表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

39/53

#38

「みんな、こんなところだとなんだから、教室に入ってきなよ」

「工藤さんも顔を上げてさ」


 柚葉は彼女らを教室に入るよう促す。

 白鳥さんは早紀に声をかけた。

 彼女はゆっくりと頭を上げ、凪達と一緒に教室に入ろうとしている。


「お邪魔します」

「失礼します」


 3人は礼儀正しく、私達の教室に入ってきた。

 松井くんが「そんなこと言わなくてもここには僕達しかいないから大丈夫だよ」と肩をすくめながら言う。



 *



「早紀、話してごらん?」


 凪に促され、早紀「うん」と答えた。


「……あのね……友梨奈ちゃんと秋桜寺くんがつき合い始めた頃の話なんだけど……」

「うんうん」

「それで?」


 早紀は重い口を開くと、松井くんと聡が相槌を打つ。


 えっ!?

 私と聡がつき合い始めた頃の話なの!?

 私は表面上では少し驚いているが、心の中でおろおろしていた。

 そんな中、早紀の話は続く。


「さっき、お昼の時にきたメンバーで話してたみたいだよ。もし、来年のクラス替えで誰かが友梨奈ちゃんと同じクラスになったら……ハメようとか言ってたみたいだから……」


 早紀は最後の方に言葉を詰まらせながら私達に話す。


「そ、その頃から友梨奈さんはいじめのターゲットにされていたということかしら?」

「結衣ちゃん、そういうことになるね」

「………………」


 早紀が私の質問に答えると、私は黙り込む。

 もしかして、篠田さん達の中で聡を狙っていた人はいたのだろうか?

 彼女ら以外にも彼を狙っていた人はいたと思うし……。


 私は頭が混乱している。

 少し考える時間がほしい……。


「そういえば、その頃はエリカも秋桜寺くん狙ってたんだよね」

「そうだったの!?」


 私が悶絶している時に、白鳥さんがふと思い出したようにそう言うと、凪が少し驚いたようだ。


「そうだよ。僕は友梨奈と篠田から告白されたのは事実だよ」


 聡が衝撃的な言葉を私達に告げる。

 やはり、篠田さんも聡に告白していたんだ……。


「まぁ、僕は友梨奈が放っておけなくてね」

「篠田さんを断ったのですね?」

「野澤さん、そういうこと」


 そうだったんだ……。

 そして、早紀も――。


「話を戻すけど……まさか、本当に実行するとは思ってなかった。ボクが……早く……友梨奈ちゃんに……言っていれば……こんなことが……起きずに……済んだのに……!」


 彼女は最後の方は泣き叫んでいた。

 早紀、言いたいことは分かるよ。

 でも、彼女は私が「木野 友梨奈」として生きていた時にこのことを言いたかったんだよね。

 言えなくて、後悔したんだよね。


「……友梨奈……ちゃん……ごめんなさい……。結衣……ちゃん……も……みんな、みんな、ごめんなさい……」


 涙で顔をぐしゃぐしゃになった早紀が私に(すが)りつく。

 私は彼女をそっと抱きしめた。


「さ……早紀さん……」

「ボクが……悪いんだ……」

「工藤……」

「ボクの……責任だ……!」


 私の胸の中で子供のようにわんわん泣いている早紀。

 教室という名の静寂の中で彼女は泣き続けていた。


 次の瞬間、教室のドアが少し開く。


「その話、最後まで聞いてたよ?」


 1人の女子生徒の声が私達の耳に入ってきた。

2016/08/01 本投稿

2016/08/17 修正

2016/10/02 後書き欄の「次回更新予告」の削除

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろう 勝手にランキング

その他の作品はこちらから(シリーズ一覧に飛びます。)

cont_access.php?citi_cont_id=790045725&size=200
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