20話
自らを昼行灯と言い張る、残念美人なエルフのお姫様なの話しく限り、こちらの味方であるらしい。
まだ、僕たちの方では半信半疑だ。
まるで、『私、口は堅い方なのよ』、『実は私、天然が入ってるの』とか微妙な表現で自分を売ってくる人みたいで、僕は信用できずにいる。
だって『方』とか『入ってる』とか、何かあった時に言い切ってないから、嘘はいってない。
みたいな言い訳がましく開きなおる気がする。
言い切られても、嫌なんだけどね。
僕がそうだから、同族嫌悪?
僕の場合は純粋に自信がないからそんな言い方になりがちなんだけど。
今はあの、お姫様も帰って、会議中。
「あの姫様、信用できると思う?」
僕は、精霊4人に聞いてみた。
「そうだな、信用はできるが信頼はできんな」
なにその言い回し、かっこいい。
みんなも頷いてるし、僕も頷いた方がいいのか?
いや、でもわからない事は聞いておいた方がいいような気がする。
「と、いうと?」
この言い方なら、僕はあくまでドーガの意見が聞きたいんだ風に聞こえないかな。
「わかってると思うが、あれはただのバカだ。物事を頼んでも失敗する可能性が高い」
相変わらず、ドーガは切り捨てますな、僕なら泣いてるかもしれない。
でも、なるほど、確かに初めて会った時も、昼行灯ですと言いに来た時も賢くはみえなかったな。
ん?協力してもらったら、逆に足を引っ張られる事もあり得るんじゃないか。
それはダメだな、余計に窮地に陥っても困る。
利用できそうな事だけ、利用しよう。
ご利用は計画的に、無理のない姫様プランを立てて。
「そうだね、あの姫様も結界の事はわかってないみたいだし、ここはやっぱり僕が動くしかないよね」
「残念だがそれしかないな」
おい!残念っていうな!
少なくとも僕は、あの姫様より使えるよ!
「取りあえずぅ、ユキ様には安全に行動してもらえるようにみんなで作戦を考えましょぉ」
フェルミナの安全は僕の身を案じて言ってくれてるんだよね?
決して、僕がへましない様にって意味の安全じゃないよね?
恐くて聞けない、自分がもどかしい。
僕の安全を考えて行動する為の会議は、情報らしい、情報もないので主に夜に行動することになった。
注意事項
・左右の確認
・知らない人について行かない
・人から物をもらわない
・そのへんの物を食べない
・わからない事があったら帰ってくる etc.
僕は小学生か!
そのへんの物を食べないって何?食べたことないわ!
「いいですかぁ、ユキ様。男の子ですから、わからないでもないですけどぉ、探検も冒険もしてはいけませんよぉ。あくまで、何か情報があったら儲けものぐらいの感覚でお願いしますねぇ」
行く必要性が感じなくなってきた。
意地でも行くけどね!
絶対、結界の情報を持ち帰ってやる!
むしろ一人で解決してやる!
「ユキ、無理はするな。一人で解決しようなどと思わないことだ、お前は一人ではない。我らがいることを忘れるな」
人の心を読むな!
うまくいい具合にいったけど、信用してないのが丸わかりだよ!
そこのノームとシルフ、顔が歪みそうになってるよ!笑いを堪えてんのわかってるからな!
グランとフィーネに言いつけてやる。
翌日の朝に妖精達が僕を呼びに来た。
どうやらまた、エルフの王様が来たらしい。
「おはようございます、王様」
「おはよう。昨日は娘がすまなかったね」
昼の娘の事ですか?夜の娘の事ですか?
