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12話

 前回に引き続き僕は、今だ森の中を探索中だ。

 森はとても静かで、時折見かける妖精と話して森での生活を聞いてた。


 何人かの妖精たちそのまま、森の中で行動をともにしている。

 しゃべりながら。


 「そういえば、見た目は人間の僕がよく世界樹ってわかったね」


 何でも精霊や妖精には姿、形より、その人物のマナの質で見てるらしい。

 指紋とか声紋みたいなもんなのかな。

 

 昼が近づいてきたので、僕は1本の樹に背中を預けて食事をとる。

 サンドイッチと水、デザートにクッキー。

 後、ポケットには種が入っている。

 足りなかった時に植えて食べようと思ってたけど、この分だと使わないでも大丈夫そうだ。

 デザートのクッキーは妖精たちにあげると、うれしそうに食べていた。

 

 森には妖精だけじゃなく、動物もいた。

 鳥?(足が3本)、

 サル?(腕が4本)、

 狼?(頭が2つ)

 リス?(尻尾が3本)

 たちが、近くには寄ってこないが、それぞれ一定の距離からこちらを見ている。


 最初は怖くて逃げだそうとしたが、妖精たちを護らないとと思ってたら


 「みんな、おとなしいから大丈夫だよ」


 と妖精さん。

 明らかにあれらは、大丈夫ではないと思う。

 だって、僕は怖い。

 ある程度時間がたってもこちらに近寄ってはこないし、妖精たちの大丈夫の声もあって、今は何とか慣れ始めてきているとこだ。


 害がないなら、いつかは触れてモフモフできるだろうか?

 でも見た目がなぁ。

 慣れ始めてるだけで、慣れたわけではないのだよ。

 妖精もおとなしいって言ってたし、声でもかけてみようかな?


 「おーい、僕を襲わないなら、クッキーあげるよ」


 とりあえず、餌付けで仲良くなろう作戦!

 僕はクッキーを片手に呼びかけてみる。


 …………。


 無視かよ!

 ピクリとも反応しないよ!

 妖精たちはわれ関せずみたいな表情でおしゃべりしてるし。

 しょうがない、もう少しだけ探索したら、帰ろう。

 もう少しだけ。



‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐


 森の中を移動する。

 5人のエデンの戦士たち。

 彼らは、出発してからすぐに緊張感に包まれていた。

 5人の戦士の中の隊長が原因である。


 「なんかシロ様、機嫌悪くないか?」


 ミノタウルスの戦士が話しかけたのはケンタウルスの戦士。


 「俺にもわかんねえよ。お前わかる?」


 次に話しかえられたのは、山羊人の戦士。


 「さあ?」


 「おしえてあげよっか?」


 会話に入ってきたのはシルフの女の子だった。


 「えっとねー、出発直前にユキ様が、みんなに無理せず頑張ってね。って言ってたでしょ。その時にクロ様の顔をちらちら見てたのが、気に入らないみたい」


 たったそれだけの事で、と、戦士たちは思っていた。

 とばっちりも甚だしい、と。


 実際、ユキはクロが猫のペットだった時から自由奔放な性格だったために心配をしての事だった。

 大丈夫かなこいつと思ってただけだったのだが、シロは違った。


 「あの猫、どんな手を使って、ユキ様に取り入ったのよ!今回の森の警邏で、絶対負けられない!ユキ様にほめてもらうために魔族でも人間でも捕まえて手柄を手に入れないと」


 ぶつぶつとシロは言いながら、周りに『わたし、不機嫌です!』オーラを振りまいていた。


 3人のエデンの戦士たちは、シルフに何とかして!と目線で助けを求めていた。

 シルフはしょうがないなぁと言って、シロに近寄っていった。


 「シロ様、気持ちはわかるけど、今回は訓練もかねてるんですよ。という事は、みんなが協力して事にあたり、ちゃんと妖精を守りまりました、と報告できれば、ユキ様からほめられると思うなー」


 効果は抜群だった。

 いや、効きすぎた。


 「そうよね!失敗は許されないわ!あなた達!ちゃんと私に協力するのよ!クロのチームに後れを取るとか許されないわ!」


 誰もが思った。

 お前に協力するのかよ!と

 協力違いである。


 「早く、人間でも魔族でも見つけないといけないわね」


 


 それから警邏ではなく、魔族や人間を探して出すこと、1時間。

 ようやく人間たちをみつけた。

 数は4人。

 片手剣と盾の男が1人、両手剣をもった男が1人、杖を持った魔術師の男が1人、短剣を持った男が1人。

 斥候、前衛、後衛とバランスのいいパーティに見える。


 シロはまず、ばれないように近づくが、図体のでかい戦士が多いのでそれほど近づけずにいた。

 

