#36
私達は急いで体操着に着替え終え、ギリギリで体育館にいる。
チャイムと同時に5時間目の体育が始まった。
私達の学校の体育の授業は男女別々で、先生も男女どちらも存在している。
「集合!」
5組の学級委員の女子が号令をかけるとあちこちでグループになって固まっていた生徒達がまとまっていた。
「気をつけ! 礼! お願いします!」
「「お願いします!」」
「ハイ、お願いします。まずは出欠を取るねー。まずは5組。相川!」
「ハイ!」
今日は5組からか……。
この先生は気まぐれで6組から出欠を取ることがあるから、結構ドキドキする。
「――渡部! あれ? 渡部は休みかな?」
「ハイ。休みです」
「分かった。次、6組ねー。青木!」
「ハイ!」
私がぼんやりと考えているうちに柚葉が呼ばれたため、6組の出欠を取り始めていた。
「――最後は転校生かな? 野澤」
「ハイ!」
やはり、私は1番最後に呼ばれた。
まぁ、転校生だから仕方ない。
「準備運動をするから、3年5組佐藤基準で広がって!」
「「ハイ!」」
私達が体操の体制に開き始めると同時に先生がラジカセを準備する。
そこからリズミカルな音楽が流れ始めると、それに合わせて身体を動かし始めた。
私はみんなと同じようにスムーズに動いていると違和感を持たれてしまうので、周りを見ながらぎこちなく準備運動をする。
それが終わったら、元の位置にワーッと集まるのは当然だ。
「みんな、今日の授業はバレーボールだからね。できればクラス混合で。次の時間はミニゲーム式でやるからね」
「ハイ!」
バレーボールは1グループ6人だから3人ずつがベストである。
柚葉と白鳥さんが隣にいたため、一緒にグループが組めるかなと思っていた。
「まひろ!」
「こっちこっち!」
篠田さん達が白鳥さんを呼ぶ。
彼女は一瞬、彼女らを見た。
篠田さんのところは現在4人、私は柚葉と一緒にいる。
「結衣、柚葉。一緒にやろう?」
「えーっ……またー……」
篠田さんが不満を漏らすと、白鳥さんは彼女らのところに向かう。
「エリカ、5組の人のこと考えなきゃダメだよ。あたし達だけだったらまだしも、他のクラスがいることを考えなきゃ」
「ハーイ」
白鳥さんは篠田さん達ではなく、私達を選んだ。
「しら……まひろさん、ありがとう」
「結衣……って、結衣があたしの名前を呼んでくれた!」
「本当だ!」
柚葉と白鳥さんが興奮している時、「あのー……一緒にグループを組んでもらってもいいですか?」と5組の3人から声がかかる。
「えぇ。いいですわよ」
「「ありがとうございます! よろしくお願いします!」」
「わたし達、案外早く6人になったね! 結衣パワーかな?」
「いいえ。雰囲気だと思いますわ、柚葉さん」
「雰囲気、ね……」
私は個人的に5組は落ち着いていて大人しいと感じている。
それに比べて6組は他のクラスより荒れているということから近寄り難い印象があるのかなと思った。
次第にグループが決まってきており、篠田さん達のグループがあと2人のまま残ってしまっている。
「他のところであふれてるグループはないかな? 今日、欠席の渡部と仲がいいひとがいいかな」
先生の問いかけに1つのグループの5組の女子が手を挙げた。
「わ、私、動きます。みんな、ごめんね?」
「うん」
「仕方ないよ」
「足立、すまないね……」
彼女はおどおどしながら篠田さんのところに行く。
「じゃあ、先生は各グループ周りながら見ていくから笛を吹くまでね」
先生が笛を吹くまでは基礎の復習ができ、先生も各グループを回るみたいだから、私としては助かった。
2016/07/23 本投稿
2016/10/02 修正
※ Next 2016/07/30 0時頃更新予定




