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【異世界転移】をやってみた《1》  作者: とり
 第4話 おおかみ
27/92

26.魔族



 ・前回のあらすじです。


 『ユノが寝坊ねぼうをする』






「まあ、魔法(まほう)体力たいりょくを使いますからね。隊長さんも気を()かせて休ませておいてくれたんでしょう」

 ぼけまなこのユノにセレンは言った。


「魔法じゃなくて【気術(きじゅつ)】ですよね?」

 【魔族(まぞく)】やその混血者(こんけつしゃ)の使う超常の(ちから)を【魔法】。

 妖精(ようせい)(ちから)を借りて起こす奇跡を【気術】と呼ぶと、ユノは習った。


「どちらも同じです。妖精も魔族まぞくなので」

「そうなんですか?」

 ユノは不思議に思った。

「じゃあ(りゅう)は? コルタの人たちは、(りゅう)を信仰してるって聞いたんです。でも、魔族を毛嫌(けぎら)いしてるって……竜は魔族じゃないんですか?」

「魔族ですよ」

 セレンは答えた。


 コンコンと、寝室のドアが鳴る。

失礼しつれい、ユノさま。わたくしはこれで」

「あっ」

 つえを振ってセレンはえた。

 廊下から、(ひと)はいってくる。


「目が覚められましたかな?」

 首から十字架(じゅうじか)をさげた、ふくよかな体型(たいけい)の男がやって来た。

 うしろから、十名ほどの若者がぞろぞろとつづく。

「私はコルタの町長(ちょうちょう)をしております。『アルゴ=コルタ・ヒル』と申します。よろしく」


 男――アルゴは洗礼名(せんれいめい)まで()げて、ユノに手をした。

「ユノです。よろしくおねがいします……」

 戸惑いつつもユノは握手あくしゅをした。


魔物(まもの)の群れを駆逐(くちく)してくださったそうで……いやあ、これでようやくあの森にめる」


 『あの森』と聞いて、ユノの背筋が粟立(あわだ)った。

 町長はブロード・ソードを、ほかの若者たちは戦斧(せんぷ)や槍をたずさえている。


「攻め込むって……町長さんたちがですか?」

「そうです」

「ボクたち――アドニス隊長が(ひき)いる警護隊(けいごたい)が、全部を解決するんじゃないんですか?」


 全身が()えていくのをユノは感じた。

 森のなかにはアイがいる。


 アルゴたちのうしろからアドニスがやって来る。

「オレたちはあくまで町の警護だよ。()り込みは……彼らが直々(じきじき)にやってくれるとさ」

 アドニスは、なかば(あき)れたように肩をすくめた。


「魔族の殲滅(せんめつ)こそが、我ら神の御子(みこ)に与えられた、崇高(すうこう)使命しめいなのです」

 高らかにアルゴは(うた)った。

 集まっていた若者たちも唱和(しょうわ)して、いのりを(ささ)げる。



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