 「どうしますか?このまま尾行してもらちがあきませんよ」


 ミノタウルスの声に少し考えるシロだが、ユキには警告をしてから、追い払うように言われている。

 

 「少しでもあいつらから、情報を引き出す必要があるわ。まずは、捕えて、それから警告して出て行ってもらいましょう」


 「最初に警告するのでは?」


 ケンタウルスが問いかける。


 「それではダメよ。いきなり逃げられたら、警告も何もできないじゃない。まずは囲むわよ」


 エデンの戦士たちは行動を開始する。



 斥候をしている男がまず気が付いた。


 「気をつけろ!何か近づいてくる!」


 4人が武器を構え警戒する。

 目の前に現れたのは大斧を持った、ミノタウルスだった。


 「こんな森にミノタウルスだと!」


 4人が前方のミノタウルスに気を取られているときだった。

 周りの茂みから一斉にシロたちが飛び出した。

 ケンタウルスは槍で剣士の一人の剣を叩き落とし、勢いそのままに前足で踏みつけた。

 山羊人は風の魔法でもう一人の剣士を吹き飛ばし、木に激突させ、意識をかりとった。

 シルフは魔法は使わず、ヒュンっと音がすると思うと、魔術師の男のみぞおちに体当たりをかましていた。

 シロは斥候の男に鞭を振って、まず短剣を持つ右手に一撃。軽く右手を返して鞭は顔に一撃、そして鞭を引いて、最後に大きく振られた鞭は、蛇のように獲物に向かって真っすぐ向かい、男の腹を直撃。

 シロは一撃でも仕留められたが、クロと同じような短剣を装備する男に八つ当たりのように鞭を振っていた。

 エデンの戦士4人はそれに気づいていたが、口にも顔にも出さなかった。

 ただ、心の中で、とばっちりが来ないことを祈っていた。

 瞬く間に、4人の人間は意識を刈り取られた。


 エデンの戦士たちは持っていた縄で4人を縛り上げる。

 山羊人の水の魔法を男たちにかけ、目を覚まさせる。


 「魔族が獣人と手を組んで何してやがる!しかも魔物まで従えているとは、お前ら何者だ」


 片手剣を持っていた男が荒げた口調で話す。


 「わたくし達は、エデンの民です。この森は我らがエデンの地、今までとらえた妖精をどうしたのですか?」


 「答える必要はねえ!こんな事をしてただで済むと思っているのか!さっさと縄をとけ!」


 「ちゃんと答えないと大変な事になりますよ」


 シロは男にそう答えるとミノタウルスに目配せをした。

 ミノタウルスは頷くと、後ろにある巨木に拳をぶつけた。

 ドォンっとした音が響いた。

 殴られた箇所は破裂し巨木は倒れた。


 「お、俺達を脅す気か!」


 男の声は、さっきとは違い声は震えていた。


 「これは警告です。この森で勝手なことをしているあなた達に対してのね。わたくしにとって、あなた達に価値がある事を望みますわ」


 シロは微笑みながら答えたが、目が笑っておらず、男たちはそれだけで、おとなしくなる。


 「さて、もう一度聞きます。あなた達が捕えた、妖精はどうしてますの?」


 「う、売った」


 「売った?それで売った後は、妖精はどうしてますの?」


 「し、知らない」


 「取り合えず、片足がいらないそうです。ミノちゃん!」 


 ミノちゃんと言われて、エデンの戦士達はシロの視線を追う。

 ミノタウルスは自信なさげに自身を指さす。


 「えっ、俺っすか?」


 「あなたしか、いないでしょ!早くしなさい」


 ミノタウルスは他の仲間を見るが、誰も助けてくれそうにないのを感じ、渋々、男に近づく。


 「待ってくれ、本当に知らないんだ!俺たちは妖精を捕まえてそれを売るだけなんだ!だからその後はどうなっているとか知らないんだ!本当だ、嘘じゃない!信じてくれ!」


 男の悲痛な叫びにシルフが待ったをかける。


 「シロ様、嘘は言ってないと思うよ」


 「う~ん。そうなのかしら?」


 4人の男は必死に首を縦に何回も振る。


 シルフは小声で、シロにだけ聞こえるように言った。


 「私が他のシルフと連絡を取って、こいつらの後をつけてもらうよ。そうすればユキ様が言ってた、街とか村がわかるかもよ」


 はっ、とシロは目を輝かせた。


 「あなた達、よく聞きなさい!今後、この森に勝手に入ったらただでおかないわ!二度と近づかないと誓うなら解放してあげるわ」


 4人の人間は森には近づかない事を誓って、解放された。




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