今日はお姫様がきてないので、わからない。
護衛のエルフもいたし、ばれてなければいいな。
「気にしてませんよ。今日はどうしたのですか?」
「そう言ってくれると助かるよ。君は他の妖精と違って、特殊な力があるそうだね」
特殊能力といえば、種を植えてイチゴを食べたのを隊長さん達に披露しましたね。
「その力は、どんなものにも使用できるのかな」
「試したことがないのでわかりません」
「この種を育てみてほしいのだよ」
そう言って王様は、兵士から僕に渡した。
種の大きさは落花生ぐらいの大きさだった。
こんな種見たことない。
「これは、何の種ですか?」
「育て見ればわかるよ」
育ててからのお楽しみですか。
不安しかないので、お断りしたい。
でも、農ゲーをやってた者しては、興味もある。
「怪しい種ではないよ。そうだね、とてもきれいな花が咲くと文献には書かれているね。極稀に見つかる種で、栽培がとても難しいんだ」
気になるけど、余計に怪しく感じるよ。
しかも栽培が難しい、たまにしか手に入らない種。
栽培に成功してないのでは?
成功してるなら、種も手に入るはずだし。
「もしできるなら、花が咲く前のつぼみの段階で成長を止めることは可能かい?」
「まぁだいたいの植物ならできると思いますよ」
花を咲かせないって意味あるんですか?
花は咲かせてこそでしょうよ。
まぁ、やってみるしかわからないし、やってみようかな。
僕は種を植えて、水をかける。
植えた所に手を当てて、マナを送る。
育つのです。
見知らぬ花よ。
加減がわからないから、送るマナは少量ずつ、慎重に。
すると、花の植物は、やがて芽をだし、成長すると、赤いつぼみをつけ始めた。
ここで、送るマナを止める。
周りのエルフ達からどよめきが起こる。
ただ、花のサイズがデカすぎる気がする。
蕾のサイズが3歳児ぐらいの大きさがある。
エルフ達も「これさえあれば」とか言ってる人がいる。
何かの薬にでも使えるのかい?
「これで、いいのですか?」
「あ、ああ。ありがとう。すばらしい!これからも君とは仲良くしたいよ」
笑顔で王様が僕に言った。
仲良くしたいなら、ここから妖精さんを解放して欲しい。
結界を解きなさい。
無償奉仕のボランティアじゃないよ。
僕のデモンストレーションはこれで終わりかな?
王様は何やら、考え事をしている。
「その花は頂いて帰るよ」
そういうと、護衛エルフの一人が蕾のままの花を根本から掘り起こして、植木鉢に植え替えて持っていった。
なんだったんだ?
怪しいことに協力した気がするけど、僕の仕事は終わりですかね。
朝から不思議な花を育て僕は、今度は自分が持ってきた種を植えて妖精達にもおすそ分け。
育った植物は、サツマイモ。
種から育つサツマイモって違和感あるかもしれないけど、これもゲームクオリティ。
ドーガに火をおこしてもらい、みんなで焼き芋パーティ。
ホクホクのお芋を『あつっ』っていいながらみんなで食べてます。
おいしい。
煙を見つけた、エルフが何事かと見に来たけど、やらん。
さっきも思ったけど、エルフには妖精たちを閉じ込めてる結界が効いてないのか?
自由に出入りしている。
そのへんも調査が必要だね。
早く夜にならないかな。
妖精たちとワイワイしてたら、夕方になった。
もうすぐ夜になって動くと思ったら、ドキドキする。
緊張してきた。
今更なんだけど、見つかったらヤバイよね。
潜入のゲームを思い出すよ。
段ボールどっかに落ちてない?
まぁ下手だから、すぐに増援がきて、ストーリが進まなかった。
あれも結局はプレイ動画を見て、楽しむだけで自分でクリアできなかった。
友達には、金の無駄使いとよく言われたけどね。
取りあえず、柵は簡単に乗り越えれそうだし、樹が乱立してるから、隠れるとこはいっぱい。
なんちゃってギリースーツでも作って夜に備えよう。
エルフの結界なんて、すぐ解明してみんなを助けやる!
「何度も言うが、無理をするな。いざとなれば、我ら精霊が暴れてやる」
ドーガの僕に対する信頼が心にしみる。
それにここで暴れたら妖精が巻き添えを食うじゃないか。
やめてね。
君たちも結界から出れないんだから。
忘れてないよね?
気合も入った、夜。
行動開始だ!




