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52話

 両国からの手紙がきてさらに1カ月が過ぎたころにようやくこちらも準備が整った。

 準備が整ったことを両国に知らせるために伝書鳥を送る。

 後は、宴?いや、慎ましくなるかもしれないがパーティーの準備だ。

 エデン産の食材を活かしたおいしものを用意してもらおう。

 ミントとヘルファー妖精さん達に。

 僕も料理はできるが、それはゲーム内でのことまだ一度も手を出したことがないので、やめておく。

 失敗したら嫌だしね。

 うん、これは決して逃げではない、王様が自ら料理とか聞いたこと無いしね。


 「と、いうわけで料理はミントにお願いしていいかな?」


 「はい、お任せください。ヘルファー妖精も手伝ってくれるなら何とかなると思いますので。パーティーということなので、立食形式でよろしいですか?」


 「うん、それで頼むよ」


 「畏まりました」


 「パパもお料理できるの?」


 「旦那様も昔はされいましたよ、アウラ様」


 「アウラ、パパが作ったお料理食べてみたい!」


 な、なんだと、アウラが食べてみたいだと。

 しかし、現実になってからは、一度も作ってない、でもアウラに『おいしい』と言ってもらいたい自分がいるぞ!

 どうする俺!?


 「パパもかれこれ300年も料理してないからおいしくできるかわからないし、ミントの方が上手なんだよ」


 「ありがたいお言葉ですが、旦那様の方が確か料理の大会で優勝されていませんでしか?」


 ミントさん、それはゲーム内のことで、最高の食材を使えば簡単にできてたのだよ、しかもポチポチとボタン操作しかしてないから!

 ハードル上げないで。

 ほら、アウラの目がキラキラしてるよ!


 「パパすごいね、なんでもできちゃうんだ!パパのお料理楽しみ!」


 褒められてうれしいけど、アウラのなかで、俺が作ることが決定されている!?

 アウラの為なら、頑張るよパパ!

 ん?さっき王様が自ら作るなんてこは無いだって?

 娘の為なら自分の言葉でさえ覆すわ!

 とは、言え何を作ろうか?

 ちょうどお昼時だし今から作るとして、子供が喜びそうな食べ物って?

 ……………そうだ、オムライスにしよう!

 そうときまれば、さっそく食材を用意せねば、オムライスなら自分で作ったこともあるし、なんとかなるだろう。

 

 「よし、アウラ、パパが頑張ってお料理作っちゃうぞ」


 「ミント、最高級の我がエデンの食材の準備を頼む。オムライスを作るぞ!」


 「畏まりました。すぐにご用意いたします」


 「さあ、アウラはできるまで、お外で遊んでいなさい、できたら呼んであげるからね」


 「やったー!じゃあお外で遊んでくる」


 アウラは元気いっぱいに外に出掛けていった。


 「ミントよ。これは失敗は許されないミッションだ!全力で作る!」


 「はい、旦那様。ミントもお手伝いさせていただきます」


 最初にご飯を炊く。

 そしてソース作りだ、まずはフライパンにオリーブオイルをひいてトマトを粗目につぶして煮込む。

 コンソメ、醤油、エデン特性のソース、粉チーズ、に砂糖にハチミツを入れて最後にバターを入れて煮込むだけ。

 その間に玉ねぎをみじん切りにする、くっ!目に染みるがこれもアウラの為、我慢だ!

 流石現実、こんなことでくじけはしない!

 次に鶏肉だがこれは最近魔族領から仕入れたものだが、しっかり餌はエデンのハーブを与えている。

 すでに別の品種になっているはずだ。

 だいたい食べやすいように1.5センチぐらいに角切りにする。

 フライパンにバターを入れて、鶏肉と玉ねぎを一緒にいためる。

 少し炒めたら、塩コショウですこし味をつけてやる。

 そこに炊き立てのご飯をって料理番組か!

 とにかく自然に料理ができている、これでゲームないでやったことはこの世界でも僕にはできることが実証された。

 ということはかなりおいしく作れるはずだ。

 オムライスの卵はやはりふわトロが喜ばれるだろうから、ふわトロに作る。

 うむ、なかなかのできだ。


 ミントと自分の分も作って、しまってお昼にしよう。


 「よしできた。ミント悪いけどアウラを呼んできてくれる」


 「はい、それがその、もうすでにいらっしゃるのでが、その…」


 なんか歯切れがわるいミント。

 

 「どうしたの?」


 「すいません旦那様、なぜか皆さまが御集りになっております」


 ??みんなって、誰が?

 僕はキッチンからでて、リビングをみた。

 そこには4大精霊達とポチ、クロ、シロの7人とアウラが楽し気に談笑していた。


 なんでみんないるの?今日はなんかあったっけ?


 「あっパパだ!あのねみんなにパパがアウラの為にお料理作ってくれるって言ったら着いてきちゃった。ダメだったかな?」


 少しバツが悪そうにするアウラ。

 アウラは悪くないよ、悪いのは、アウラをだしに着いて来たこいつらが悪い。

 

 「ダメじゃないよ、アウラは優しいね、みんなにも食べて欲しかったのかい?」


 するとアウラはぱあっと笑顔になって、


 「うん、だってパパのお料理おいしいってみんなが言うんだもの」


 そかそか、みんなが言ってたのか、食べさせた記憶はないが?

 あぁゲーム内で何回か上げて好感度的なものを上げていた気もする。


 「うむ、久々におぬしの手料理と聞いてな。」


 「ユキ様のご飯はおいしいですからね」


 「まだなの、待ちきれないよ」


 「私も、楽しみです」


 順にドーガ、グラン、フィーネ、フェルミナ。

 てか、精霊は特に食べなくても生きていけるよね。


 「御屋形様に頂くご飯が久しぶりで楽しみです」


 「俺も主がくれるの久々だからもうよだれが」


 「ユキ様が手で食べさせてくれていたころが懐かしいです」


 今度はポチ、クロ、シロの3人。

 むしろゲーム時代のなかでは料理じゃなくてドックフード、キャットフード、生野菜しか上げた思い出しかないんだが?

 まぁ、いつも世話になってるし、たまにはいいかな。


 「わかったよ、みんなの分も作るから待ってて」


 こうして、僕は王様のはずなのにみんなのオムライスを作る羽目になったのだった。

 最初はアウラとミント僕の3人だけの昼食が思い寄らず、いつものメンバー全員で食べることになった。


 次からはアウラには口留めしとかないとな。


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