目次 次へ 1/5 その花言葉はきらめく恋 夏の焦げ付く太陽の日差しは、いつだって君の肌を焼いていた。 露のしっとりと重たい雨は、人前では決して見せない君の涙を想起させる。 秋の儚い紅葉に、陰を落とした君の後姿が蘇る。 冬の肌をぴりつかせる空気に、君の白い吐息が見える。 そうして迎える春。 地面を覆う色とりどりのハナツメクサに、君の笑顔が重なる。 ――せめて、誠の名(なまえ)だけでも聞いておけばよかったと、我ながら後悔している。 せめて、その黒い覆衣《ベール》の下を、一度くらい確認しておけばよかったと後悔している。