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戦国ゲームで18歳の武将を作成したら、戦国時代に転移していた~秀吉の立身出世スキルと製造業スキルで成り上がる~  作者: にゃがまさ
織田家共同事業編

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四輪荷車の売り込み

数日後の朝。


俺たちは屋敷の食堂に集まり、朝食を食べていた。


「正男様、今日の予定はどうしますか?」


五兵衛が尋ねてきた。


「建物の工事が、もうすぐ終わりそうなんだ。そろそろ働く人を集めないといけない」


鍛冶場や木工所、倉庫など、工房を構成する建物の完成が近づいていた。建物ができても、職人や材料を運ぶ者がいなければ仕事は始められない。


「織田家にも人手を頼むつもりだ。ただ、できれば顔見知りの人たちを優先して集めたい」


「仕事ぶりも人柄も知っている相手なら、安心して任せられるからな」


五兵衛がうなずいた。俺は、隣に座るなつきへ目を向けた。


「なつき。村の庄助さんには木工所を、なつきの親父さんの源蔵さんには鍛冶場を任せたい。その話を伝えてくれるか?」


「分かった。あたしが行ってくるよ!」


「気をつけて行ってきてくれ」


「任せとけ!」


なつきは笑顔で答えた。


「さて、俺たちは伊藤惣十郎さんの商家へ行こうと思う」


俺が話を切り替えると、五兵衛が尋ねた。


「商家ですか」


「ああ。四輪荷車を持っていく。伊藤さんに販売の相談をして、ほかの商人たちにも紹介してもらいたいんだ」


「最初から買ってもらうのではなく、先に試してもらうのはどうでしょう?」


桜が提案した。


「そうだな。一週間ほど貸し出して、実際の仕事で使ってもらう。便利だと感じてもらえれば、購入を検討してくれるはずだ」


「使った人の意見も聞けますね」


「ああ。使いにくい点があれば、改良にも役立つ」


◇


屋敷の門の前では、なつきが愛牛のくろにまたがり、出発の準備をしていた。


「梅、朝飯うまかったよ!」


「それはよかったです。忘れ物はないですか?」


「大丈夫だって。金槌も持ったし、準備はばっちりだよ!」


なつきは背負った金槌を軽く叩いた。隣では、お花が笑顔で手を振っている。


「なつきちゃん、気をつけてね」


「うん! お花も気を付けてね!」


「わたしは屋敷にいるだけだよ?」


「そうだった!」


なつきが声を上げて笑う。


「もう、なつきちゃんったら」


お梅も呆れたように笑った。そのとき、くろの声がなつきの頭の中に響いた。


『なつき、いつまで話している。早く出発するぞ』


「分かってるよ! せっかちなんだから!」


『お前がいつまでも話しているからだ』


「はいはい。それじゃ、行ってくるね!」


なつきはくろの首を軽く叩き、手綱を握った。


「はい。気をつけてくださいね」


「帰りに何か面白いものがあったら教えてね!」


お梅の言葉に、なつきはにっと笑った。


「任せといて!」


くろが歩き出し、なつきは手を振りながら屋敷を後にした。その姿が見えなくなると、お梅は小さく息をついた。


「なつきちゃんは、朝から元気だよね」


「そうだね」


お花は苦笑しながら答えた。


◇


俺は五兵衛と一緒に蔵から四輪荷車を運び出してきた。


「正男様、出発の準備ができました」


「分かった。桜は?」


「こちらにおります」


桜が少し遅れて姿を見せた。


「お待たせしました、正男様」


「よし。それじゃ、俺たちも出かけるか」


俺がそう言うと、お梅が笑顔で頭を下げた。


「いってらっしゃいませ。お昼はどうなさいますか?」


「商談が終わる時間次第だな。遅くなりそうなら、町で食べてくるよ」


「かしこまりました。お気をつけて」


お花も手を振った。


「正男様、五兵衛様、桜さん、いってらっしゃい!」


「行ってきます」


俺たちは二人に見送られ、屋敷を出た。


「正男様、今日はうまくいくといいですね」


五兵衛が言った。


