

 だが、ほかの護衛達の反応は違った。


 「王だと、どういうことだ」


 「ユキ様、は普通の植物系のモンスターではないのか?」

 

 などと騒ぎ始めた。

 

 「落ち着け!我らは、ユキ様の護衛として来ているのだ。余計な詮索はするな!」


 とアイクさん。

 どうやら、アイクさんは部下たちにまだ、僕の正体を話していないようだ。

 まずはその千年樹のトレントに話しを聞かせてもらわないと。


 「部下たちが騒ぎ、失礼した。ナイル殿。それでは、我らもその千年樹のトレント殿の所へ連れて行ってくれるか?」


 「ええ、もちろんです。その方があなた達も納得しそうだ」


 そして僕たちは集落の中央にあり巨大な千年樹のトレントに会いに行った。


 「世界樹の化身にして、我らが王よ、お初にお目にかかります。儂が千年樹のトレントにございます」


 「こちらこそ、初めまして。気軽にユキと呼んで欲しい。千年樹のトレントさん。それで話とは?」


 「はい、魔界に緑が育たない理由についてです。今は王が目覚め魔界も少しは回復傾向にあるのです。しかし、私のような王から力を受け取る千年樹が不足しているのが原因なのです」


 僕から力を受け取る?

 送った覚えがないけど?

 勝手に吸われてるのかな?


 「待って、僕から力を受け取るって、地上から魔界にかい?」


 「その通りです。世界樹の力は無限のエネルギーを世界に巡回させる力があります。それを千年樹が地上から受け取り、魔界にも巡回させていましたが、魔界の住人達が戦争を起こしたために多くの千年樹が失われ、数が少なくなった千年樹だけでは、魔界全土を巡回させるだけの力がたりないのです」


 「待って欲しい、戦争と言っても戦争が起きたのはルシフェル様が魔界を統一するのに起こした戦争は500年もまえだ。その時には、まだ緑があったときいている」


 500年も前に戦争は終わってるの?

 なんか、ララから聞いた話とちがうぞ。

 まだ緑をめぐって争っているときいたぞ。


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