#37
最初はすぐにボールが落ちてしまうことがあったが、私達のグループは少しずつ安定してラリーが続いている。
「なんか、私、6組はバラバラなイメージがあったんです」
「わたしも」
「あたしも。いじめがきっかけでで自殺した子もいたみたいなので、話しかけるの勇気がいるのかなと思っていたらそうでもなかったのです」
5組の3人がラリーを続けながら私達に話してきた。
「「そうなの?」」
柚葉と白鳥さんが反応する。
そのうちの1人が私達に向けてアタックをしかけた。
私がトスして顔面強打を免れる。
「……はふぅ……」
「おおっ!」
「結衣、凄ーい!」
私が溜め息をつくと、彼女らから感嘆の声が聞こえてきた。
「話を戻しますが、6組に野澤さんが転校してきたと聞いた時、私は仲よくしたいと思ったんです」
「あたしは去年、木野さんと同じクラスだったんですが、体育の授業だけでも一緒に受けられるだけでも嬉しかった。まさか彼女がそんなことをされるとは思いませんでした」
へぇー、そうだったんだ……。
本当はこのクラスの人と話してみたかったんだ。
そして、友梨奈とも――。
「そこー! 授業中だよー!」
「「ハイ!」」
「「すみません!」」
私達は先生に注意されてしまったが、ラリーが他のグループより続いていたりしたので、逆に褒められた。
次の瞬間、「ピーッ!」と先生が笛を吹いたので、私達は後片付けを始める。
片付けを終え、今度はチャイムが鳴り響いた。
「気をつけ、礼! ありがとうございました!」
「「ありがとうございました!」」
5時間目が終わり、6時間目も何事もなく「野澤 結衣」としての初日の授業が終わった。
*
その日の放課後、なぜか早紀や凪達が私達の教室の前にきていた。
教室には柚葉と白鳥さん、松井くん、私がいるだけ。
「あら、工藤さん達、どうされましたの?」
私は早紀に問いかける。
彼女は「あのね、結衣ちゃん。聞いてほしいことがあるんだ……」と深刻そうな表情を浮かべながら答えた。
「ん?」
「ところで、まひろちゃんのクラスの女の子いるでしょ? えっと、誰だっけ?」
早紀はその人の名前を思い出そうとしているが、なかなか出てこない。
この学校は1学年あたり200人以上いるから名前が出てこないことは仕方ないのだ。
「エリカのこと?」
白鳥さんが篠田さんのことか早紀に訊いてみる。
「うん。ボクは2年生の頃、その子と同じクラスだったから分かるんだけど……」
「どうか、しましたの?」
早紀はコクリと頷くと、彼女は少し俯きながら、「実はボク、噂で聞いちゃったんだ」と私達に告げた。
2016/07/30 本投稿
2016/10/02 後書き欄の「次回更新予告」の削除