「ああ。まずは、相手の話をよく聞くことだ」


「わたしも、商家での経験を生かしてお手伝いします」


桜が力強く答えた。


「頼りにしているぞ、二人とも」


なつきはなつきで、くろと一緒に出かけていった。俺たちは四輪荷車の車輪や車軸に問題がないことを確認し、荷車を引いて屋敷を出発した。


◇


やがて商家に着くと、伊藤惣十郎が店先に姿を見せた。


「これは鈴木様。ようこそお越しくださいました」


「お久しぶりです、伊藤さん。今日はご相談したいことがありまして」


「ほう、どのようなお話でしょうか?」


「新しく開発した四輪荷車についてです。商人の皆さんにも役立つのではないかと思い、実物を持ってきました」


伊藤さんは店先の荷車に目を向けた。


「まずは、動かしてみてもよろしいですかな?」


「もちろんです」


俺たちは荷車を店先の空いた場所へ移した。五兵衛と二人で荷車を押し、車輪が滑らかに回ることや、方向転換ができることを確かめる。伊藤さんは車輪や荷台を注意深く観察していた。


「なるほど。実際に荷物を積んで試す価値はありそうですな。それで、私に相談というのは?」


「伊藤さんの知り合いの商人たちに、四輪荷車を紹介していただきたいんです。ただ、いきなり購入を勧めるのではなく、一週間ほど貸し出して、普段の仕事で使ってもらいたいと思っています」


「貸し出しですか?」


「はい。使って便利だと感じたら購入を検討してもらう。使いにくい点があれば、率直に教えてもらいたいんです」


伊藤さんは腕を組んだ。


「見ただけでは本当に役立つか分かりませんからな。試してもらうのはよい考えでしょう。ただ、貸し出すとなると、破損や返却の問題もあります」


「貸し出す相手は、伊藤さんが信用できる商人に限ってください。渡すときに荷車の状態を確認し、返却日も決めておきましょう」


「それなら、管理もしやすそうですな」


「実際に使ってもらえば、荷車の強度や使い勝手についても意見が集まります。今後の改良にも役立ちます」


「使う人の感想を聞けば、どのような商人に向いているかも分かります」


伊藤さんはしばらく考えたあと、顔を上げた。


「分かりました。知り合いの商人たちに声をかけてみましょう。興味を持つ者がいれば、一週間試しに使ってもらうことにします」


「ありがとうございます、伊藤さん」


俺は頭を下げた。


「ちなみに、販売価格はいくらをお考えですか?」


「金3両を予定しています。決して安くはありませんが、一度に多くの荷物を運べるので、運搬の手間を減らせます」


「なるほど。実際に使って便利だと分かれば、その値段でも購入を検討する商人はいるかもしれませんな」


「まずは一週間、試してもらいたいと思っています」


「分かりました。試用を希望する商人を募り、日程が決まり次第ご連絡します」


「よろしくお願いします」


俺たちは伊藤さんと、信用できる商人へ一週間の試用を仲介してもらうことで合意した。


◇


商家を出ると、五兵衛が言った。


「どれぐらい売れますかね?」


「ああ。実際に使ってもらえば、四輪荷車の需要も分かる」


「使った人の意見を聞けば、改良すべき点も見つかりそうですね」


桜の言葉に、俺もうなずいた。


「そのとおりだ。売ることだけを考えるんじゃない。使う人の意見を取り入れて、より良い荷車にしていこう」


俺は荷車を振り返った。


「屋敷に戻ろう。工房を動かす準備も進めないとな」


「はい。それにしても忙しいですね」


五兵衛が苦笑した。


「忙しいのはありがたいことだよ」


俺たちは屋敷へ向かって歩き始めた。


四輪荷車の販売に向けた道筋はできた。次は工房を完成させ、職人たちが働ける環境を整える番だ。



最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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明日の朝6時も更新予定です。

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